「次の会議、司会をお願いできますか?」
突然そう言われると、誰でも少し焦ると思います。
会議の司会は、ただ順番に議題を読み上げる役ではありません。会議の目的を確認し、時間を管理し、発言しやすい空気を作り、最後に決定事項と次の行動を整理する役割です。
ただし、難しく考えすぎる必要はありません。基本の流れと、場面ごとの言い方を用意しておけば、初めてでも十分に乗り切れます。
この記事では、会議の司会進行を初めて任された方に向けて、事前準備、冒頭挨拶、アジェンダ説明、発言の促し方、脱線した時の戻し方、締めの言葉までを、実際に使える例文付きで整理します。
社内会議、営業会議、プロジェクト会議、クライアントとの打ち合わせなど、幅広く使える内容です。
まず結論:会議の司会はこの流れで進めれば大丈夫
会議の司会進行は、難しい言葉を使う必要はありません。大切なのは、最初に目的を共有し、途中で論点を整理し、最後に決定事項と担当を確認することです。
基本の流れは、次の7ステップです。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 事前準備 | 目的・議題・決めたいことを確認する |
| 2 | 冒頭挨拶 | 会議の目的と終了時間を伝える |
| 3 | アジェンダ確認 | 今日話す順番と時間配分を共有する |
| 4 | 議論の進行 | 発言を促しながら論点を整理する |
| 5 | タイムマネジメント | 脱線や長話をやわらかく戻す |
| 6 | 決定事項の確認 | 何が決まり、誰がやるのかを明確にする |
| 7 | 締めの挨拶 | 次の行動と期限を確認して終える |
会議司会で一番大切なこと
司会者は、すべての答えを出す人ではありません。会議の目的から外れないように進行し、参加者の意見を引き出し、最後に「何が決まったのか」を整理する人です。
まずは、冒頭で話すべき、上記の1~3を淡々ということが大切です。そうすることで司会者としてのリズムをつかむことができます。
そのまま使える会議司会の基本台本
まずは、一般的な社内会議で使える基本台本を紹介します。初めて司会をする場合は、この流れを手元に置いておくだけでも安心です。
本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
本日の司会を務めます、〇〇です。よろしくお願いいたします。
本日の会議の目的は、〇〇について情報を共有し、今後の進め方を決めることです。
終了予定時刻は〇時〇分です。時間内に結論まで進めたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。
本日のアジェンダは、まず現状の確認、次に課題の整理、最後に今後の対応方針の確認という流れです。
それでは、最初の議題に入ります。
最後に、決定事項と担当、期限を確認して終了したいと思います。
この台本を、自分の会議内容に合わせて少し変えるだけで、基本的な司会進行は十分に対応できます。
1.事前準備が8割を決める
会議の司会は、当日の話し方よりも事前準備でほぼ決まります。
会議がうまくいかない原因の多くは、司会者の話し方ではなく、会議の目的が曖昧なまま始まっていることです。
会議前に確認すること
- この会議の目的は何か
- 情報共有なのか、意思決定なのか、アイデア出しなのか
- 会議の最後に何が決まっていればよいのか
- 誰が参加し、誰が決定権を持っているのか
- 事前に共有すべき資料はあるか
- 前回の議事録や宿題事項は確認済みか
特に重要なのは、「今日この会議で決めたいこと」を明確にすることです。
会議の目的が「情報共有」なのか「意思決定」なのかで、司会の進め方は変わります。
情報共有なら、時間内に必要な情報を整理して伝えることが大切です。
意思決定なら、最後に誰が何を判断するのかまで進めなければなりません。
事前確認の例文
「今回の会議では、最終的に何を決めるところまで進めればよいでしょうか?」
「当日は情報共有が中心でしょうか。それとも、方向性の決定まで進める想定でしょうか?」
「参加者の中で、最終判断をされる方はどなたになりますか?」
2.冒頭挨拶で会議の空気を作る
司会の第一声は、会議の雰囲気を決めます。
とはいえ、立派な挨拶をする必要はありません。大切なのは、参加者に「今日は何の会議なのか」「何時までに終わるのか」「どう進めるのか」を伝えることです。
基本の冒頭挨拶
「本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。本日の司会を務めます〇〇です。限られた時間ではありますが、〇〇について方向性を整理できるよう進めてまいります。よろしくお願いいたします。」
初めて司会をする場合の挨拶
「本日は司会を務めます〇〇です。初めての進行で至らない点もあるかと思いますが、時間内に必要な内容を整理できるよう努めますので、ご協力をお願いいたします。」
クライアントとの会議で使える挨拶
「本日はお時間をいただきありがとうございます。本日は、〇〇について現状の共有と今後の進め方の確認を目的に進行させていただきます。最後に決定事項と次回までの対応内容を確認できればと思いますので、よろしくお願いいたします。」
3.アジェンダと時間配分を伝える
会議が長引く原因の一つは、参加者が「今どこを話しているのか」を見失うことです。
そのため、冒頭でアジェンダと時間配分を伝えるだけで、会議はかなり進めやすくなります。
60分会議の時間配分例
- 冒頭・目的確認:5分
- 現状共有:15分
- 課題整理・意見交換:25分
- 決定事項の確認:10分
- 次回アクション確認:5分
アジェンダ説明の例文
「本日のアジェンダは3点です。まず現状の共有、次に課題の整理、最後に今後の進め方の確認です。」
「終了予定は〇時ですので、最後の10分で決定事項と担当を確認する時間を取りたいと思います。」
「途中で関連する話題が出た場合は、必要に応じて最後に整理させていただきます。」
4.発言を促す時の言い方
会議では、よく話す人と、ほとんど話さない人が分かれます。
司会者は、全員に無理やり発言させる必要はありません。ただ、特定の人だけが話し続けると、会議の質は下がります。発言が少ない人にも自然に話を振ることが大切です。
自然に発言を促す例文
「〇〇さんの立場から見ると、いかがでしょうか?」
「現場目線で気になる点があれば、教えていただけますか?」
「営業側では、この案は進めやすいでしょうか?」
「今の話について、別の視点があればぜひお願いします。」
ポイントは、「何か意見ありますか?」と広く聞きすぎないことです。
質問が広すぎると、誰も答えにくくなります。「〇〇の立場から」「現場目線で」「営業側では」など、答えやすい切り口をつけると発言が出やすくなります。
5.会議が脱線した時の戻し方
会議の司会で一番難しいのが、脱線した話をどう戻すかです。
特に、上司やクライアントが話している場合、強く止めることはできません。そこで大切なのは、否定せずに、本題へ戻す言い方です。
脱線を戻す例文
「ありがとうございます。今の点も重要ですので、いったんメモしておきます。まずは本日の議題に戻らせていただきます。」
「関連するテーマではありますが、本日の目的から少し広がってきましたので、まずは〇〇の件を整理させてください。」
「この話は別途しっかり時間を取った方がよさそうですので、今日は一度本題に戻させていただきます。」
「今の貴重な論点は次回以降の検討事項として残し、本日はまず結論が必要な部分を進めたいと思います。」
脱線を戻す時のコツ
「それは関係ありません」と切るのではなく、「重要なので別で扱いましょう」と受け止めてから戻すと、角が立ちにくくなります。
6.時間が押している時の言い方
会議が予定より長引くことはよくあります。司会者は、時間が押していることを早めに伝える必要があります。
ただし、「時間がないので急いでください」と言うと、場の空気が悪くなることがあります。残り時間と優先順位をセットで伝えるのがポイントです。
時間が押している時の例文
「残り時間が15分ほどになりましたので、ここからは決定事項の確認に入らせてください。」
「議論が広がってきましたので、今日決めるべき点に絞って整理したいと思います。」
「このテーマは重要なので、別途時間を取る前提で、今日は方向性だけ確認させてください。」
「時間の関係で、残りは優先順位の高い2点に絞って進めます。」
7.意見が対立した時の整理方法
会議では、意見が分かれることがあります。これは悪いことではありません。むしろ、重要な論点が見えている状態です。
司会者がやるべきことは、どちらか一方の味方になることではなく、論点を整理することです。
意見が対立した時の例文
「今の時点では、A案とB案の2つの考え方が出ていると理解しました。」
「A案はスピード重視、B案はリスクを抑える考え方ですね。」
「どちらが正しいかというより、今回の目的に対してどちらが合うかで整理したいと思います。」
「判断基準を、費用・スピード・リスクの3点に分けて確認してもよろしいでしょうか。」
対立した時ほど、司会者は落ち着いて「整理役」に徹することが大切です。
8.締めの挨拶と決定事項の確認
会議の最後で一番大切なのは、きれいな挨拶ではありません。
重要なのは、何が決まり、誰が、いつまでに、何をするのかを確認することです。
締めで確認すること
- 今日決まったこと
- 決まらなかったこと
- 次回までの宿題
- 担当者
- 期限
締めの挨拶の例文
「それでは、本日の決定事項を確認します。」
「本日決まったことは、〇〇です。担当は△△さん、期限は〇月〇日までで進めるということでよろしいでしょうか。」
「本日決めきれなかった〇〇については、次回までに情報を整理したうえで、改めて確認します。」
「本日はお忙しい中ありがとうございました。議事録は後ほど共有いたします。」
9.初めての司会でやってはいけないNG行動
初めての司会で失敗しやすいのは、話し方の上手い下手ではありません。
むしろ、会議の目的が曖昧なまま進めたり、最後に決定事項を確認しなかったりすることの方が問題です。
| NG行動 | なぜ危険か | 対策 |
|---|---|---|
| 目的を確認せず始める | 議論が散らばる | 冒頭で目的を一言で伝える |
| 時間配分を伝えない | 前半で時間を使い切る | 冒頭で終了時刻と流れを共有する |
| 話す人が偏る | 一部の意見だけで進む | 役割や立場ごとに発言を促す |
| 脱線を放置する | 結論が出ない | 重要事項として受け止め、本題へ戻す |
| 最後に担当と期限を確認しない | 会議後に誰も動かない | 決定事項・担当・期限を読み上げる |
10.会議後にやること
会議は、終わった瞬間に完了するわけではありません。
会議後に議事録や決定事項を共有しないと、せっかく話した内容が曖昧なままになってしまいます。
会議後に共有する内容
- 会議日時
- 参加者
- 議題
- 決定事項
- 未決事項
- 担当者
- 期限
議事録共有メールの例文
本日は会議にご参加いただき、ありがとうございました。
本日の決定事項と今後の対応内容を共有いたします。
【決定事項】
・〇〇については、△△の方向で進める
・次回までに□□を確認する
【担当・期限】
・〇〇:△△さん/〇月〇日まで
・□□:□□さん/〇月〇日まで
認識違いがありましたら、ご指摘ください。よろしくお願いいたします。
会議の司会で評価される人の特徴
会議の司会がうまい人は、話が上手い人とは限りません。
むしろ、評価される司会者は、会議を「前に進める」ことができます。
- 会議の目的を見失わない
- 発言しやすい空気を作る
- 話が脱線しても落ち着いて戻せる
- 対立した意見を整理できる
- 決定事項と担当を明確にできる
- 会議後に次の行動へつなげられる
司会は面倒な役割に見えるかもしれません。しかし、うまく進行できるようになると、社内での信頼は確実に高まります。
会議を前に進められる人は、仕事を前に進められる人だと見られるからです。
まとめ:会議の司会は、準備と例文で乗り切れる
会議の司会を任されると、最初は誰でも不安になります。
しかし、司会に必要なのは特別な才能ではありません。目的を確認し、流れを共有し、発言を促し、脱線を戻し、最後に決定事項と担当を確認する。この基本を押さえれば、初めてでも十分に対応できます。
会議司会の基本まとめ
- 会議前に目的と決めたいことを確認する
- 冒頭で目的・終了時間・アジェンダを伝える
- 発言が偏らないように自然に促す
- 脱線したら否定せずに本題へ戻す
- 最後に決定事項・担当・期限を確認する
- 会議後は議事録やタスクを共有する
一度うまく進行できると、会議の司会は苦手な役割ではなく、評価につながるチャンスになります。
まずは、この記事の台本と例文を自分の会議に合わせて使ってみてください。
あわせて読みたい:応用編
会議の基本進行に慣れてきたら、次は「会議中の空気づくり」も意識してみてください。
座る位置、目線、表情、味方の作り方によって、会議の進めやすさは大きく変わります。