はじめに:読者の“年齢構成”に焦点を当てる
シリーズ①~③では、毎日新聞の発行部数減少や存在感喪失の背景を検証しました。
本記事④ではさらに踏み込み、「誰に届いているのか?」=読者層の年齢構成に焦点を当てます。
最新データによれば、毎日新聞の読者の60%以上が60歳以上。つまり全国紙でありながら、実態は「シニア偏重メディア」となっているのです。
なぜ読者層はここまで高齢化したのか?
若年層の毎日新聞離れ
20代で紙の毎日新聞を購読する層はごくわずか。スマートフォンやニュースアプリで十分に情報を得られるため、わざわざ紙媒体を選ぶ理由がありません。
定年退職世代の惰性購読
毎日新聞の購読を支えているのは、長年の習慣を持つ高齢層。しかし、この世代は人口減少で自然減が避けられません。
デジタル展開の弱さ
日経のような有料デジタル課金モデルを構築できず、若い層を引き込む戦略が乏しいため、世代交代に失敗しています。
➡ 結果として、毎日新聞は“シニアメディア化”が進み、現役世代との接点を急速に失いつつあります。
高齢化が広告効果に与えるインパクト
高齢層は購買力があり、旅行・健康食品・資産形成・介護関連など特定ジャンルでは一定の広告効果が見込めます。
しかし、広告主にとっては以下の課題が際立ちます。
- ターゲットの偏り:現役世代やファミリー層向け商品には効果が期待しにくい
- 広告ジャンルの限定性:旅行・健康・介護など高齢者市場に偏る
- 世代間のブランド断絶:若年層へのブランド浸透が起きず、長期的ROIは低下
つまり「広告が届く人数」だけでなく、購買層の質的偏りが広告価値をさらに限定しています。
データで見る読者層の構成比(推定)
| 年齢層 | 推定構成比 | 特徴 |
|---|---|---|
| 60歳以上 | 60%以上 | 習慣的購読、人口減で今後も自然減が進む |
| 40〜59歳 | 約25% | 定年前後の世代、購読率は減少傾向 |
| 20〜39歳 | 10%未満 | ほぼデジタルシフト、紙購読はほぼ皆無 |
➡ この構成を見ると、毎日新聞の読者基盤は事実上「リタイア層中心」であることが分かります。
将来シナリオ:10年後の読者像
- 5年後:読者の約82%が60歳以上に(上記データより計算)
- 10年後:もし存続していれば、発行部数は約26〜45万部(中央値約36万部)まで低下(年10〜15%減の単純推計)。読者の60歳以上は約85%、そのうち75歳以上は4〜5割に達する見込み。
💡補足:5年後が82%、10年後が85%という伸び幅が小さいのは、高齢化が前半5年間で一気に進み、その後はもともと高齢層が占める割合が大きいため伸びしろが小さくなるからです。つまり、序盤で急速に高齢化し、後半は頭打ちになる構造だと理解できます。
加えて、販売店の倒産や事業転換が相次ぎ、配達員の人件費すら賄えなくなることで「新聞が届かない地域」が拡大する可能性も高く、シニア層中心の基盤すら維持できない未来が見えてい
広告主が知るべきこと
- 高齢読者が多い=リーチ対象が極端に限定される
- 若年層・現役世代への接触はほぼ期待できない
- 広告ターゲットによって効果が大きく変動する
➡ 広告主は「届く人数」ではなく、「届く層」と「購買の将来性」を見極める必要があります。
まとめ:高齢化は“二重のリスク”
高齢化は購読者の自然減を加速させ、広告価値をさらに低下させる二重のリスクです。
押し紙や部数減少と組み合わさり、毎日新聞の広告媒体価値を長期的に損なっています。
▶ 次の記事では、PVは多いのに会員が伸びない?デジタル版の課題と限界について解説します。シリーズ⑤:PVは多いのに会員が伸びない?毎日新聞デジタル版の課題!
販売店の危機に関する関連記事:

