2024年度の世界の広告代理店TOP10
最新のデータをもとにした、2024年度の世界の広告代理店トップ10をご紹介します。
- Publicis Groupe – フランス・パリ
- Omnicom Group – アメリカ・ニューヨーク
- WPP – イギリス・ロンドン
- Dentsu Group – 日本・東京
- Interpublic Group (IPG) – アメリカ・ニューヨーク
※2024年12月にOmnicom Groupに買収されたが、ランキングは買収前のデータを基に算出。 - Accenture Interactive – アイルランド・ダブリン
- Hakuhodo DY Holdings – 日本・東京
- Havas Group – フランス・パリ
- BlueFocus – 中国・北京
- MDC Partners – カナダ・トロント
※ 2024年12月、Omnicom GroupがInterpublic Groupを約133億ドルで買収しました。この買収により、Omnicom Groupは業界最大手の一角としての地位を確立しました。買収は全株式交換によるもので、Omnicom株主が新会社の60.6%、Interpublic株主が39.4%を所有する形となっています。統合後、年間7億5000万ドルのコストシナジー効果が見込まれています。なお、売上高では依然としてPublicis Groupeが業界最大手の地位を維持しています。
順位については様々な調査機関で異なり、常に変動する可能性があります。また、今回紹介するランキングでは、Publicis Groupeが1位となっていますが、調査機関によっては、WPPやOmnicom Groupが上位に来る場合もあります。
2024年度 売上高ランキング
では、上記順位について、金額ベースで見てみましょう!(1ドル=130円、1ユーロ=150円で換算)
- Publicis Groupe – 約2兆1,000億円
- Omnicom Group – 約1兆9,000億円
- WPP – 約1兆8,500億円
- Dentsu Group – 約1兆6,000億円
- Interpublic Group (IPG) – 約1兆4,000億円(Omnicom買収前のデータ)
- Accenture Interactive – 約1兆2,500億円
- Hakuhodo DY Holdings – 約1兆円
- Havas Group – 約9,000億円
- BlueFocus – 約8,000億円
- MDC Partners – 約7,000億円
日本企業のプレゼンス強化
2024年度も電通グループと博報堂DYホールディングスの2社がトップ10にランクインしています。
電通グループ
電通グループの売上を分解すると、売上総利益の約60%を海外事業から得ており、グローバル市場での存在感を強めていると言えます。
地域別では、日本が40%、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)が22%、アメリカ大陸が24%、アジア太平洋が14%を占めています。
この海外展開を支えるために、電通グループは積極的に海外のデジタルマーケティング企業やクリエイティブエージェンシーを買収し、M&Aを活発に推進しているようです。
さらに、AIを活用した広告配信の最適化などを協会し、クライアントへ価値のある提案力を高めていると思われます。
博報堂DYホールディングス
博報堂も、海外事業が売上総利益の約25%を占めており、国際市場での影響力を拡大しています。
現在、海外収益比率は20%強とされ、今後さらに成長するでしょう。
特に、博報堂ならではの、データドリブンマーケティングとクリエイティブ戦略の融合を軸に、より高度な広告サービスを提供していると言われています。
さらに、グローバル市場では独自のクリエイティブアプローチに力を入れ、ブランドストーリーテリングの面で高い評価を獲得していると言われています。
世界の広告代理店TOP10に共通するポイント
では、上記ランキングに入るような広告代理店は、どのような取り組みをしているのでしょうか?下記に整理してみましょう!
1. グローバル戦略の加速
世界の広告代理店TOP10にランクインする企業の多くは、国際市場での成長を最優先課題としているように思われます。
特に、M&Aを通じた市場参入が一般的で、新興国市場の開拓や先進国での立ち位置の強化を図っています。電通グループも海外デジタル広告企業を積極的に買収しています。
2. デジタルマーケティングの最前線
デジタル広告は世界の広告市場で最も成長している分野であり、各広告代理店はAIや機械学習を活用した広告最適化技術の開発に力を入れています。
広告ターゲティング、SNS広告、プログラマティック広告、インフルエンサーマーケティングなどは、AIを活用した最適化を積極的に推進し業界をリードしていると言えます。
3. クリエイティブ × データの融合
近年の広告業界では、データドリブンなアプローチとクリエイティブなコンテンツ制作が一体となることで、より効果的なマーケティング戦略が実現されるようになってきています。
この取り組みは、最近様々な場面で聞かれるようになってきています。消費者データを活用したターゲティング広告など、最適化された広告キャンペーンを提供しているのも特徴でしょう。
4. クライアントとのパートナーシップ深化
長期的なクライアントとの関係構築が、広告代理店にとって競争優位性を保つ鍵となっています。Publicis Groupeは「Power of One」という統合型サービスモデルを導入し、クライアントに対して一貫した広告・マーケティングサービスを提供する体制を整えています。
このような取り組みにより、企業との協力関係をが深め、より戦略的なマーケティング施策の実現に努力しています。
5. ダイバーシティ&インクルージョンの推進
世界の大手広告代理店は、従業員の多様性と包括性を重要視し、多様な文化や価値観を反映した広告キャンペーンを展開してるのも特徴でしょう。
近年は、世界の多くで、LGBTQ+、人種・民族の多様性、ジェンダー平等をテーマにした広告が増えています。多くの企業に取って重要なメッセージになります。
このように、社会的課題に対する広告業界の役割は重要になってきています。
世界のトップクラスの広告代理店は、社内で多様性推進プロジェクトのような組織を展開し、幅広い提案をできるのも特徴だと思われます。
まとめ
広告業界は、デジタル化・グローバル化が加速する中で大きな変革期を迎えています。

日本の広告代理店も、これらの変化を捉え、自社に適した戦略を構築することが求められます。
世界の大手広告代理店の成功事例から学ぶべきポイントは多くありますが、ちょっと手が届かない感じもあるでしょう。
しかし、中小規模の広告代理店が実践しやすい施策もあります。
例えば、
- デジタルマーケティングの活用:
AIを活用した広告最適化ツールや、SNS広告のターゲティング機能を積極的に取り入れる。 - クライアントとのパートナーシップ強化:
大手のように大規模な統合型サービスは難しくても、クライアントの課題解決に寄り添うコンサルティング型の提案を強化する。
このような取り組みは、努力次第で、早急に取り組むことが可能です。
自社とはレベルの違う話とは思わずに、自社の規模に合った成長戦略を確立していきましょう!