「最近、ニュースで“インフレ対策として金利を上げる”ってよく聞くけど、どうして金利を上げると物価が下がるの? 」
そんな素朴な疑問、ありませんか?
特にアメリカのトランプ前大統領などが強く主張している印象があると思います。いったいどういう仕組みなのか
本日は、コラムとして、ちょっと難しく聞こえる「金利」と「インフレ(物価上昇)」の関係について、身近な視点からわかりやすく説明してみます。
インフレとは?お金の価値が下がるとはどういうことか?
インフレとは、「インフレーション」の略で、物やサービスの価格が全体的に上昇していく現象のことを指します。
たとえば、去年まで100円で買えていたパンが、今年は120円になっている。これがインフレの一例です。
価格が上がる背景には、「多くの人がたくさん買おうとする(需要の増加)」「原材料が高くなる」「人件費が上がる」など、いろいろな理由があります。
なかでも「需要が高まっている」状態は、経済が活発な証拠でもありますが、行き過ぎると物価が上がりすぎて生活が苦しくなってしまうのです。
つまり、インフレには「適度な範囲」があり、それを超えてしまうと家計や企業活動に悪影響が出てしまうため、コントロールが必要なのです。
そもそもインフレ自体は、経済成長の過程で起こるごく自然な現象でもあります。
適度なインフレは、企業の収益を押し上げ、賃金上昇にもつながりやすく、経済全体が活性化する土壌となります。
つまり、ある程度の物価上昇は「健全な経済」の証とも言えるのです。
そしてもうひとつ大切なのは、「インフレ=物価が上がる」ということは、裏を返せば「お金の価値が下がる」ということでもあります。
たとえば、去年100円で買えたものが今年は120円になったとしたら、それは100円の持つ力が弱まった、つまりお金の購買力が減ったことを意味します。

こうした状況が続けば、同じ収入でも買えるものが減ってしまい、生活が苦しくなってしまうのです。
金利が上がると起こる変化とは?その影響を具体的に説明します!
インフレが進みすぎないようにするための手段のひとつが、「金利の引き上げ」です。
金利を引き上げることで、経済の熱を冷まし、物価の上昇を抑えようというわけですが、これは言い換えると「下がってしまったお金の価値を回復させる」ための取り組みでもあります。
インフレが進むと、お金の購買力は低下します。つまり、同じ金額で買えるモノやサービスの量が減っていくわけです。金利を引き上げてインフレをコントロールすることは、結果的にお金の価値を安定させ、再び信頼される通貨としての力を取り戻すという意味もあるのです。
もう少しわかりやすく言えば、金利を上げると「お金に利息がつく」ため、人々はお金そのものを「価値のある資産」として扱いはじめます。
たとえば、「この通貨を持っていれば利息が得られる」という状況になれば、国内外の投資家からもその通貨は魅力的に見えるようになります。
人気が集まると、当然そのお金の価値は上がっていきます。
まるで、以前は人気のなかった商品に注目が集まり、評価が高まるようなイメージです。
金利を上げることで、通貨が再び信頼され、価値が見直されるという仕組みなのです。
ここでいう金利とは、銀行などでお金を借りたり預けたりするときに発生する利息の割合のこと。
たとえば、住宅ローンの金利が1%から3%に上がった場合、同じ金額を借りても返済総額が大きく変わってきます。
では、金利が上がると、私たちの生活や企業の行動にどんな影響があるのでしょうか?
借金がしづらくなる → 消費や投資が減る
金利が高くなると、企業や個人が「お金を借りて何かをする」ハードルが上がります。
企業は新しい工場を建てるのをためらったり、個人は住宅ローンを控えたり。つまり、経済活動のスピードが少しスローダウンするのです。
この結果、「モノを買いたい」「サービスを使いたい」という需要が減り、物価の上昇が抑えられる、というわけです。
しかしその一方で、経済全体の勢いも弱まることになります。
企業の売上は伸びにくくなり、雇用や給料の増加も抑えられがちです。個人の購買意欲も落ち込み、モノが売れなくなることで、企業活動はさらに鈍化するという悪循環に陥る可能性があります。

つまり、金利の引き上げは確かに物価の高騰を抑える手段ではありますが、行き過ぎると景気そのものを冷え込ませるリスクがあるのです。
ただし、これは裏を返せば「景気の減速」や「経済の縮小」とも言えます。
実際、金利の引き上げは景気を冷やす作用があるため、企業の成長が鈍化し、雇用が減ったり、消費者の購買意欲が下がったりするリスクも伴います。
そのため、中央銀行が金利を上げるときは、物価抑制と景気後退のバランスを慎重に見極める必要があるのです。日銀のニュースなどでよく聞くニュアンスだと思います。
貯金が魅力的になる → お金が使われにくくなる
預金金利も上がると「銀行にお金を預けておこう」という人が増えます。これは企業にとっても同じことです。
「今お金を使うより、貯めたほうがお得かも」と感じさせることで、市場に出回るお金の量を減らしり、過剰なインフレの抑制を目指すのです。
円高になると輸入が安くなる?通貨価値と物価の関係
日本の金利が上がると、海外の投資家が「日本円で運用すれば利息が多くもらえる」と考えるようになります。結果として円を買う動きが強まり、円の価値が上昇(円高)します。
円高になると、海外からの輸入品が安く手に入るようになります。たとえば、原油や小麦などの輸入コストが下がり、最終的に国内の商品価格にも反映されて、物価の上昇が抑えられるのです。
日本の金利政策は特殊?デフレ脱却とインフレ対応
ここまで読んで、「日本も金利をどんどん上げてインフレを抑えているの?」と思われた方もいるかもしれません。
実は、日本は世界の中でも少し特殊な状況にあります。
長年にわたって物価が上がらない、つまり”デフレ傾向”が続いていたため、他国とは逆に「インフレを起こしたい」という立場で経済政策が進められてきました。
日本銀行(日銀)は、2%の物価上昇(インフレ)を安定的に実現することを目標にしています。
つまり、現在の日本は「インフレを抑える」のではなく、「物価がゆるやかに上がり続ける経済」を目指している段階なのです。
ただ、近年はエネルギー価格や輸入コストの上昇、人手不足などを背景に物価上昇が加速しており、日銀も今後の金利政策を慎重に見極める局面に入っています。
金利を急激に上げてしまうと、長く低金利に慣れた企業や個人の生活に大きな影響が出るため、日本は「段階的かつ柔軟に」対応する姿勢をとっているのです。
まとめ:金利と物価はどう関係しているのか
金利とインフレは、見えにくいけれど確かに生活とつながっています。
「物価が上がってきたな」と感じたとき、その背景には金利政策の影響があるかもしれません。日々のニュースにちょっとだけアンテナを張ってみると、経済がぐっと身近に感じられるようになりますよ。