AI時代の購買行動モデル:AIDMAやAISASを超えて!

広告・マーケ用語解説

はじめに

広告やマーケティングの世界では、消費者の購買行動を説明するために、さまざまな「法則」が用いられてきました。

マスメディア時代の AIDMAの法則、インターネット時代の AISASの法則 はその代表例です。このブログでも、この2つの法則の記事をブラッシュアップしたばかりです。

図解でわかる!AIDMAとAISASの違い!マーケティングの基本モデルを3分でおさらい!

これらの法則は今でも重要であることに変わりはありません。しかし、AIの普及によって消費者の行動は大きく変化しつつあるのです。

ちょっと前まではAISASの法則が当たり前でしたし、この法則が当面は続くだろうと考える人も多かったでしょう。しかしAIの普及によって、急速に新しい法則が誕生してきています。

現在の広告の世界は、まさに「過渡期」です。本日は、AI時代における新しい購買行動モデルとして考えられる3つの説を紹介します。

AIDMA・AISASの簡単なおさらい

  • AIDMA(Attention → Interest → Desire → Memory → Action):1920年代の購買行動モデル。テレビや新聞などマスメディアを前提に構築された。
  • AISAS(Attention → Interest → Search → Action → Share):2000年代以降のインターネット・SNS時代に登場。検索と共有が重視された。

※詳細は別記事(図解でわかる!AIDMAとAISASの違い!マーケティングの基本モデルを3分でおさらい!)をご覧ください。

AI普及による変化の本質

  • 検索行動の変化:商品のレビューや簡単な調べものはAIで済ませるケースが増えてきています(一方で、しっかり調べたい場合には依然として検索を活用する人も多い
  • 共有よりも推奨:SNSでシェアするより、AIのレビューやランキングを参照する行動が増加してきています。
  • AIがゲートキーパー化:これまでは検索エンジンやSNSが情報の入口でしたが、今はAIが最初に情報を整理し提示する場面が増えています。その結果、消費者が目にする情報はAIによって選別されやすくなっており、広告主にとっては「人」に直接伝えるだけでなく「AIに理解される」情報設計を考える必要があるのです。

新説1:AIDeAの法則

Attention → Interest → Desire → AI recommendation → Action

  • 従来のAIDMAをベースに、「AI recommendation(AIの推薦)」を追加。
  • 消費者が自ら調べるのではなく、AIが候補を絞り込んで提案するのが特徴。
  • AmazonのレコメンドやChatGPTの提案で商品を選ぶケースに近い。

👉 3つの中で最もシンプルで理解されやすく、現場で応用しやすいモデルです。

新説2:AIREAの法則

Attention → Interest → Recommendation → Evaluation → Action

  • 中核に「Recommendation(推薦)」が入り、消費者はAIの提案を「Evaluation(評価)」して購買に至る。
  • 例:AIがレビューを要約し「最も人気のある選択肢」を提示、消費者は確認して行動。
  • 情報過多の時代に、AIが“整理・要約”する役割を持つのがポイント。

新説3:AI-SASの法則

AI → Suggest → Action → Share

  • 従来のAISASをAI時代にアップデートしたモデル。
  • 最初の「Attention」がAIに置き換わり、入口は「AIからの提案」。ここでいうAIの提案とは、ユーザーがAIアプリやサービスを開いたときに、自分の嗜好や過去の行動に基づいて商品や情報がレコメンドされることを指します。これはAIの画面に広告やおすすめ情報が組み込まれるイメージに近く、ユーザーはそれをきっかけに行動を起こすことになります。
  • 行動後は従来同様に「Share(共有)」が購買拡大に貢献する。
  • AIが「きっかけ作り」に大きな影響力を持つ点で、SNS時代の延長線にあるモデル。

まとめ:AIに選ばれるブランドへ

  • AIDMA → AISAS → AI時代の新モデル(AIDeA / AIREA / AI-SAS) と進化してきた。
  • 特に AIDeAの法則 は実務でもイメージしやすく、広告主やマーケターにとって分かりやすい軸となる可能性があります。
  • 他2つ(AIREA・AI-SAS)は、今は補足的に理解するとよいでしょう。

今後、消費者は「検索」ではなく「推薦」から購買に入るケースが増えると考えられます。

ただし、しっかりと自分で検索して調べてから購入する層も依然として存在します。広告主に求められるのは、従来の検索行動に対応しながら、AIに理解・推薦されやすい情報設計(LLMO/AEO対応)を整えることです。

AI時代の購買行動を意識した取り組みを早めに進めることが、これからの競争力につながります。

また、今回紹介する法則も近いうちに古くなる可能性も否定できません。常にアンテナを伸ばすことが重要です。