新聞広告の料金構造を読み解くシリーズ【第2話】

新聞広告特集

第2話:【全国紙編】読売・朝日・毎日・日経・産経—5大紙の料金と特徴を比較する

新聞広告シリーズ:第2話では、日本を代表する全国紙5紙(読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞・産経新聞)の広告料金と媒体特性を比較し、それぞれの活用シーンを考えます。

新聞広告を提案・出稿するうえで、単に価格の違いを把握するだけでなく、「どの新聞がどんな読者層に届きやすいのか」「企業メッセージとどう相性がよいか」といった視点も重要です。

また、下記内容は基本的な考え方です。その場の事情等により様々なケースがあります。

1. 全国紙5紙の定価料金の比較

全国紙でも“全国に出る”とは限らない?

全国紙という名称から「どこに申し込んでも全国に掲載される」と思いがちですが、実はそう単純ではありません。

新聞社は地域ごとに版(エリア別の紙面)を持っており、申し込み時の出稿枠によっては「東京本社版」「大阪本社版」「地方版」といった特定エリアへの掲載になる場合があります。

たとえば東京の広告会社が出稿しても、指定がない限り東京本社版(首都圏エリア)にしか掲載されないケースがあります。これはコスト面での合理性を図るためでもありますが、広告主が「全国の読者に届けたい」という目的の場合は、全国統一面(全国同一版)を希望する必要があります。

さらに、全国版であっても「テレビ欄」などの一部ページは地域差があるため、見え方が地方によって微妙に異なることもあります。

こうした事情は、広告代理店や媒体担当者が把握しておくべき重要ポイントです。 以下は、主要な全国紙の全15段(1ページ全面)広告における代表的な定価(2025年時点)です。

新聞名 広告料金(全15段・モノクロ) 備考
読売新聞 約5,000,000円〜 発行部数日本一、家庭向け訴求に強い
朝日新聞 約4,800,000円〜 知識層・文化人読者に多い
毎日新聞 約4,200,000円〜 教育・公共系に強い傾向
日本経済新聞 約5,800,000円〜 ビジネス層・経営者層に高リーチ
産経新聞 約3,800,000円〜 保守系・年齢層高めの読者が中心

※上記は参考価格(定価)であり、実勢価格は出稿条件によって変動します。

2. 媒体特性とターゲット層の違い

新聞名 主な読者層 特徴的な媒体性格
読売新聞 ファミリー層、シニア層 日本一の発行部数、家庭向け商材に強い
朝日新聞 教養層、文化・教育系 報道・文化面の評価が高く、公共性訴求に適す
毎日新聞 学生、教員、公的関係者 教育・行政系に強く、採用広報やCSRとの相性◎
日本経済新聞 経営者、ビジネスマン BtoB・金融・高価格帯商品と高い親和性
産経新聞 保守系・高年齢層 特定層へのアプローチに特化しやすい

3. どの新聞を選ぶべきか?——目的別活用シナリオ

目的 推奨新聞と活用ポイント
家庭向け商品を広く認知させたい 読売新聞の全国面や日曜版を活用。主婦層・家族層への接触率が高い。
採用広報・CSR・公共性重視の案件 朝日新聞または毎日新聞が適す。文化・教育ページや社説面に親和性あり。
富裕層や経営層への訴求 日本経済新聞を選定。見開きや株式欄、朝刊掲載が効果的。
コア層向け訴求や特定思想と親和性が高い商材 産経新聞。政治・安全保障・思想に関心の高い読者に強く届く。

このように、広告の目的や届けたいターゲットに応じて、選ぶべき新聞は変わってきます。単に料金や発行部数で判断するのではなく、「誰に、何を伝えたいのか」という視点を軸に選定することで、新聞広告の効果は違ってきます。

4. 料金だけでは見えない選定のポイント

  • 発行部数だけで決めない:読者の質や属性が重要。
  • 媒体の文脈を理解する:新聞社の論調や編集スタイルと広告内容の整合性。
  • 競合他社の出稿傾向を確認する:業界慣習や出稿事例の蓄積を参考に。

広告料金の比較はあくまで入口にすぎません。実際の効果を最大化するには、読者層の特性まで踏み込んで理解することが大切です。数字では見えない“媒体の性格”に目を向けることで、より効果的な広告展開ができるようになります。

おわりに:媒体ごとの個性を把握することが、新聞広告戦略の第一歩

同じ「全国紙」でも、新聞ごとにまったく異なる“個性”があります。単に料金で比較するのではなく、「どんな読者に、どう伝えたいか?」を軸に、新聞媒体の選定と広告設計を行うことが、広告効果を最大化する鍵となります。

次回の第3話では、地方紙・ブロック紙の料金と戦略的活用法について解説していきます。

 

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第3話:【地方紙・ブロック紙編】地域に根ざす新聞広告の活用法と料金感覚へ進む