シリーズ①:毎日新聞の発行部数減少が止まらない!2025年最新データから見る構造的危機!

毎日新聞を深堀り

はじめに:なぜ“毎日新聞だけ”が全国紙から外れかけているのか?

新聞離れは全社共通の課題です。

しかし、その中でも 「毎日新聞だけが全国紙の座を失いかけている」 という特異な状況が進んでいます。

10年間で200万部を失い、残された時間はあとわずか5年──。これが毎日新聞社が置かれた状況です。

読者の6割が高齢者に偏り、若年層にはほとんど存在感がありません。他の全国紙との“決定的な違い”が、この崩壊を加速させています。

本記事では、この危機を 「広告主の視点」 で最新データから徹底検証します。

広告主にとって何が問題なのか?

いまや「発行部数」という数字だけでは、そのメディアの広告価値を正確に測ることはできません。なぜなら、発行部数には“押し紙”などが含まれており、実際にどれだけの部数が読者の手元に届いているのかが不透明だからです。

広告主が判断すべきは、どれだけの読者に“実際に届いているか”という実配部数の信頼性と、その読者がどのような層なのかという属性の見極めです。こうした視点が、今まさに広告主に問われているのです。

毎日新聞は、広告価値を支えるべき「実際に届いている部数の信頼性」と「届いている読者層の質」の両面で、深刻な課題を抱えているのです。

 

2015年→2024年→2025年 発行部数の推移

10年間の発行部数の推移は以下の通りです。

年月 発行部数 前回比の減少 備考
2015年11月 3,204,566部 10年前の基準値
2024年6月 1,499,571部 ▲1,704,995部 150万部割れ、9年で半減
2024年12月 1,349,731部 ▲149,840部 半年でさらに減少
2025年2月 約1,300,000部 ▲49,731部 ついに130万部台へ突入
  • 2015年→2024年6月の約9年半で約170万部減少(▲53%)

  • 2024年6月→2025年2月の8か月間で約20万部減少

  • 10年間でみると約1,900,000部減少=全国紙としての地位が半減

視覚化:グラフで見る毎日新聞の長期衰退

2015年(320万部)

2024年(149万部)

2025年(130万部)

数字以上に深刻なのは「減少の加速」です。

毎年部数が減少を続ける中で、毎年コンスタントに20万部の減少を続けています。つまり、毎日新聞の部数減は加速している状況であることが分かります。単なる自然減ではなく、全国紙としての支持が一気に崩れてきている局面に入っていると言えるでしょう。

将来予測:このまま進めばどうなる?

上記の様に、毎日新聞は、年平均で約20万部のペースで減少しています。

ただし、発行部数の分母自体が急激に縮小しているため、単純な「毎年20万部減」の線形予測は現実的ではありません。

そのため、今後は「残存部数に対する割合」で減少を捉える視点が必要です。仮に年10~15%の割合で減少すると仮定すれば、実際の部数は指数関数的に減少していくことになります。

 

予測モデル:分母に比例する減少(15~20%/年程度を想定)

推定発行部数 押し紙を除く実配部数(推定)
現在 130万部 約60~70万部
1年後 約115~117万部 約55~63万部
3年後 約85~100万部 約40~50万部
5年後 約65~75万部 約30~40万部

減少率を10%~15%(10人に1名程度)と少なく見積もっても、5年後には実売部数で50万部を切る計算となります。

つまり、現在の固定費をまかなうことは極めて困難となり、人員削減やリストラは避けられません。

結果として記事のクオリティも低下し、紙面や事業の縮小が連鎖的に起こる――まさに負のスパイラルに陥るリスクが高まってくるのです。

なぜ毎日新聞だけが“危機”なのか?

1. 読者の高齢化が限界に近い

  • 読者の6割以上が60歳以上。
  • 団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年以降、新聞購読からの一斉離脱が加速するリスクがある。
  • 同じ減少でも、基盤の小さい毎日は経営インパクトが大きい。

2. 若年層にブランドが届いていない

  • 認知も接触もほぼゼロ。アプリやSNS上での存在感が皆無。
  • 読売は家庭での接触、朝日は文化層、日経は就活・ビジネスと“残っている理由”があるが、毎日にはそれがない。産経新聞も部数は少ないながら、保守系論調で特定層に一定の支持を得ており、接触経路や読者像が明確に残っている点で毎日とは異なる。

3. デジタル収益化に失敗

  • 日経は有料会員100万超で紙を補完。
  • 毎日はPV頼みの外部流入が多く、コンテンツ課金が機能しない。
  • 無料キャンペーンも継続率が極端に低く、コストだけが増大。

他紙との比較:同じ全国紙でも明暗が分かれている

新聞社 発行部数(2024年下半期) 年間減少数 補足
読売 575万部 ▲37万部 巨人報道など家庭向け接触軸あり
朝日 333万部 ▲22万部 リベラル・文化層に残存支持
毎日 136万部 ▲25万部 高齢者のみ。若年層接触ほぼ皆無
日経 135万部 ▲6万部 デジタル有料課金で独自モデル
産経 83万部 ▲7万部 保守層に支持。発行エリア限定の特殊な立ち位置

この比較表から見えてくるのは、「部数の大小」だけでなく「減少幅と接触構造の違い」です。

読売や朝日は大きな発行規模を持ちながらも一定の接触軸を確保し、日経はデジタル課金モデルで紙の減少を補完。

対して、毎日新聞は部数・接触構造ともに脆弱です。

産経もエリア・層が限定的ですが、特定の層からの支持があります。

これにより、広告主がどの新聞に投資するかは“数字の比較”だけではなく“構造の見極め”が求められる時代になっていることが分かります。

広告主にとってのインパクト

  • 実配ベースでは「60万部→5年で30万部台」へ。
  • 広告単価が同じでも、実際に届く読者が激減している。
  • 特に「地方向け折込」「接触率」を重視する広告主には、出稿の根拠が薄れる。

※ 公称部数ではなく、「届く部数・届く層」が最重要です。

まとめ:いま、広告主は“部数”ではなく“未来”を見るべき

毎日新聞の発行部数は、数字としては130万部ですが、実態としてはその半分程度。全国紙としての広告価値は、大きく揺らいでいます。

そしてこの傾向は、さらに加速していくでしょう。

この現実に対して、広告主は「過去の実績」ではなく「未来の実配と接触層」で出稿判断を行う時代に入ったといえます。

🔗 次の記事はこちら

👉 シリーズ②:読売・朝日・日経との比較でわかる毎日新聞の脆弱性とは!

※本記事は広告主・メディアプランナー向けに、メディア選定の判断軸としてデータと分析を元に構成されています。