広告営業のヒアリングで、こんな場面に陥ったことはありませんか?
- ヒアリングしたつもりが、表面的な情報しか取れていなかった
- 課題を聞けても、そこから提案に繋がらなかった
- 担当者とは話せるが、決裁に必要な情報が全く取れない
ヒアリングが浅いまま出した提案は、どれだけ丁寧に作っても刺さりません。
ヒアリングの質が、提案の精度を決めます。
本記事では、広告営業の現場で実際に機能する質問を、
- フェーズ別(場ほぐし → 課題深掘り → 決裁情報)
- 状況別(初回訪問 / 2回目以降 / 予算確認)
に整理して、できるだけ、すぐ使える形でまとめました。
なぜ広告営業のヒアリングは「浅くなりがち」なのか
ヒアリングが浅くなる原因は、質問の数ではありません。
原因のほとんどは、「早く提案したい」という焦りです。
ヒアリングを質問フォームのように扱い、チェックを埋めることが目的になると、相手の言葉の奥にある「本当の課題」が取れなくなります。
広告営業のヒアリングで重要なのは、3つです。
- 現状を聞く(今何をしているか)
- 課題を聞く(何がうまくいっていないか)
- 決裁構造を聞く(誰がどう判断するか)
この3層を意識するだけで、ヒアリングの精度は大きく変わります。
フェーズ①|「調べた上で確認する」質問で場をほぐす
最初から「課題は何ですか?」と聞いても、相手はまだ心を開いていません。
ただし、ここで注意が必要です。
「どんな施策をやっていますか?」「どの媒体が中心ですか?」という質問は、事前に調べれば分かることが多く、「何も調べてきていない」という印象を与えるリスクがあります。
広告主の立場からすれば、自社のCMやSNS広告を普通に見ているはずの代理店に「何をやっていますか?」と聞かれると、「え、知らないの?」となりかねません。
商談前に最低限以下を確認しておくことが前提です。
- 相手の会社サイト・採用ページ(事業の方向性・最近の動き)
- SNS広告・テレビCM・OOHなど、直近で目にしたクリエイティブ
- 競合他社の広告動向(業界トレンド)
その上で、「調べた内容を前置きして、解釈や温度感を確認する」形で質問するといいでしょう。
これにより「ちゃんと調べてきた」という信頼と、「聞く価値のある質問」という印象が同時に生まれます。
現状確認の質問例|「調べた上で聞く」パターン
- 「御社のSNS広告、最近◯◯(商品名・ターゲット層)のクリエイティブが増えている印象がありましたが、今はそのあたりに注力されていますか?」
- 「◯◯(競合他社名)がテレビCMを増やしていますね。御社側では何か動きに影響を感じていますか?」
- 「ホームページを拝見すると◯◯に力を入れていらっしゃるようですが、社内的にはどのくらいの優先度になっていますか?」
- 「先日◯◯のキャンペーン広告を拝見しました。あのターゲット設定は、今期の方針として動かれているんですか?」
前置きで「調べた事実」を出し、質問で「その内側にある判断・温度感・優先度」を引き出す構造です。
相手が「この人はちゃんと見てくれている」と感じることで、その後の会話が自然と深くなります。
事前情報がない場合の質問例
どうしても事前情報が取れなかった場合は、「相手が詳しいことを聞く」形にします。
ただしこの場合も、漠然と聞くのではなく、切り口を絞ることが重要です。
- 「この時期、業界全体では◯◯の動きが多いと感じていますが、御社ではいかがですか?」
- 「認知・来店・問い合わせのどのフェーズに、今一番課題感を持っていらっしゃいますか?」
「業界の動き」という共通の話題を起点にすることで、「調べてこなかった」という印象を避けながら、相手が話しやすい入り口を作れます。
フェーズ②|課題を深掘りする質問
現状を聞いた後、課題を引き出すフェーズに入ります。
ここでの鉄則は、「なぜ?」を直接聞かないことです。
「なぜそうなっているんですか?」は、詰問に聞こえる場合があります。
代わりに、「どのあたりが〜」「何が〜」という形で迂回します。
課題を引き出す質問例
- 「今の施策で、思っているより効果が出ていない、という点はありますか?」
- 「リーチしたいターゲット層に、どのくらい届いている感覚がありますか?」
- 「認知 / 来店 / 問い合わせ、どのフェーズが一番ボトルネックに感じていますか?」
- 「今の代理店さんとのやり取りで、もう少しこうだったらという点はありますか?」
深掘りするための「掘り下げ質問」
相手が課題を話してくれたら、そこから深掘りします。
- 「それはいつ頃から感じていらっしゃいますか?」
- 「具体的には、どんな場面でそれを感じましたか?」
- 「それが解決されると、どういう状態になりたいですか?」
この「解決後の姿を聞く質問」が、提案の核心になります。
相手が自分で「こうなりたい」を言葉にした瞬間が、提案の出発点です。
フェーズ③|決裁情報を聞く質問
広告営業のBtoBで最大のボトルネックになるのが、「担当者には響いたが、決裁が通らない」問題です。
このリスクを下げるためには、早い段階で決裁構造を把握することが必要です。
ただし、「誰が決めるんですか?」とストレートに聞くのは関係性によっては不自然に聞こえます。
以下の質問は、自然な流れの中で決裁情報を取るための表現です。
決裁構造を把握する質問例
- 「今回のご予算については、◯◯様がご判断されるイメージでしょうか?」
- 「社内でご検討いただく場合、どなたかと一緒にご覧いただく機会はありますか?」
- 「このご提案を進めるにあたって、社内での承認プロセスはどのようなイメージになりますか?」
- 「稟議書のような形で社内に出される場合、どんな情報があると通りやすいでしょうか?」
特に最後の「稟議書に必要な情報を聞く質問」は、相手の社内説明を手伝う姿勢として受け取られるため、圧迫感がありません。
予算感を聞く質問例
予算を聞くのは難しい場面のひとつですが、聞かずに進むのはリスクです。
- 「参考までに、この種の施策で年間どのくらいのご予算をお考えでしょうか?」
- 「前回の施策と同規模でのご検討でしょうか、それとも拡大のイメージですか?」
- 「弊社の方でいくつかの規模感のプランをご用意することもできますが、大まかな上限感がありましたら教えていただけますか?」
「前回の施策と比較する」「複数プランを用意する文脈で聞く」という迂回法が有効です。
初回・2回目・オンラインで変わるヒアリングの注意点
初回訪問のヒアリング
初回は、情報を全部取ろうとしないことが大切です。
欲張りすぎると、相手に「根掘り葉掘り聞かれた」という印象を与えます。
初回のゴールは「課題の仮説を一つ持ち帰ること」と決めると、ヒアリングがすっきりします。
2回目以降のヒアリング
前回の会話で出たキーワードを冒頭で振り返ることで、相手に「きちんと聞いていた」と伝わります。
「前回、◯◯についてお悩みとおっしゃっていましたが、その後いかがでしょうか?」「弊社でもいくつか考えてみました」
このひと言が、信頼の継続になります。
オンライン商談でのヒアリング
対面と比べて相手の表情や反応が読みにくいため、確認の頻度を意識的に増やす必要があります。
- 「今の質問、わかりにくかったでしょうか?」
- 「ここまでで何かご確認事項はありますか?」
画面越しの沈黙は対面より重く感じるので、テンポよく確認を挟むことで会話のリズムが作れます。
ヒアリング後の「整理メモ」テンプレート
ヒアリング内容は商談直後にメモで整理します。
以下のフォーマットを使うと、次回の提案設計がスムーズになります。
【ヒアリング整理メモ】
日付:
担当者名・役職:
■ 現在の施策・媒体
(例:SNS広告中心、TVCMは年1回程度)
■ 課題・悩み(相手の言葉で)
(例:「若年層へのリーチが薄い」)
■ 理想の状態(解決後のイメージ)
(例:「20代女性の認知を◯◯%上げたい」)
■ 予算感
(例:年間◯◯万前後、拡大検討中)
■ 決裁構造
(例:担当者→部長→役員稟議、3週間程度)
■ 次回提案軸のメモ
(例:SNSと交通広告の組み合わせ、若年層特化の事例を軸に)
よくある質問|ヒアリングQ&A
Q. 相手が話してくれないときはどうする?
A. 質問が「答えにくい形」になっている可能性が高いです。
「課題はありますか?」は、Yes/Noで終わる閉じた質問です。
「最近、こういう動きが業界で増えていますが、御社ではいかがですか?」のように、自分から話題の糸口を提供する形に変えると、相手が乗りやすくなります。
Q. ヒアリングと提案、どこで切り替える?
A. 「解決後の姿」が聞けた時点が切り替えのサインです。
相手が「こうなりたい」を言葉にしたら、提案フェーズに入るタイミングです。
Q. 担当者から決裁者に話が上がらない場合は?
A. 担当者が「社内で説明しやすい形」を一緒に考える姿勢が有効です。
「上の方にご説明される際に使っていただける資料をご用意しましょうか?」という提案が、自然な形で決裁者への道を開きます。
詳しくは決裁者攻略完全ガイドもご参照ください。
まとめ|ヒアリングは「聞く量」より「聞く層」
ヒアリングの目的は、情報をたくさん集めることではありません。
「現状 → 課題 → 理想の状態 → 決裁構造」という4層を、自然な会話の流れの中で取ることです。
質問の量より、質問の深さ。
これだけを意識するだけで、提案の精度は大きく変わります。
商談の全体の流れを確認したい方はこちら:
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