日本の広告代理店ランキングは、かつてはとても分かりやすいものでした。
電通、博報堂、ADK、大広、東急エージェンシー。大手総合広告代理店を売上高順に並べれば、だいたいの業界地図が見えたからです。
しかし、2026年時点の広告業界は、もうそれほど単純ではありません。
電通と博報堂DYは今も圧倒的な存在感を持っています。
一方で、サイバーエージェントのようなデジタル系企業が急成長し、ADKは非上場化によって外から数字が見えにくくなりました。
さらに、交通広告・OOHに強いJR東日本企画のような専門系代理店も、独自の存在感を高めています。
この記事では、2026年時点で確認できる最新決算や公開情報をもとに、日本の主要広告代理店ランキングと、広告業界の勢力図がどのように変わったのかを整理します。
- 広告代理店ランキング2026|主要広告会社の規模比較
- 注意点|広告会社の「売上高」と「収益」は同じではない
- 1位:電通グループ|国内最大手だが、海外事業の再建が課題
- 2位:博報堂DYホールディングス|堅実な国内大手2番手
- 3位:サイバーエージェント|デジタル広告時代の実質的な上位プレイヤー
- 4位:ADKホールディングス|かつての大手3番手は、見えにくい存在へ
- 5位候補:JR東日本企画|交通広告・OOHに強い専門系代理店
- 10年前の広告代理店ランキングと比べると何が変わったのか
- 広告代理店ランキングから見える3つの変化
- 就職・転職で広告代理店ランキングを見るときの注意点
- 広告主・媒体社は広告代理店ランキングをどう見るべきか
- 関連記事|広告代理店・広告業界をさらに読む
- まとめ|広告代理店ランキングは「順位」より「業界地図」として読む
広告代理店ランキング2026|主要広告会社の規模比較
まず、2026年時点で確認できる主要広告会社の規模感を整理します。
ただし、ここで注意したいのは、各社が公表している数字の種類が異なることです。
電通グループはIFRSベースで「収益」を中心に開示しており、博報堂DYやサイバーエージェントは「売上高」を公表しています。
したがって、以下は厳密な売上高ランキングではなく、主要プレイヤーの規模感を把握するための業界地図として見てください。
| 順位 | 会社名 | 最新の規模 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 電通グループ | 収益 約1兆4,352億円 売上総利益 約1兆1,975億円 2025年12月期 |
国内最大手。日本事業は強い一方、海外事業の減損で大幅赤字 |
| 2位 | 博報堂DYホールディングス | 売上高 約1兆5,804億円 収益 約8,610億円 2026年3月期 |
国内大手2番手。減収ながら利益面は改善し、堅実な印象 |
| 3位 | サイバーエージェント | 売上高 約8,740億円 うちインターネット広告事業 約4,612億円 2025年9月期 |
デジタル広告・ABEMA・ゲームを持つ新しい大手広告企業 |
| 4位 | ADKホールディングス | 非上場のため詳細非公表 | 旧大手3番手。現在は非上場化により業績規模が見えにくい |
| 5位候補 | JR東日本企画(jeki) | 約1,000億円超規模と見られる | 交通広告・駅メディア・OOHに強い専門系代理店 |
※各社の最新決算資料・公開情報をもとに当ブログで整理。会計基準や開示項目が異なるため、厳密な売上高順位ではなく、主要広告会社の規模感を把握するための比較です。
参照:電通グループIR情報、博報堂DYホールディングスIR情報、サイバーエージェントIR情報
2026年の広告代理店ランキングは、単純に「売上高が大きい順」で見るよりも、「総合広告代理店」「デジタル広告」「交通広告・OOH」「データ・コンサルティング」のどこに強い会社なのかを見る方が実態に近くなっています。
注意点|広告会社の「売上高」と「収益」は同じではない
広告代理店ランキングを読むときに、必ず理解しておきたいのが「売上高」と「収益」の違いです。
広告会社は、広告主から預かった広告費のすべてが自社の取り分になるわけではありません。テレビ局、新聞社、Web媒体、OOH媒体、制作会社、イベント会社などに支払う費用が含まれているからです。
| 見方 | イメージ | 意味 |
|---|---|---|
| 売上高:取扱高に近い見方 | 広告主が支払った広告費全体 | 広告会社が動かした金額の大きさに近い |
| 収益:売上総利益に近い見方 | 広告会社に実際に残る取り分 | 広告会社の実力や収益性を見る指標に近い |
たとえば、広告主が広告代理店に100万円を支払ったとしても、そのうち80万円を媒体費として支払い、20万円が代理店側に残るとします。この場合、100万円をどう見るか、20万円をどう見るかで、会社の規模感は変わって見えます。
電通グループはIFRSで「収益」を中心に開示しています。
一方、博報堂DYやサイバーエージェントは「売上高」を公表しています。
そのため、数字を横並びで単純比較すると、実態を読み間違える可能性があります。
広告代理店ランキングは、数字の大小だけで判断するのではなく、「その数字が何を表しているのか」を確認することが重要です。
1位:電通グループ|国内最大手だが、海外事業の再建が課題
電通グループは、日本の広告業界を代表する最大手企業です。
2025年12月期の電通グループは、収益が約1兆4,352億円、売上総利益が約1兆1,975億円という規模です。
日本事業は堅調に推移している一方で、海外事業ののれん減損により、最終損益は大幅な赤字となりました。
ただし、電通を「赤字だから弱い」と単純に見るのは危険です。
国内の広告市場における影響力、官公庁・大手企業との取引基盤、テレビ・デジタル・スポーツ・イベント・データ領域での総合力は、今も圧倒的です。
問題は、国内の強さではなく、海外買収で広げた事業をどこまで立て直せるかです。
今後の電通を見るうえでは、売上規模だけでなく、海外事業の収益性、構造改革、国内事業の成長力を合わせて見る必要があります。
2位:博報堂DYホールディングス|堅実な国内大手2番手
博報堂DYホールディングスは、電通に次ぐ国内大手広告グループです。
2026年3月期の売上高は約1兆5,804億円、収益は約8,610億円です。
売上高は前期比で減少しましたが、営業利益や純利益は改善しており、収益性の面では堅実な動きを見せています。
博報堂DYの特徴は、生活者発想、クリエイティブ、マーケティング、メディア、デジタルを組み合わせた総合力です。
電通ほどの巨大な存在感ではないものの、国内市場では依然として極めて強いポジションを持っています。
一方で、今後はデジタル領域、データ活用、コンサルティング、海外事業でどこまで成長できるかが問われます。電通との違いは、規模の差だけでなく、クライアントとの関係性や提案スタイルにも表れています。
3位:サイバーエージェント|デジタル広告時代の実質的な上位プレイヤー
サイバーエージェントは、もはや「ネット広告の会社」というだけでは説明できない規模になっています。
2025年9月期の連結売上高は約8,740億円。
そのうちインターネット広告事業だけで約4,612億円の売上高があります。
さらに、ABEMAを中心としたメディア事業、ゲーム事業、IP事業も展開しており、広告会社とメディア企業の両方の顔を持っています。
広告代理店ランキングでサイバーエージェントを見るときに重要なのは、同社が従来型の総合広告代理店ではないという点です。
テレビ枠や新聞広告を中心に伸びた会社ではなく、運用型広告、データ、AI、動画、SNS、アプリ広告とともに成長してきました。
つまり、サイバーエージェントの成長は、日本の広告費がテレビ中心からインターネット中心へ移ったことを象徴しています。
サイバーエージェントは、広告代理店ランキングの中で「デジタル広告時代の勝者」として見るべき存在です。従来型の総合代理店とは違うルールで成長してきた会社です。
4位:ADKホールディングス|かつての大手3番手は、見えにくい存在へ
ADKは、かつて電通、博報堂に次ぐ国内大手広告代理店として位置づけられていました。
しかし、2018年に投資ファンド傘下で非上場化したことで、現在は外部から業績規模を把握しにくくなっています。
そのため、ランキング表の中では「何位」と明確に置きづらい会社になりました。
それでも、ADKが広告業界で重要な存在であることに変わりはありません。
アニメ、コンテンツ、販促、クリエイティブ、マーケティングソリューションなど、独自の領域に強みを持っています。
広告代理店ランキングを見るとき、ADKは「昔の大手3番手」ではなく、「非上場化後に独自路線へ進んだ広告グループ」として見るのが現実に近いと思います。
5位候補:JR東日本企画|交通広告・OOHに強い専門系代理店
JR東日本企画、通称jekiは、総合広告代理店ランキングでは見落とされがちですが、交通広告やOOH領域では非常に重要な会社です。
駅、電車、車内ビジョン、駅ナカメディア、商業施設、生活者データなど、JR東日本グループの接点を活用できる点が大きな強みです。
広告業界全体がデジタル化するなかで、リアルな場所で接触できるOOHや交通広告の価値は再評価されています。
特に、スマートフォン広告だけでは届かない生活動線上の接触を設計できる点で、交通広告系代理店の役割は今後も残るはずです。
10年前の広告代理店ランキングと比べると何が変わったのか
広告代理店ランキングの変化を見るには、10年前と比べると分かりやすくなります。
| 順位 | 2015年前後の主な会社 | 当時の印象 |
|---|---|---|
| 1位 | 電通 | 圧倒的な国内最大手 |
| 2位 | 博報堂 | 電通に次ぐ総合広告代理店 |
| 3位 | ADK | 大手総合代理店の3番手 |
| 4位 | サイバーエージェント | インターネット広告の成長企業 |
| 5位 | 大広・東急エージェンシーなど | 総合代理店・ハウスエージェンシー系が存在感 |
10年前の広告代理店ランキングは、総合広告代理店を中心に見れば説明できました。
しかし現在は、デジタル広告、運用型広告、SNS、動画、データ、AI、OOH、リテールメディア、コンサルティングまで広告会社の役割が広がっています。
そのため、昔のように「売上高ランキングだけで業界地図を見る」ことが難しくなっています。
広告代理店ランキングから見える3つの変化
1. 大手2社は強いが、広告業界の中心は広がった
電通と博報堂DYは、今も日本の広告業界の中心にいます。
しかし、広告業界の中心は大手総合代理店だけではありません。
デジタル広告、SNS、動画、運用型広告、インフルエンサー、リテールメディア、OOH、データマーケティングなど、領域ごとに強い会社が分かれています。
つまり、広告代理店ランキングを見るときは、「総合力で強い会社」と「特定領域で強い会社」を分けて考える必要があります。
2. サイバーエージェントが“実質3位級”の存在になった
サイバーエージェントの成長は、広告業界の変化を最も分かりやすく示しています。
かつてはインターネット広告の成長企業という位置づけでしたが、今では連結売上高8,000億円を超える企業になっています。
インターネット広告事業だけでも4,000億円を超えており、デジタル広告市場における存在感は非常に大きいです。
これは、広告費の重心がテレビ・新聞・雑誌・ラジオから、インターネット広告へ移ったことを象徴しています。
3. 非上場化・事業多角化でランキングが見えにくくなった
ADKの非上場化、サイバーエージェントのメディア・ゲーム事業、電通や博報堂DYのコンサルティング・データ領域への拡張により、広告代理店ランキングは以前より複雑になりました。
どこまでを広告代理店の売上と見るのか、どこからをメディア事業やコンサルティング事業と見るのかが、会社によって異なるからです。
これからは、ランキングの順位そのものより、「その会社がどの広告領域で強いのか」を見る方が実務的です。
就職・転職で広告代理店ランキングを見るときの注意点
広告業界への就職や転職を考えている人にとって、ランキングは分かりやすい入口になります。
ただし、会社の規模が大きいからといって、自分に合う会社とは限りません。
電通や博報堂DYのような大手総合代理店には、大型案件、全国キャンペーン、官公庁案件、大企業のマーケティング支援などに関われる魅力があります。
一方で、組織が大きく、配属や担当領域によって経験できる仕事に差が出ることもあります。
サイバーエージェントのようなデジタル系企業では、スピード感、運用型広告、データ活用、AI、動画・SNS領域に強くなれる可能性があります。ただし、変化が速く、成果へのプレッシャーも大きいはずです。
ランキングよりも確認すべきこと
- 自分がマス広告をやりたいのか、デジタル広告をやりたいのか
- 営業、プランニング、運用、クリエイティブ、データ分析のどれに向いているのか
- 大企業の大きな案件に関わりたいのか、早く実務経験を積みたいのか
- 会社の知名度を重視するのか、担当できる仕事の幅を重視するのか
- 将来、転職や独立を考えたときにどんな経験が武器になるのか
広告代理店ランキングは、会社選びの入口にはなります。ただし、本当に重要なのは「有名な会社かどうか」ではなく、「その会社でどんな広告経験を積めるか」です。
広告主・媒体社は広告代理店ランキングをどう見るべきか
広告主や媒体社にとっても、広告代理店ランキングは参考になります。
ただし、広告主が代理店を選ぶときに見るべきなのは、会社の規模だけではありません。
大手代理店には大きな案件を動かす力がありますが、すべての広告主にとって最適とは限りません。
中小企業や地域企業であれば、巨大代理店よりも、業界理解が深い専門代理店や、実務に近い距離で動いてくれる会社の方が合う場合もあります。
広告主が見るべきポイント
- 自社の業界に詳しいか
- マス広告、デジタル、OOH、PRのどこに強いか
- 提案だけでなく、運用・改善までできるか
- 担当者が自社の事業を理解してくれるか
- 大きな予算だけでなく、小さく試す提案ができるか
媒体社が見るべきポイント
- どの代理店が自社媒体の領域に強いか
- 広告主との関係性を持っているか
- デジタルやデータを組み合わせた提案ができるか
- 媒体の価値を正しく説明してくれるか
- 単なる枠売りではなく、企画として提案できるか
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まとめ|広告代理店ランキングは「順位」より「業界地図」として読む
2026年時点の日本の広告代理店ランキングを見ると、電通・博報堂DYの2強構造は今も続いています。
しかし、その一方で、サイバーエージェントのようなデジタル系企業が大きく伸び、ADKは非上場化によってランキング上では見えにくくなりました。さらに、交通広告・OOH、データ、AI、リテールメディアなど、広告会社の強みは領域ごとに分かれています。
- 電通は国内最大手だが、海外事業の再建が課題
- 博報堂DYは国内大手2番手として堅実なポジションを維持
- サイバーエージェントはデジタル広告時代の実質的な上位プレイヤー
- ADKは非上場化により、外から規模が見えにくい存在に変化
- JR東日本企画のような専門系代理店も、特定領域では強い存在感を持つ
これから広告代理店を見るときは、単純な順位だけでは不十分です。
大切なのは、その会社が「何の広告に強いのか」「どのクライアントに選ばれているのか」「デジタル時代にどんな役割を果たしているのか」を見ることです。広告代理店ランキングは、順位表ではなく、広告業界の変化を読むための地図として使うべきです。

