広告営業のBtoBで、最も多いボトルネックがこれです。
「担当者には刺さったのに、上に上がらない。」
「稟議を出してくれたらしいが、そのまま止まっている。」
「決裁者に会えないまま、案件が消えた。」
担当者との関係がどれだけ良くても、決裁者に情報が届かなければ受注は生まれません。
本記事では、広告営業のBtoB特有のボトルネック「決裁の壁」を突破するための、
- 決裁構造の読み方
- 担当者を「社内営業マン」に変える支援術
- 稟議が通りやすい説明資料の設計
- 決裁者と直接話す機会の作り方
を、現場目線で解説します。
なぜ広告営業は「決裁の壁」で詰まるのか
BtoB広告営業の意思決定は、多くの場合こうなっています。
- 窓口担当者(営業・マーケター)が検討
- 上長(部長・マーケティング部長)が承認
- 役員・経営が最終判断
問題は、営業が接点を持てるのは「窓口担当者」だけ、というケースがほとんどだということです。
担当者がいくら良いと思っても、その人には決裁権がありません。
担当者が社内で説明するとき、代理店営業の「熱量」は伝わりません。
伝わるのは、「数字・事例・リスクの低さ」だけです。
つまり、担当者が決裁者に説明しやすい「武器」を作ってあげることが、受注への最短ルートです。
決裁構造を読む|まず「誰が決めるか」を把握する
攻略の前に、決裁構造を把握することが必要です。
ただし「誰が決めるんですか?」と直接聞くのは失礼です。
代わりに、以下の質問で自然に引き出します。
- 「社内でご検討いただく際、どなたかと一緒にご覧いただく機会はありますか?」
- 「このご提案を進めるにあたって、社内での承認ステップはどんなイメージになりますか?」
- 「稟議書のような形で社内に出される場合、どんな情報があると通りやすいでしょうか?」
最後の質問が特に有効です。
「稟議に必要な情報を教えてください」という姿勢は、担当者の社内説明を手伝う姿勢として好意的に受け取られます。
把握すべき決裁情報のチェックリスト
- □ 最終決裁者は誰か(役職・部署)
- □ 承認ステップは何段階か
- □ 稟議書の有無・形式
- □ 予算の管理は誰の所轄か
- □ 年間・四半期の予算サイクルはいつか
- □ 競合他社を含め、何社と比較しているか
担当者を「社内営業マン」にする支援術
担当者は、決裁者に対して自分なりの言葉で説明しなければなりません。
しかしその担当者は、広告の専門家ではありません。
ここで代理店営業がやるべきことは、担当者が上司・役員に説明しやすい「素材」を渡すことです。
担当者に渡すべき「社内説明の武器」
① 1枚サマリー(意思決定者向け)
詳細な提案書とは別に、A4・1枚で完結するサマリーを用意します。
記載内容は以下の4点だけで十分です。
- 背景・課題(御社のこんな課題に対して)
- 提案内容(こういう施策を提案します)
- 期待できる効果(数値・事例ベースで)
- 費用・スケジュール(概算でOK)
決裁者は提案書を最初から読みません。
1枚で全体像が掴めるサマリーが、判断を早めます。
② 同業・競合他社の事例
決裁者が一番気にするのは「他社でどうだったか」です。
社名は出せなくても、「同業他社A社での実施事例」として、規模・効果・期間をまとめた資料を用意します。
「他社がやって成果が出ている」という事実は、最も強い説得材料です。
③ リスクの裏返し資料
決裁者がGOを出せない理由の多くは「失敗したときが怖い」という心理です。
これに対して、以下を明示することでリスクを下げます。
- 効果が出なかった場合の補償・対応方針
- 最低保証の数字(インプレッション保証など)
- 途中解約・変更の可否
「失敗したときのリスクが小さい」と思ってもらえれば、判断のハードルが下がります。
稟議が通りやすい「説明資料」の設計
稟議書の中身は代理店が作るものではありませんが、稟議書のたたき台を作ってあげることは可能です。
これは担当者に非常に喜ばれる行為であり、かつ「自社に有利な情報が稟議に乗る」という効果があります。
稟議たたき台テンプレート(概要)
【稟議書たたき台】◯◯広告施策の実施について
1. 目的
・◯◯を目的とした広告施策の実施
2. 背景・課題認識
・◯◯(現状の課題や機会)
3. 提案内容
・媒体:◯◯
・期間:◯月◯日〜◯月◯日
・配信ターゲット:◯◯
4. 期待効果
・◯◯(KPI):◯万回 / ◯◯% 改善
・参考:同業他社A社実績(◯◯%の認知向上)
5. 費用
・合計:◯◯万円(税別)
6. リスクと対応方針
・◯◯保証あり / 途中変更可能
7. スケジュール
・◯月◯日 最終決定期限
・◯月◯日 配信開始
このたたき台を担当者に渡すとき、「ご自由に修正いただいて構いません」と一言添えるのがポイントです。担当者の主体性を尊重することで、社内での動きが早くなります。
決裁者と直接話す機会を作る方法
最も確実なのは、決裁者と直接話す場を作ることです。
ただし、「上の方もご同席いただけますか?」と直接聞くのは、担当者の立場を考えると難しい場合があります。
自然に決裁者同席を実現するアプローチ
① 「特別な機会」をフックにする
「弊社の事例を手がけた担当者も同席できますので、よければ、御社の担当の方にもご参加いただけますか?」
「特別な人が来る」「限定の機会」というフレームで、担当者が上司を誘いやすくなります。
② 担当者に「上への報告の場」を作らせる
「○○さんにお手間ばかり掛けてしまっている状況ですので、上長の方にもご説明できる場をセッティングいただけると、よりスムーズに進められると思います。いかがでしょうか?」
「自分たちのため」という言い方にすることで、担当者が動きやすくなります。
③ 「工場見学・視察」型の接触を活用する
媒体によっては、スタジオ見学・OOH視察・イベントへの招待など、カジュアルな場で決裁者と接触できる機会があります。
商談の場ではなく、体験の場を作ることで、決裁者の印象に残りやすくなります。
よくある質問|決裁者攻略Q&A
Q. 担当者の顔を立てながら決裁者にアプローチするには?
A. 大前提として、担当者の頭越しに動くのはタブーです。「◯◯さん(担当者)のご提案を社内でスムーズに進めていただくために」という文脈で動くことが鉄則です。担当者の評価を上げる形で進めることで、信頼関係も強化されます。
Q. 稟議がなかなか上がってこない場合は?
A. 担当者が「社内で説明しにくい状態」になっている可能性があります。1枚サマリーや稟議たたき台を改めて渡し直すことと、「具体的に社内でいつ頃動けそうか」を確認することで、状況が変わることが多いです。
Q. 予算の承認時期を逃してしまった場合は?
A. 次の予算サイクルに向けて動くための「情報提供」として、関係を継続することが重要です。「来期に向けてご参考になる資料をお送りします」という形で連絡を続け、タイミングを待ちます。
まとめ|決裁者攻略は「担当者の社内営業を支援すること」
決裁者攻略で最も大切なことは、担当者を通じて決裁者に情報を届ける設計を作ることです。
- 決裁構造を早い段階で把握する
- 担当者が説明しやすい「武器(1枚サマリー・事例・リスク対応)」を渡す
- 稟議のたたき台を作ってあげる
- 決裁者と接触できる場を自然に作る
担当者の「社内評価を上げる形」で動くことが、信頼とスピードの両立につながります。
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