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広告代理店の仕事内容を説明しましょう!
「広告代理店の仕事ってどんなことするんですか?」と言われる学生の方が非常に多いですね。
斜陽産業と言われながらも広告代理店の仕事は人気があります。
広告代理店の仕事内容を理解するためには、
【会社の規模によって仕事内容は大きく異なる】
ということを最初に頭に入れておく必要があります。
つまり、
『大手広告代理店』と『中小の広告代理店』では仕事内容が大きく異なる。
ということです。
日本国内に存在する広告代理店の数は大小合わせて5000社を超えると言われています。
Web上では、大手広告代理店の営業マンと芸能人の結婚や、オリンピックの業務などが広告代理店の仕事内容として華やかに紹介されています。
しかし、このような華やかな広告の仕事は、電通や博報堂などの大手広告代理店のごく一部分に限られているのが現実です。
あなたが、広告代理店に就職するのであれば、大手広告代理店に入社するとは限りません。
中小の広告代理店を含めた業界の現実をしっかりと把握しておきましょう。
では、大手広告代理店と中小の広告代理店の仕事内容はどのように違うのか?大手広告代理店から順に説明いたします。
大手広告代理店の仕事内容とは!
大手広告代理店が担当する広告の仕事は、クライアント(広告主)の広告メディアの手配だけではありません。
新商品に関するマーケティング調査(競合他社の調査やターゲットの調査など)など、企業のマーケティング活動全体の作業を担当することがあります。
商品の開発の段階からスタッフとして加わることもあります。
広告主の宣伝部が、社内に提案する資料の作成も手伝うことは珍しくありません。
結果として、キャンペーン全般を担当しますので、
テレビCMの製作や発注、タレントの手配などの派手な仕事が大手広告代理店に集中します。
そして、このような仕事の90%以上は大手広告代理店の仕事となるのが現実です。
あなたが生活する中で目にする広告のほとんどは大手広告会社が手掛けていると思って間違いありません。
大手広告代理店の仕事は多岐にわたりますが、基本的な仕事の流れを代表的な3部門を例に説明してみましょう!
- 営業・・・広告の仕事を獲得してくるのが仕事です
- 制作(マーケティング)・・・市場調査などを実施して企画書や広告物を作成するのが仕事です
- 媒体・・・営業が獲得してきた案件の広告を掲出する媒体社との窓口が仕事です
〇具体的にクライアントを1社想定して考えてみましょう!
大手広告代理店の仕事の流れは、
- 広告主からオリエンテーション(キャンペーンの説明)があり、
- プレゼンをして仕事を獲得していくのが普通です。
化粧品会社を例に説明してみます。
- 想定クライアント:化粧品会社
- 製 品:新しくコラーゲンのサプリメントを販売
- クライアント方針:競合他社が多いことは自覚しているが、今回初めてサプリメント市場に進出する。成分を高濃度にして高価格帯で勝負したい。
よってターゲットは40代以上のセレブを想定。セレブ向けの広告プラン案を提案して欲しい - 広 告 予 算:3億円
最初は、上記のような内容で広告主から広告代理店に対して、オリエンテーションがあります。
このような大規模なキャンペーンの場合、数社の大手広告代理店にオリエンテーションを実施して競合プレゼンを実施するのが普通です。
オリエンを受けた大手広告代理店はプレゼンの検討に入ります。
【営業部】
広告代理店の営業は、日常の営業活動の中で、クライアントの新商品の発売などの情報を入手するのが大切な業務です。
日常の業務のなかで、次回の新商品のキャンペーンなどの情報を入手する努力をしています。
そして、その情報を元に、オリエンテーションの有無を確認。競合コンペに参加するか検討します。
コンペに参加するか否かの判断は会社として決定されます。
(プレゼンに参加する為には、会社内の協力者の確保、プレゼンに有する時間、マーケティング調査などの費用が必要となる為、営業個人で簡単に判断は出来ません)
そして、参加決定となると、オリエンテーションの参加からプレゼン実施の準備に入ります。
営業はクライアントから受けたオリエンテーションの内容を社内の関係部署に説明します。
オリエンテーションには、営業だけでなく、社内のマーケティング部門やメディア部門などが参加します。
そして、プレゼンに必要な情報をしっかりと聞き出す作業を実施します。
このオリエンテーションからプレゼンの中で、広告代理店の営業には多くの作業が求められます。
(広告代理店の営業マンが優秀か否かの腕の見せ所です)
オリエンテーションの前後に、クライアント側の本音の部分などをどれだけ聞き出せるか?は営業マンにとって非常に大切な作業です。
- 今回のキャンペーンの決定権は誰なのか?
- その人はどんな方向のプレゼンを期待しているのか?
- どんな広告メディアが好きなのか?
- 好きな芸能人は誰なのか?
出来るだけ詳しく聞き出す必要があります。
CMに芸能人を出演させるのであれば、決定権のある人が好きな芸能人は確認しなければいけません。
好きな芸能人と好きでもない芸能人を提案された場合、人間ですので好きな芸能人の提案の方が優先されるのが現実です。
日常の営業においてのコミュニケーションが非常に大切だということが分かります。
私も、好きな芸能人を聞き出して、提案することで提案が通った経験があります。
この時は、1番好きな芸能人が競合他社に出演していた為に提案が不可となり、
2番目に好きだと聞き出していた芸能人を提案しました。
(芸能人は出演している企業のCMの競合他社には出演しないのが普通です)
このクライアント側のニーズを聞き出す能力は社内の協力体制にも大きく影響します。
「あいつはクライアントから正確に多くの情報を聞き出すことができる」となれば、
社内での協力者のモチベーションも上がり優秀な人が集まってきます。
営業マンが、
『日常の業務においてクライアントとコミュニケーションを取れているのか』
が試されるのです。
【制作部(マーケティング)】
営業からの情報を元に、市場調査などを実施して企画を考えるのが制作部の仕事です。
マーケティング機能がありますので、“マーケ”と呼ばれたりします。
- コラーゲンの市場規模は?
- クライアントの市場でのイメージは?
- 競合他社の消費者の中心年齢は?
- 中心となる価格帯は?
- 売れる季節はいつなのか?
- 他のどのような商品と一緒に飲まれているのか?
- 競合他社はどのような広告展開をしているのか?
- 消費者はコラーゲンに何を求めているのか?
- 購入の動機は何なのか?
- 効果効能の範囲の広さは
- 他社が気づいていない新たなターゲト層があるのではないか?
- 他の異業種とのコラボの可能性はないのか?
- 販売は店舗中心か?インターネット中心か?
など多方面から調査をして、効果的な広告展開を立案します。
【媒体部】
マーケや営業からの情報を元に、テレビ・雑誌・ラジオ・インターネット・交通広告などの広告媒体の選定を行います。
この段階では制作費用を除いて広告媒体に投下する予算は概算で決まっています。
(テレビ広告1億、雑誌広告2千万、インターネット広告5千万、交通広告3千万など)
広告主のターゲットに対して、費用対効果よくメッセージを届けることができる広告媒体の選定が必要です。
日頃の情報量と媒体を組み合わせるセンスが求められます。
このように関係部署の情報を集めて、最終の提案書が作成されていきます。
【プレゼン当日】
プレゼンテーション資料は制作部門(マーケ)で作成するのが普通です。
プレゼンの資料は数十枚になるでしょう。プレゼンテーション当日は営業が司会進行して、制作部や媒体部と連動しながらプレゼンを実施します。
- クライアントの課題をクリアしているのか?
- 競合他社との差別化はできているか?
- 薬事法などの法規制をクリアしているか?
- 斬新であり尚且つ実現性が高いのか?
- 媒体者との協力体制はできているか?
- 広告媒体だけでなくPR体制も整っているか?
- 広告だけでなく販売戦略までストーリーとなっているか?
オリエンテーションの内容がクリアできていることは当然として、『プラスαの提案』が含まれていることも重要です。
広告主が気づいていないことも積極的に提案しなければけません。
プレゼン後
プレゼンが無事に通るとプレゼン内容を元に実作業に入ります。
プレゼン資料には想定要素も含まれていますので、
実際に作業に入るとプレゼンで提案した内容が実現できないトラブルは必ず発生します。
代替案などを絶えず想定しながら仕事を進行していく能力が広告代理店の営業マンには求められます。
提案時には契約できた芸能人が、発注時には競合他社と契約が締結され契約できない。みたいなことは充分に考えられます。
プレゼン時には何パターンか準備ができているのが普通です。
トラブルの解決能力もクライアントからの評価対象になります。
しっかりと対応しないと次回の仕事のチャンスがなくなります(次回は他社に任せよう・・・)
このように、1つの大きな仕事が決まるとキャンペーン終了までは多忙を極めるのが大手広告代理店の仕事です。
中小広告代理店の仕事内容とは!
一方で、中小広告代理店の場合は、大手広告代理店と同レベルでキャンペーン全てを管理出来るだけの能力も人手もありません。
そもそも、上記のようなプレゼン依頼は広告主からありません。では、何をしているのでしょうか?
- 大手広告会社が取引きしない広告予算の少ない中小の広告主と取引をする
- 大手広告会社が扱わない雑媒体の扱い(サンプリング、チラシなどの小予算の媒体)を獲得する
- 雑誌や交通広告、屋外広告などの自社の得意分野に特化した広告のみを獲得する事に集中する
- 大手広告代理店の下請に徹底して仕事を獲得する
中小広告代理店の仕事内容は会社規模と同様に小さな規模となります。
近年では広告キャンペーンを全て大手広告代理店に任せるパターンが増加しています。
いわゆる〖セントラル・バイイング〗です。
そうなると、中小の広告代理店では広告主と直接取引が出来なくなります。
結果として、売上を上げるためには、大手広告代理店の仕事の下請け先として仕事を獲得しなければなりません。
大手広告代理店の仕事を、中小広告代理店同士でを取り合うようなことも珍しくありません。
大手広告代理店の媒体部(媒体を発注する部門)には、多くの中小広告代理店が出入りしているのが現状です。
大手広告代理店も、社内の人件費抑制の為にも中小の広告代理店に発注することはマイナスではありません。
お互いにWin-Winの関係が構築されています。
中小広告代理店の売上の90%以上が大手広告代理店というのは珍しくありません!
まとめ
「トヨタ自動車や資生堂のテレビCMやるぞ!」
と社員20名程度の広告代理店に入社しても残念ながらそのような仕事は絶対にありません。
広告代理店の仕事内容は、規模により180°異なるのです。
これから広告代理店に就職を考えている方は、会社の規模による仕事の違いを理解した上で広告業界への就職を検討してください。
広告メディアの提案だけでなく、コンサルティングも含めた広告の仕事を希望する方は、大手広告代理店に就職することが必要です。
就職を希望する広告代理店の仕事内容をしっかりチェックしましょう!
広告代理店は仕事先として魅力的か?もお読みください。
広告代理店の仕事内容を職種別にも紹介しています。参考にしてください。
広告代理店の営業の仕事はこちらで詳しく紹介しています。
最新!日本の広告費2016年度を検証!もご覧ください。
広告代理店とは! はこちらです。