メタバースの市場規模とは!
メタバース市場は急速に拡大しています。
総務省の情報通信白書によれば、世界のメタバース市場は2022年の約4,610億ドルから2030年には約5,078億ドル(約65兆円)に達すると予測されています。
日本国内でも、2023年度に約2,851億円、2027年度には約2兆円に拡大すると見込まれています。 (総務省より)
メタバース広告の成長要因
メタバースの市場規模の拡大に伴い、広告メディアとしても、新たなプラットフォームとしての可能性が広がっています。
メタバースの成長要因として、下記3点が考えられます。
①没入型広告体験の提供
メタバースでは、実際の街中と異なり、地理的な制約がなく、世界中のユーザーが自由に仮想店舗へ訪れることができます。
これにより、ブランドは店舗に行けない遠方の顧客にもリーチできるようになり、グローバルなブランド訴求が可能となります。
さらに、ユーザーが仮想空間内でブランドの世界観を直接体験できるため、従来の広告手法とは異なる深い関係性の構築が可能です。
例えば、仮想店舗でのショッピング体験や、バーチャルイベントでの製品紹介などが挙げられます。
②ターゲティング精度の向上
メタバース内でのユーザー行動データを活用することで、より精度の高いターゲティング広告が実現できます(※)
ユーザーの興味・関心に基づいたパーソナライズド広告の配信が可能となる為、今後、広告効果の最大化も期待されています。

(※)
「より精度の高い」とは、従来のオンライン広告(SNS広告、検索エンジン広告、ディスプレイ広告など)と比較しての意味です。
メタバース内では、ユーザーの行動データ(仮想空間内での移動、論点)の動き、アバターの操作など)を細かく分析できるため、これまでの広告よりも精密なターゲティングが可能になります。例えば、特定のバーチャルストアで長時間滞在したユーザーに関連する広告を表示するなど、必然かつ重視に沿った広告配信が期待されています。
③デジタルネイティブ世代へのリーチ
Z世代やα世代などのデジタルネイティブ層は、メタバース空間での活動が活発です。
これらの世代に対して、メタバース広告は効果的なアプローチ手段となります。
例えば、ゲーム内広告やNFTを活用したプロモーションなどが効果的です。
では、次に、成長が期待される代表的なケースについて紹介いたします。
①メタバースの活用例
今後成長が期待される代表的なケースとして、下記の3分野があげられます。
それは、①eコマースや②ゲーム、③ヘルス&フィットネス分野です。
eコマース:
メタバース内でのバーチャルショッピングが拡大しています。
3Dモデリングされた製品を確認しながら購入できる仕組みが普及しつつあり、例えば、アバターを用いた試着システムや、仮想店舗でのリアルタイム接客が導入されることで、ユーザー体験の向上が見込めます。
ゲーム:
ゲーム内広告はすでに広く普及しており、バーチャルアイテムの販売やブランドコラボレーションが進んでいます。
例えば、「Fortnite」や「Roblox」では、企業が独自のバーチャル空間を提供し、ユーザーがゲームを楽しみながらブランド体験をできるようになっています。
ヘルス&フィットネス:
メタバースを活用したフィットネスプログラムが登場し、VRフィットネスやバーチャルジムが人気を集めています。
広告としては、スポーツウェアブランドやサプリメント企業が、インタラクティブな形でユーザーにアプローチできる機会が増加しています。
メタバース広告の課題
メタバースには大きな成長が見込まれますが、一方で課題があることも事実として存在します。
①ユーザー数の拡大
将来において利用者の増加や売上規模の増加が見込まれていますが、
現時点ではメタバースを積極的に利用するユーザーは限定的です。
ユーザー基盤の拡大が広告効果の向上に直結するため、普及促進が重要な課題となります。
②ハードウェアの普及
VR/ARデバイスの普及率はまだ低く、これがメタバース利用の障壁となっています。
デバイスの価格低下やより一層の技術の進化が求められます。
③広告の受容性
ユーザーが広告を不快に感じないよう、仮想空間に自然に溶け込む広告デザインが求められます(※)
過度な広告表示はユーザー体験を損なう可能性があるため、バランスの取れた広告展開が必要と言われています。

(※)
例えば、一部のゲームや仮想空間内では、広告が過剰に表示され、不満を抱くユーザーが増える可能性も指摘されています。
特に、FortniteやRobloxのようなプラットフォームでは、広告の表示方法に工夫が求められており、ブランド側も違和感のない形で広告を溶け込ませることが重要視されています。
広告デザインには、よりユーザーの体験を考慮した工夫が必要になってくるでしょう。
④効果測定の確立
メタバースは、その機能からターゲティング力が期待できます。
しかし、成長過程の為に、メタバース広告の効果を適切に測定する指標や手法がまだ確立されていません。
これは、従来のインターネット広告と比較して、ユーザーの行動データの取得や分析方法が異なるためです。
例えば、クリック率やインプレッション数などの一般的な指標がメタバースでは適用しづらく、新しいエンゲージメント指標の開発や、ROIを正確に評価する仕組みの構築が求められます。

インターネット広告の特性上、このあたりの課題解決は必須でしょう。逆に考えると、この仕組みが構築されると一気に普及する可能性が考えられます。
メタバース広告の未来
メタバース広告は、多くの課題を抱えながらも、飛躍的な成長の可能性を秘めた市場です。
技術の進化やユーザーの増加に伴い、今後さらに多様な広告手法が登場すると予想されます。
今後の展望
- AI技術の活用:
AIを活用することで、広告配信の精度が向上し、ユーザーの行動データをリアルタイムで分析できるようになるでしょう。
AIがユーザーの興味関心や行動パターンを学習し、最適な広告を最適なタイミングで配信することで、広告の効果を最大化できます。 - Web3との連携:
NFTやブロックチェーン技術を活用することで、新たな広告手法が誕生するはずです。
例えば、ブランドがNFTを活用した限定デジタルグッズを提供することで、顧客のロイヤルティを高めたり、広告を視聴したユーザーに対してトークン報酬を与える仕組みなどが考えられます。 - リアルとバーチャルの融合:
メタバースと現実世界をつなぐO2O (Online to Offline)型の広告展開が拡大することが予想されます。
例えば、バーチャル店舗で試着した洋服を実際の店舗で購入できる仕組みや、メタバース内のイベントに参加するとリアル店舗での特典が得られるプロモーションが実施される可能性があります。
メタバース広告はまだ発展途上ですが、今後のマーケティングにおいて重要な役割を果たす可能性があります。
広告業界で働く方は、積極的にメタバースを利用し、その世界観を感じることが大切です。
今のうちにメタバースの勉強をしておくことは、今後の広告業界での大きなビジネスチャンスをつかむ可能性が広がるでしょう。