日本の広告費2017年度の検証

日本の広告費2017年度を検証します!

日本の広告費2017年度が電通より発表されました。
広告メディアの成長と衰退の状況は、単年ではなく長期的視点での検証が必要です。

今回も、2005年度から2017年度までの13年間分を更新して一表にしています。

 

※日本の広告費13年分はこちらからダウンロードできます

 

日本の広告費2017年度のポイント(前年比較)

  1. 前年比(2016年度比)は101.6%。前年の101.9%とほぼ同率となっています。
    2016年と比較すると、大きなイベント(オリンピック・伊勢志摩サミット・参議院選挙・都議会選挙など)は少なめでしたが、好調な世界経済、雇用環境の改善、株高などにより前年比プラスを達成しています。
  2. マスメディアの4媒体は合計で97.7%(前年は99.6%)ラジオ広告以外はマイナスとなりました(テレビ広告99.1%、新聞広告94.8%、雑誌広告91%)
  3. インターネット広告は115.2%となり、前年の113%を上回る2桁成長を維持しています。運用型広告の好調が目立っています。
  4. プロモーションメディアは屋外広告、POP、交通広告、展示・映像が安定しています。折込や電話帳の苦境は変わりません。昨年同様に、展示やPOPなどなどはスマートフォンとの連動(インタラクティブ・プロモーション)がポイントとなっています。

 

 

 

広告媒体別の推移

それでは、広告費の推移について、〖テレビ広告〗〖新聞広告〗〖雑誌広告〗〖ラジオ広告〗〖インターネット広告〗〖プロモーションメディア〗
に分けて検証してみましょう。

 

 

テレビ広告

テレビ広告費は地上波が、1兆8,178億円で前年比98.9%、衛星メディア関連が1,300億円で101,3%となっています。
好調を続けていた衛星関連の成長率が鈍化していることが気になります。
Youtube、AmebaTV、Hulu、GyaoなどのインターネットTVの台頭が影響していると思われます。

 

新聞広告

新聞広告は、5,147億で前年比94.8%となりました。衆議院選挙と期末の予算消化案件により前年比マイナス5%で収まった状況です。
大健闘と言えるでしょう。
景気が良くなると、直前の入稿で掲載が間に合う日刊紙の新聞は、12月や3月の予算消化時に広告出稿が増える傾向があります。

また、昨年あたりからデジタル領域でのコンテンツ制作、「デジタル×紙」などの取り組みも増えてきました。
デジタルへの「集中と選択」が今後のポイントになります。

 

雑誌広告

雑誌広告は、2,023億年となり(前年比91%)非常に厳し状況に変わりはありません(昨年度も91%)
電子出版関連は成長していますが、紙離れを補完するだけのスピード感はありません。電子出版分野でのビジネスモデルの構築は急務です。

ラジオ広告

本ブログではラジオ広告のマイナス成長は終了したと繰り返し予想し続けています。
2017年度のラジオ広告費は、1,290億年となりました。昨年度の前年比102.5%に続き、100,4%を達成しています。

ラジコの好調が継続していることにプラスして、プレミアム会員も増加、ラジコ掲載のスマートスピーカーも視聴者の増加を後押ししています。スマートフォン・SNS・イベント・アプリなど連動できる分野が多くある為に、今後大きなマイナス成長に戻ることはありません。

マスメディアの中でユーザーが増加している唯一のメディアです。
個人的には『ラジオ×デジタル』は最も可能性を感じている分野です。

 

インターネット広告

インターネット広告は1兆5,094億円となり前年比115,2%を達成しています。
テレビ広告に対する比率も昨年度の70%から77%まで成長しています。2018年度には80%台の規模にまで成長することは間違いありません。

対新聞広告比では2009年に新聞広告を抜いてから7年間で3倍の規模にまで増えました。運用型広告と動画広告の好調が目立ちます。

 

プロモーションメディア関連

屋外広告は安定傾向、交通広告は中吊りなどの紙メディアは減少していますがデジタルサイネージ関連が急増しています。
電車内だけでなく、駅構内の柱巻きなど様々な場面で普及が進んでいます。
交通広告の市場はデジタルサイネージが中心になっていくことが予想されます。

スマートフォンの普及により、POPや展示・イベントも成長する可能性があります。

 

日本の広告費2017年度のポイント(2005年度比較)

前年(2016年)との比較に続いて、2005年と2017年を比較してみます。2005年と比較すると日本の広告市場は93.7%となっています。

リーマンショック、東日本大震災、インターネットの台頭など様々な出来事があったことを考えると、2012年からはインターネット広告への理解も進み安定期に入ったと言えるでしょう。

昨年度(2016年)に2005年度比で52.3%まで規模が縮小した新聞広告は、49.6%となり12年間で50%を切ってしまいました。雑誌は41.8%、折込が62.7%、フリーペーパー関連が75.3%、電話帳が24.7%となり、紙メディアは厳しい状況が続いています。

デジタルに対する対応力が無い広告メディアは成長することはできない状況となっています。

 

まとめ

電通の発表資料をまとめると2017年のキーワードは4点でした。

  1. デジタル・トランスフォーメーション
  2. 媒体特性による統合的なコミュニケーション活動
  3. 運用型広告
  4. 動画広告

この傾向は2018年以降も継続しますので、それぞれについて説明します。

 

デジタル・トランスフォーメーション

デジタル・トランスフォーメーションは、「デジタル変革」に対する企業としての対応です。

顧客のタッチポイントはデジタルに大きく変わりました。
デジタルが普及する前の顧客サービスは、各部署それぞれの対応で充分でしたが、モバイル中心となった顧客のスピードに縦割りでは対応出来なくなりました。

そこで、「開発」「マーケティング」「セールス」「広報」「PR」「宣伝」「工場」「カスタマーサービス」「総務」「経理」「経営陣」など全ての部署が顧客の行動を同レベルで把握しする【素早いデジタルへの対応体制】が必要になりました。

デジタルを中心として、いかに顧客との距離を縮めることができるか?「顧客第一」の体制作りが『デジタル・トランスフォーメーション』です。

【オムニチャンネル】【コンテンツマーケティング】【顧客第一主義】は2019年以降も必須です。

 

媒体特性による統合的なコミュニケーション活動

生活者が情報を選択する権利を持っている時代になったことで、企業は媒体の特性を生かした顧客中心のコミュニケーション活動が求められています。
媒体の特性を理解し、より効率的なコミュニケーション活動を取り入れる企業が増えてきました。

 

運用型広告

検索連動型広告と同様に、広告主側で料金設定が可能な『運用型広告』が好調です。
運用型広告は入札により広告料金が変動します。広告主側の主導により、広告効果を検証しながら、より良い広告運用が可能なのです。

しばらくは、運用型広告のニーズは好調を続けることは確実です。

広告料金の課金方法に関しては、CPC型とCPM型と選択が可能です。
このような広告メディア主導ではなく、広告主側主導での『運用型広告』は今後の広告メディアの主流となっていくことが予想される成長分野です。

  • CPC型:クリックにより料金が発生する課金方法です。クリックの都度入札金額が課金されます。
  • CPM型:広告が1000回表示される度に入札金額が課金されます。

 

動画広告

「映像」と「音声」を表示する広告が『動画広告(ストリーミング広告)』です。

動画はテキストより圧倒的な表現力があります。
ネット回線が充実したことで、動画分野は今後も確実に成長します。

動画広告には2パターンのタイプがあります。

①Youtubeなどに配信される動画広告

この動画広告には3つのパターンがあります。

  1. プリロール動画広告:視聴されるコンテンツの前に配信される広告です。一定のタイミングでスキップが可能です。
  2. ミッドロール動画広告:コンテンツのを視聴している途中で配信される広告です。
  3. ポストロール動画広告:コンテンツの視聴後に配信される広告です。いわゆるエンディング広告です。

 

②インディスプレイ型動画広告

もう1つが、バナー枠に配信される『インディスプレイ型動画広告』です。
マウスを動画のバナー枠に合わせると放映が開始されるのが普通です。配信された段階では、音声はOFFの状態になっています。

 

動画広告は、1回の再生ごとに課金されるCPV(CostPerView)方式で課金されるのが多くのパターンです。
Youtubeの動画広告は【完全視聴単価方式】が採用されており、広告をスキップした場合は課金はされない様になっています。

運用型広告と動画広告は成長を続けますので、しっかりとチェックしておきましょう。