毎日新聞「夕刊1部」の衝撃|県全体で1部、その正体は何なのか?

毎日新聞「夕刊1部」の衝撃|夕刊非発行県になぜ1部残っているのか 新聞業界

新聞の発行部数が減っている。

そう聞いても、今ではそれほど驚かないかもしれません。

では、これはどうでしょうか。

毎日新聞の夕刊が、県全体で「1部」しか売れていない地域がある。

毎日新聞が公表している2025年1~6月平均の販売データを見ると、新潟県の夕刊は1部です。

鹿児島県も1部。佐賀県は2部。宮城県でも6部です。

「1万部」でも「100部」でもありません。

1部です。

ところが調べてみると、さらに興味深いことが分かりました。

新潟県や鹿児島県は、現在の毎日新聞では通常の朝夕刊セット地域ではありません。

つまり、「県内で夕刊を普通に宅配していて、その読者がとうとう1人になった」と考えるのは正確ではなさそうです。

では、この「夕刊1部」とは何なのでしょうか。

今回は、この不思議な数字から全国紙の夕刊で起きている変化を見てみます。

本当に1部?まず販売データを確認

毎日新聞社が公開している販売データでは、次のようになっています。

都道府県 朝刊 夕刊
宮城県 4,588部 6部
新潟県 10,770部 1部
佐賀県 3,152部 2部
鹿児島県 1,619部 1部

※日本ABC協会「新聞社発行レポート 半期」2025年1~6月平均。毎日新聞社「全国の配布エリアと販売部数」を基に作成。

確かに、新潟県と鹿児島県は「1部」と記載されています。

ただし、これは発行部数ではなく販売部数です。

さらに半年間の平均値なので、「同じ一人が毎日ずっと1部を購読していた」ことを意味する数字でもなさそうです。

実は新潟・鹿児島は通常の「夕刊エリア」ではない

ここが重要です。

毎日新聞社の公式案内では、朝夕刊セット地域として関東の一部、静岡、近畿の一部、山口、福岡、沖縄などが挙げられ、それ以外では原則として統合版が届けられています。

新潟県や鹿児島県は、その朝夕刊セット地域に含まれていません。

ですから、販売データだけを見て、

「新潟県でたった一人のために毎日夕刊を刷り、夕方に配達している」

と考えるのは早計です。

むしろ不思議なのは、通常の夕刊エリアではないのに、販売統計上は1部という数字が残っていることです。

その「1部」は誰なのか?答えは分からない

では、その1部はいったい誰が読んでいるのでしょうか。

結論から言えば、公開資料からは分かりません。

販売部数は公表されていますが、購入者の属性までは公表されていないからです。

そのため、

  • 一般の個人なのか
  • 飲食店などの店舗なのか
  • 企業などの法人なのか
  • ホテルや図書館などの施設なのか
  • それ以外の販売形態なのか

は確認できません。

「県内にたった一人、毎日新聞の夕刊を読み続けている人がいる」と想像すると印象的ですが、そう断定してしまうと事実とは違う可能性があります。

この1部が、どのような形で販売部数として計上されているのかも不明です。

1部なのに、なぜ残っているのか

最初に数字を見れば、

「1部なら、毎日新聞側ももうやめたいのでは?」

と思うのが自然です。

しかし、新潟や鹿児島は通常の夕刊エリアではありません。

そのため正確には、

「1部しかないのになぜ夕刊事業から撤退しないのか」ではなく、「すでに通常の夕刊地域ではないのに、なぜ統計上1部が残っているのか」

という問題です。

これについても、毎日新聞社は理由を公表していません。

既存の物流や販売ルートの中で扱えるため、ほとんど追加負担がないのかもしれません。

あるいは、一般の宅配とは異なる販売形態なのかもしれません。

逆に特別な対応が必要なら、1部を維持する経済合理性には疑問が出ます。

ただ、実際の販売方法やコストが分からない以上、どれか一つを答えとすることはできません。

夕刊をやめるかどうかは「何部売れているか」だけではなく、その部数を残すためにどれだけの仕組みとコストが必要なのかで決まります。

だから、もっと多くの夕刊部数が残っていた地域で夕刊が廃止される一方、統計上1部、2部という数字が残ること自体は矛盾とは限りません。

夕刊38万部の約94%は東京・大阪本社管内

一方、毎日新聞の夕刊全体が1部、2部という状態になったわけではありません。

2025年上半期の全国夕刊販売部数は381,098部あります。

ただし、そのうち東京本社管内が128,136部、大阪本社管内が230,781部です。

両方を合わせると358,917部

全国の約94%になります。

毎日新聞の夕刊は「全国紙の夕刊」ではあっても、実態は東京・大阪を中心とした媒体へ大きく偏っています。

新潟1部、鹿児島1部という数字は、その反対側にある地方の現状を極端な形で見せているとも言えます。

広告媒体として見ると意味は明確

広告主や広告代理店にとっては、さらに分かりやすい話です。

「全国紙の夕刊」という名称だけで、全国に一定の到達力があると判断することはできません。

新潟県の販売統計が1部なら、少なくとも毎日新聞夕刊を使って新潟県へ広く広告を届けるという考え方は成り立ちません。

一方、東京や大阪ではまとまった部数が残っています。

つまり夕刊広告では、新聞名ではなく、出稿地域で実際に何部販売されているのかを見る必要があります。

まとめ|「夕刊1部」が示す全国紙の現在地

毎日新聞の販売データには、新潟県1部、鹿児島県1部、佐賀県2部、宮城県6部という夕刊部数が記載されています。

確かに衝撃的な数字です。

ただし、新潟や鹿児島は通常の朝夕刊セット地域ではありません。

そして、その1部が誰なのかも分かりません。

個人かもしれませんし、飲食店や企業などの法人、施設などかもしれません。

どのような販売形態なのかも公開資料からは確認できません。

それでも、「夕刊1部」という数字が意味していることはあります。

全国紙の夕刊は、すでに全国で同じように販売される商品ではなくなっている。

約38万部ある夕刊の大半は東京・大阪に集中し、その一方で地方には1部、2部という数字が残っています。

朝刊でも配送休止や委託印刷が進んでいます。

「全国紙」という一つの名称の中で、地域ごとの実態は大きく変わり始めています。

夕刊1部という小さな数字は、その変化をこれ以上ないほど分かりやすく見せているのではないでしょうか。

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確認資料

※販売部数は日本ABC協会「新聞社発行レポート 半期」2025年1~6月平均。1部・2部などの販売先や販売形態については公開資料で確認できないため、本記事では特定していません。