マスメディアの歴史、今後の展望について考える

マスメディアとは

マスメディアとは、大量の人々に情報、ニュース、エンターテイメントなどを伝える手段を持つメディアのことです。
既存メディア、従来型メディアとも言われることもあります。
主に以下のメディアが該当します。

  • 新聞:
    最も古い歴史があり、長い期間マスメディアをリードしてきたのが新聞です。
    販売収入・広告収入において、No.1は新聞でした。
    日本国内や、地域・国際的なニュースを伝える印刷物で、一般的には毎日、週刊、または月刊で発行されます。

    数十年前までは、今日のテレビ番組を確認するのは新聞のテレビ欄が当たり前でした。
    ニュース以外に、スポーツ、天気、エンターテイメント、広告なども掲載されます。

  • 雑誌:
    新聞に並び歴史が古いのが雑誌です。
    一般的には週刊、月刊、季刊などで発行される印刷物で、ターゲットを絞って特定の分野に焦点を当てていることが多くなっています。
    記事(ファッション・趣味・スポーツなど)、インタビュー、写真、広告などが掲載されます。
  • ラジオ:
    音声で構成された放送メディア。
    ニュース、音楽、トークショー、スポーツ、広告などのコンテンツが含まれます。
    ラジオというハードで聞くことが可能でしたが、近年はPCやスマートフォンなどでも聞けるようになってきています。
  • テレビ:映像と音声で構成された放送メディア
    ニュース、ドラマ、映画、スポーツ、広告などのコンテンツが放映されます。
    『テレビ離れ』が加速している状況ですが、一斉に情報を発信できるタイムリー性では最も優れていると言えます。

マスメディアの基本は以上の4メディアとなりますが、
最近では、大規模なリーチが可能であり、世界中の人々がアクセスできるインターネットもマスメディアに含まれるという考え方もあります。

インターネット:
ウェブサイト、ブログ、ソーシャルメディア、動画共有サイト、ポッドキャストなど。
ニュース、音楽、映像、インタラクティブなコンテンツ、広告などが含まれます。
PCやスマートフォン、タブレットなどを使ってアクセス可能。
広告メディアという点では、最も多くの広告費が投下されています。

このように、マスメディアは、情報伝達の方法が異なり、
メディアごとに違う形式で人々に情報を提供している状況となります。

つづいて、マスメディアの歴史を見てみましょう。

マスメディアの歴史

マスメディアの歴史は以下のように各メディアごとに異なります。
最も歴史が古いのは、紙メディアである新聞と雑誌です。

  • 新聞:
    17世紀初頭にヨーロッパで最初の新聞が登場。
    その後、18世紀に入りアメリカで最初の新聞が登場。
    19世紀後半になると技術の発達(ロータリープレスの発明)により大量印刷が可能になり、
    20世紀に入ると新聞の発行部数がピークに達します。
  • 誌:
    17世紀にヨーロッパで最初の雑誌が登場。
    その後、18世紀、アメリカで最初の雑誌が登場。
    19世紀に入ると、印刷技術の向上により雑誌の普及が進みます。
    そして、20世紀に入ると、様々な分野や趣味に特化した雑誌が増加しピークをむかえます。
    新聞と雑誌は同じような歴史を辿ってきています。

紙メディアに関しては、ヨーロッパの歴史が古く、アメリカが続く流れになっています。

  • ラジオ:
    19世紀末、無線通信技術が発明されます。
    そして、20世紀初頭にアメリカで最初のラジオ放送が開始。
    1920年代になると、世界中でラジオ放送が普及するようになります。
    そして、20世紀中盤になると、トランジスタラジオの登場によりポータブルタイプのなラジオが普及するようになります。
    そして近年ではPCやスマートフォンでも聞けるようになっています。
  • テレビ:
    20世紀初頭、電子式テレビシステムが発明されます。
    1930年代になるとアメリカとヨーロッパで最初のテレビ放送が開始。
    そして、1950年代にはアメリカでテレビが急速に普及しだします。
    1960年代以降には、白黒テレビからカラーテレビへ。そして、ケーブルテレビや衛星放送も登場します。
    現在では様々な形式の有料テレビが登場し、地上波だけではない生活様式が確立されてきています。
  • インターネット:
    1960年代、インターネットの前身であるARPANET(※)が開発されたと言われています。
    1990年代初頭、ウェブブラウザとHTTPの登場によりインターネットの普及が始まします。
    そして、2000年代には、ブログ・SNS、動画サイト(Youtubeなど)なども登場。
    2010年代以降には、スマートフォンの普及によりインターネットの利用がさらに加速、
    回線の技術も向上し、動画配信も当たり前の時代に入ります。

次に、マスメディアのビジネスモデルについて説明します。

マスメディアのビジネスモデル

マスメディアのビジネスモデルは、各メディアごとに異なります。

  • 新聞:
    購読料:宅配などの定期購読やコンビニ・駅などでの単品購入による収益。
    広告収入: 新聞内の広告スペースを企業や個人に販売することによる広告収入。
    オンライン収益:紙ではないウェブサイトやアプリ上での広告収入やデジタルでの購読料。
  • 雑誌:
    購読料:定期購読やコンビニ・書店・駅などでの単品購入による収益。
    広告収入: 雑誌内の広告スペースを企業や個人に販売することによる広告収入。
    オンライン収益: 紙ではないウェブサイトやアプリでの広告収入やデジタルでの購読料。
  • ラジオ:
    広告収入:放送時間内の広告スポットや提供枠を企業や個人に販売することによる収益。
    スポンサーシップ: 番組やイベントの開催によるスポンサーからの収益。
    オンライン収益: インターネットラジオやポッドキャストでの広告収入。
  • テレビ:
    広告収入: 放送時間内の広告スポットや提供枠を企業や個人に販売することによる収益。
    スポンサーシップ: 番組やイベントの開催によるスポンサーからの収益。
    支払い放送:有料チャンネルやオンデマンドコンテンツの購入料金
    再販権: 海外や他の放送局への番組販売。CDなどにいる二次販売による収益。
  • インターネット:
    広告収入: ウェブサイトやアプリ内の広告スペースを企業や個人に販売することによる収益。
    有料コンテンツ:記事や動画、ソフトウェアなどの有料販売による収益。
    サブスクリプション:定期購読や会員制のサービスからの収益。
    アフィリエイト収益:他社製品やサービスをWebサイトなどで紹介し得られる手数料。

新聞と雑誌は販売収入が占める割合も低くありませんが、
各メディアとも広告による収入が中心となっています。

また、近年ではデジタル化により従来型のマスメディアではビジネスモデルに変化が起きてきています。

デジタル化に伴うビジネスモデルの変化

 

デジタル化の進展に伴い、各メディアは新しいビジネスモデルや収益源を模索しています。

  • 新聞・雑誌:
    ・ペイウォール:紙の販売部数が減少する対策として、オンライン上のコンテンツへのアクセス時に課金。
    ・イベントやセミナーの主催:読者を対象とした有料イベントやセミナー(Webセミナー含む)の開催による収益拡大。
  • ラジオ:
    ・ストリーミングサービス:オンデマンドの音楽やポッドキャストを提供し、広告収入や定額の会員料をによる収益の拡大。
    ・マーチャンダイズ販売: 番組やラジオ局のグッズを販売し、収益につなげる。
    ・イベントやセミナーの主催:読者を対象とした有料イベントやセミナー(Webセミナー含む)
    ・また地域に密着したイベントの開催などによる収益拡大。
  • テレビ:
    ・動画ストリーミングサービス:オリジナルコンテンツや既存番組の提供、有料チャンネルによる定期会員料による収益の拡大。
    ・マーチャンダイズ販売: 番組やテレビ局のグッズを販売し、収益につなげる(テレビ局内のスペースの入場料なども)

デジタル化に伴い、従来型のマスメディアでは新しいビジネスモデルの構築が急務となっています。
メディアがテクノロジーの変化や競争に適応し、自社の強みやニーズに応じて、新しいビジネスモデルに取り組んでいます。

今後も、マスメディアは新しいビジネスモデルへと変貌を遂げていくことになるでしょう。

(※)ARPANET(Advanced Research Projects Agency Network)とは、
インターネットの前身となる広範囲なコンピュータネットワークです。
1960年代後半にアメリカ国防総省の高等研究計画局(ARPA、現在のDARPA)によって開発された技術です。
開発された目的は、大学や研究機関の間での情報を共有し、コンピュータ上の資源(情報)を効率的に利用すること。と言われています。

 

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