電通とNTTDOCOMOの取り組み

OOHの新会社「LIVE BOARD」とは!

屋外広告に関して、新しい取り組みを繰り返している電通ですが、2019年2月にNTT DOCOMOと新しい取り組みを開始しました。
今回は取り組みだけでなく「LIVE BOARD」という新会社を設立。
資本金が50億(資本準備金25億円含む)という規模ですので本気度が今までとは違います。

最近の取り組みの代表的な例は下記2点でした。

  1. ヤフーと共同で人気があると思われるコンテンツを配信する取り組み
  2. 人工知能を活用した5社共同企画

 

広告会社がリリースする上記の様な取り組みはリリースのみで終了というのは珍しくありません。
しかし、今回は50億円という出資額の新会社設立ですので、失敗する訳にはいかないでしょう。

では、今回の取り組みはどのような内容でしょうか?
詳しく検証してみます。

 

新会社「LIVE BOARD」の取り組みとは

ドコモと電通がデジタルOOH広告の新会社「LIVE BOARD」を設立。

ドコモの出資額の方が51%と多くなっていますが、電通出身者が社長をする仕組みになっています。
広告を集める仕事ですから当然でしょう。

新会社の大きな目標は【携帯電話ネットワークの運用データを活用し、日本初のインプレッションに基づくOOH広告の販売を実現】となっています。

リリースを元に内容をチェックしてみましょう!

 

1.新会社設立の目的

携帯電話や各種サービスのマーケティングデータを保有するドコモと、日本有数の広告の取引実績や運用実績を持つ電通が、
それぞれのノウハウとアセットを活用し、OOH視聴データの整備や広告取引の自動化等を実現することにより、
現在のOOH広告における課題を解決するとともに、スマートフォンとの連動など新たな価値を付加したDOOH事業の普及・拡大をめざします。

  • OOHの課題とは、広告効果が不明であること。取引が煩雑でアナログ対応が中心であること。
    結果として、広告主の要求に答えられず、日本国内のOOHの成長率が
    鈍っていると言われています。この課題を解決したいということでしょう。
    しかしながら、何をどうしたいのか?この内容だけでは何も分かりません。
    この辺りは10年以上前から言われている課題で、屋外広告に詳しい方であれば「それで?」という内容です。多くの人はその先を知りたいんですね。
    もう少し詳しく説明しましょう!

 

2.新会社による事業の特長

 

  1. 「LIVE BOARD」社は、複数の「DOOH媒体」を横断して複数の広告主が購入できるオンラインのプラットフォームを構築・運営する。
    つまり、DOOH市場において日本初となるインプレッションに基づく広告枠の販売を行うとしています。
    つまり、現状運営されているデジタル系のサイネージと自社で開発するデジタルサイネージをパッケージとして、オンラインにてインプレッション数を評価基準とした広告枠の販売を開始するということです。アナログで人と人が打ち合わせをして販売することが普通であるデジタルサイネージをWeb上で販売することを目標としています。
    どれだけの数のデジタルサイネージ運営会社をパッケージに取り込めるかがポイントになってくるでしょう。
  2. ドコモの携帯電話ネットワークの運用データを基にした人口統計「モバイル空間統計®」などのデータを活用する。
    つまり、曜日や時間帯ごとに広告設置場所周辺にいた性別・年代等セグメントごとの人数を可視化することで、ターゲットに応じた最適な広告枠の販売を行うということです。ドコモが把握している位置情報によるサーキュレーションデータを元に、デジタルサイネージの視認範囲のサーキュレーションを算出するということです。
  3. 「DOOH」と通行者が持つスマートフォンが連動するなど、新たな付加価値のある広告商品の開発・提供を行います。
    この目標は10年以上前から屋外広告の大きな課題となっています。どのような取り組みを開始するのか注目したいところです。
  4. 5G回線を活用した高画質・低遅延での広告動画伝送の実現をめざします。
    これは当然の流れです。全ての分野で5Gの取り組みは始まります。屋外広告でも必須の分野であると言えます。

 

広告主にとってはメリットがあるのか?

 

では、今回の「LIVE BOARD」の取り組みは、広告主にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
広告主にとってメリットが無ければ、この取り組みは必ず失敗します。

広告主にとってのメリットは、今まで広告効果が不明であった屋外広告を、ターゲティングとインプレッション数で評価して購入できるようになるということです。
また、その購入が運用型広告と同様にオンラインで完結できるようになるということです。

広告主は、広告予算を元に1インプレッション単価で広告枠を購入していくことになります。

広告主にとってのデメリット

広告主にとっては、メリットだけではありません。
考えられるデメリットは、インプレッション数による販売の為、メディアを選べない。ということです。
インターネット広告と同じ手法ですので、当然です。

そもそも屋外広告というのは、場所で選定をします。若者であれば渋谷・原宿、オタクであれば秋葉原、ビジネスマンであれば新橋、OLであれば丸の内など。
場所を選定すれば、ある程度のターゲットは絞ることが可能です。
今回の取り組みはNTT DOCOMOのデータによるターゲティングですので、場所は選べません。
郊外の駅前や、地味なビルの最上部などより、渋谷などの一等地で放映したいと思うのは当然の希望です。

しかし、この希望は通りません。インプレッション数を消化するというのが目的になります。
どこで放映しても場所は関係ない。インプレッションを消化したい。という場合にはいいでしょう。

 

既存のデジタルサイネージ運営会社は儲かるか?

 

では、既存のデジタルサイネージ運営会社は、参画することで儲かるでしょうか?

広告枠がどれだけ販売できるか?によりますが、サーキュレーション数が多いにも関わらず広告枠の販売が上手に出来ていない運営会社では今より儲かる可能性があります。
また、優秀な営業マンが不在の企業もいいでしょう。「LIVEBOARD」社がオンラインで勝手に販売してくれますので、参画するメリットは大きいと言えます。

逆に、広告集広が順調な企業ではメリットは少ないでしょう。今の段階では独自に販売していた方が収入は多いと言えます。

 

ライブドードのまとめ

2019年より屋外広告でもインプレッション数に基づく販売が開始されました。
屋外という地域の特性を重視する考え方をインプレッションという考え方にシフトすることができるのか?が大きなポイントでしょう。

しかし、2020年の段階では判断はつかないでしょう。
広告放映ができるサイネージのレベルを下げないこと(無暗に3流スペースにサイネージを設置しないこと)そして、PCやスマートフォンへの配信とセットで考えることが出来るようになること。が重要でしょう。

「LIVE BOARD」社が成功するか?は誰にも分かりませんが、考え方としては時代に即した方法であることは間違いありません。

広告業界の方は注目しておきましょう!