さんまのまんまに見るテレビ局の衰退状況

番組改編を繰り返すテレビ局
“さんまのまんま”が2016年9月にて終了することが8月12日に発表され話題になっています。1985年から放送していますので31年間に放映を続けてきたフジテレビを代表する長寿番組です(製作は関西テレビ)
関西テレビからは「ひとつの区切り」といつも通りの発表がされていますが、明石家さんまさんより実情が伝えられて一気に話題になりました。
さんまさんによると、「製作費と出演料の折り合いがつかなかった。出演料に関しては減額が続き本人としては出演料無しでもOKではあるが、若手芸人の事を考えるとそうはいかない」とのこと。松本人志さんも「良く分かる」と言っています。
日本のテレビ広告費は10年間(2004年~2015年)で約10%減少しています。
“さんまのまんま”を製作している関西テレビでは過去3年間で、広告収入が10億7千万円減少となったにも関わらず、一方では製作費などの原価が15億5千万円増額となっており、2016年度の決算では赤字に転落するのではと言われています。
製作費と出演料を減らすことが命題となっているテレビ局と、若手の為にも出演料をこれ以上下げられないと判断した明石家さんまさんと、やむ追えない判断だったのだと思います。
テレビ局の製作費の内訳
そもそも、何で製作費はこんなに掛かってしまうのでしょうか?テレビを製作するには、様々な費用が必要になってきます。
芸能人の出演料、プロデューサー、ディレクター、放送作家、セット組み立て費用、スタイリスト(衣装含む)、ヘアメイク、撮影現場の手配、エキストラの主演料、編集費用、交通費や弁当などの雑費・・・・ゴールデンタイムでは1時間の番組を製作するのに4000万~5000万必要になることもあります。
テレビ東京のいまや看板番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」でも1回の制作で800万程度は必要です。
スタジオ外での撮影が必要な場合、安全確保なども考慮するとこれ以上の減額は難しい状況です。
中でも一番高額なのは、芸能人の出演費用とセット代です。1時間で100万~1000万。明石家さんまさんレベルだと300万レベルだと言われています。セット代も1回あたり1000万レベルは普通に必要です。2回分の放映を1回にまとめて収録することで経費の削減の努力をしてきたが限界だったということでしょう。
今後のテレビ番組の方向性
では、今後のテレビ番組はどうなっていくのでしょうか?
テレビ局の収入の大部分はテレビCMの広告収入です。若者のテレビ離れなどを考慮すると、広告収入の大きな伸びは期待できません。莫大な制作費用が必要となるテレビ番組は当然減少していきます。
芸能人の出演費用に掛ける費用も節約するしかありません。
結果、制作費用の比較的安価な報道番組が今よりも増加することになります。報道番組は、最も費用が掛かっている「報道ステーション」で1500万ですので、比較的安価です。自社の社員であるアナウンサーを活用できるのも制作費用の削減には大きな利点となります。司会に自社のアナウンサーを起用する番組は増え続けるでしょう。
また、テレビ離れの問題として、出演者の集中も考えられます。多くのテレビ局は、番組の内容よりも出演者に依存する傾向が顕著です。売れている芸能人を一斉に出演させるキー局の姿勢も視聴者から敬遠される要因です。毎日同じ芸能人を見せられる視聴者は当然見なくなります。
一方で、少ない費用と限られた出演者で、独自の番組製作で高視聴率を獲得しているテレビ東京を見ていると、今後のテレビ局の在り方のヒントがあるような気がします。予算が限られている為に、キー局で見ない出演者が見れてホッとする方も多いのではないでしょうか?
インターネットを活用した視聴者とのコミュニケ―ション、出演者に頼らない番組制作などが今後の課題になるでしょう。