本日は、2024年6月の「全国紙発行部数」のデータを基に、
2024年度版として、新聞発行部数について検証します。
新聞発行部数に関する記事は人気が高いです。
前回の検証記事『2023年12月の発行部数』のデータと比較しながら、
ちょっと違う観点で、なぜ新聞の発行部数が減少しているのかを検証してみましょう。
2024年6月の新聞発行部数と2023年との比較
2024年6月時点の主要全国紙の発行部数データは下記の通りです。
前年2023年12月(半年前)との比較をしてみます。
減少傾向が続く中、半年間でどのような変化があったのかを最初に見ていきましょう!
2024年6月最新データ
2024年6月時点の主要全国紙の発行部数は以下の通りです。
- 朝日新聞:3,391,003部
- 毎日新聞:1,499,571部
- 読売新聞:5,856,320部
- 日本経済新聞:1,375,414部(朝刊)、971,538部(電子版)
※日本経済新聞社は、電子版の読者数も発表していますので、今後は両データを記載します。 - 産経新聞:849,791部
日本ABC協会の発表によるこれらのデータは、『押し紙』を考慮していません。
『押し紙』を考慮した実売部数は後記します。
次に、前年の2023年12月データと比較し、発行部数の推移を見ていきましょう。
2023年12月と2024年6月の比較
新聞社 | 2023年12月 | 2024年6月 | 減少部数 | 減少率 |
---|---|---|---|---|
読売新聞 | 6,270,000部 | 5,856,320部 | -413,680部 | 約6.60% |
朝日新聞 | 3,680,000部 | 3,391,003部 | -288,997部 | 約7.85% |
毎日新聞 | 1,610,000部 | 1,499,571部 | -110,429部 | 約6.86% |
日本経済新聞 (朝刊) | 1,409,147部 | 1,375,414部 | ‐33,733部 | 約2.39% |
日本経済新聞 (電子版) | 902,222部 | 971,538部 | +69,316部 | 約7.68% |
産経新聞 | 1,160,000部 | 849,791部 | -310,209部 | 約26.74% |
なんと、半年間で100万部を超える部数が減少しています。
今年度、急激に部数が減少している背景としては、
各社が『押し紙』との差を調整する為に、部数減の幅を大きくしているのかもしれません。

公表部数と実売部数の差が大きすぎると、どこかで辻褄が合わなくなるので、
タイミングを見て調整をするしかないはずです。
そうなると、2024年12月には部数減の幅を一度少なくする可能性も否定できません。
日本経済新聞における発行部数について
日本経済新聞に関しては、
2024年6月のデータで朝刊が1,375,414部、電子版が971,538部という発表がされています。
このデータについて、ちょっと説明してみます。
この数値で注意すべき点は、朝刊と電子版の購読者には重複があるということです。
つまり、電子版の購読者の中には、朝刊も併せて購読している人が含まれており、朝刊の購読者にも電子版を利用している人が含まれています。
そのため、これらの数字を単純に足し合わせると、実際の読者数が過大に見積もられることになります。
たとえば、紙の新聞を購読している人がデジタル版も利用している場合、その人は両方にカウントされてしまうため、単体の購読者数は不明確となります。
実際の日本経済新聞の読者数は、両数値をプラスした数値の何掛けか?になりますが、正確な数値は不明です。
押し紙を考慮した実売部数
次に、押し紙を考慮した実売部数を計算します。
押し紙率を、いつも通り、毎日新聞は50%、他の新聞は30%とし、実売部数を以下の通り推定しました。
また、日本経済新聞社のデジタル版は、印刷部数の不正はありませんので、押し紙率0%としています。
新聞社 | 押し紙率 | 実売部数 |
---|---|---|
読売新聞 | 30% | 約4,099,424部 |
朝日新聞 | 30% | 約2,373,702部 |
毎日新聞 | 50% | 約749,785部 |
日本経済新聞 (朝刊) | 30% | 約962,789部 |
日本経済新聞 (電子版) | 0% | 971,538部 |
産経新聞 | 30% | 約594,854部 |
『押し紙』を考慮すると、日本経済新聞社では、デジタル版の読者数が逆転しています。
この傾向は、続いていくでしょう。
では、2024年6月の部数の状況を検証し、新聞社の抱えている問題を考えてみましょう。
1. 信頼性の揺らぎとメディアへの不信感
かつては新聞が「信頼できる情報源」として高い評価を受けていましたが、
近年はその信頼性が揺らいでいます。
地上波でもよく見受けられますが、『政権に忖度するような偏向報道』に対する懸念が高っています。
この状況は、新聞社にも大きく影響を与えています。

偏向報道は、若者を中心に見透かされていますので、マスメディアは今すぐやめた方がいいでしょう。自分の首を絞めるだけです。
その結果、
読者はより多様で平等な情報を求め、信用できる情報源として、SNSやマスメディア以外のオンラインメディアを活用してしまうのです。
東京都知事選の結果を見れば、その傾向は証明されています。
2. 経済的負担と生活コストの上昇
2024年は物価の上昇が続き、新聞購読が家計にとって負担となる家庭が増えています。
無料で情報が得られるインターネットの存在により、
新聞は「購読料に見合う価値」を提供していない。と思われています。
特に、生活に余裕の無い中低所得層の家庭では、ニュースにお金を払うという選択肢がますます遠のいていくことになるでしょう。
3. エコ意識の高まりと紙の減少
エコロジーへの意識が高まる中、紙の使用量を減らそうとする動きは世界中で加速しています。
環境への配慮からも、紙の新聞購読を中止し、デジタル版に移行する人は増加していきます。
特に若い世代や企業は、持続可能な選択を重視する傾向が強まり、新聞の紙媒体を避ける理由の一つとなってきているとも判断できます。
2024年度以降の展望
新聞の発行部数の減少は今後も続くと予想されますが、
新聞各社にとっては、以下のような戦略が求められるでしょう。
信頼回復のための取り組み
新聞社は、信頼性の向上を図るため、ジャーナリズムの透明性を強化し、読者とのコミュニケーションをより密にすることが重要になります。
読者の声を積極的に取り入れ、偏らない報道を目指す姿勢が、今後の信頼回復に不可欠です。
エコフレンドリーなメディア展開
デジタルメディアへの移行は避けられませんが、
紙媒体が持つ価値を再評価し、環境に配慮した紙媒体の展開や、リサイクル促進を打ち出すことで、一定層の支持を集めることが可能です。
ペットボトルの再利用が、当たり前の時代です。何かしらの対策が必要でしょう。
新たな収益モデルの確立
デジタル版の有料購読や、ニュースアプリとの連携による広告収入の強化は急務です。
また、紙媒体からデジタルへの移行を進める過程で、
デジタル版限定の特集や、双方向性を活かしたコンテンツの提供も、購読者を引き付ける要素となるでしょう。
若者が興味のあるコンテンツと積極的に連携する努力も必須です。
2024年度新聞発行部数のまとめ
新聞業界が直面する課題は多岐に渡ります。
新聞の購読者は高齢者が中心です。
毎年、読者が減り続けるのは避けられません。
どうすれば、「若者に興味を持ってもらえるのか」そして、「若者の支持を得られるのか?」
一番の課題にしなければいけません。
今後も、新聞各社の、持続可能な未来に向けての取り組みを注視しながら、
これからも最新の動向をお届けしていきます。
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