【第2回】新聞販売店の新しい仕事は本当に儲かるのか|売上より「残る利益」で考える

新聞販売店は生き残れるのか?既存事業と並走する新ビジネスモデル設計を提案します。 新聞業界

新聞以外の仕事を一つ取れた。

それは大きな一歩です。

ただ、そこで安心してはいけません。

5万円の売上が増えても、5万円儲かったわけではないからです。

誰がやったのか。何時間かかったのか。移動や準備、営業、請求まで含めると、実際にはいくら残ったのか。

新しい仕事を続けるかどうかは、売上ではなく、この数字で判断する必要があります。

📚 新聞販売店の未来・再設計シリーズ【全6回】

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売上ではなく「最後にいくら残ったか」を見る

新しい仕事を始めると、どうしても売上に目が向きます。

月5万円、10万円と売上が増えれば、うまくいっているように見えます。

しかし、本当に見るべきなのはその後です。

売上 − 人件費 − 仕入れ・外注費 − 移動費 − 営業や管理に使った時間 = 実際に残った利益

販売店の場合、ここを曖昧にすると特に危険です。

既存のスタッフや車両を使えば、表面上は追加費用が少なく見えるからです。

でも、人が動けば時間を使います。

車両を使えば燃料も消耗します。

店主自身が営業や電話対応をすれば、その時間もタダではありません。

「空いている時間だから無料」と考えない

以前、このシリーズでは、新聞配達のない日中を新しい仕事に使えば、人件費をあまり増やさずに済むと考えていました。

しかし、これは少し楽観的でした。

配達員が日中も働けるとは限りません。

別の仕事をしている人もいれば、早朝勤務の後にさらに働くのが難しい人もいます。

店主や正社員が動くとしても、その時間には本来やるはずだった別の仕事があります。

「今いる人がやるから人件費ゼロ」という計算はしない方がいい。

現金の支出が増えなくても、その人の時間にはコストがあります。

5万円の仕事でも、実際に残るのは1万円かもしれない

たとえば、新しく5万円の仕事を受注したとします。

一見すると悪くありません。

しかし、仮にこんな仕事だったらどうでしょう。

項目
売上 50,000円
材料・外注・燃料など 10,000円
実作業15時間 仮に時給1,500円で22,500円
営業・電話・請求など5時間 同じく7,500円
実質的に残る金額 約10,000円

時給1,500円はあくまで説明のための仮定です。

重要なのは金額そのものではありません。

自分や既存スタッフの時間にも、一度値段を付けてみることです。

そうすると、「売上はあるのに、実はほとんど儲かっていない仕事」が見えてきます。

最初の1件は「成功」ではなく「検証」

では、最初から十分な利益が出なければ失敗なのでしょうか。

私はそうは思いません。

最初の仕事では、初めてだから時間がかかります。

値段の付け方も分からない。説明にも時間がかかる。必要のない作業までしてしまう。

そこから、

「次はこの作業を省ける」

「この金額では合わない」

「この客層なら反応がいい」

「ここまでを外注した方がいい」

ということが分かってきます。

これがノウハウです。

ただし、「最初だから赤字でもいい」と際限なく続けるのは違います。

試す前に、いくらまでなら損をしていいのか、何回まで試すのかを決めておく。

その方が撤退もしやすくなります。

続けるかどうかは、6つの数字を残して判断する

新しい仕事を一つ試したら、難しい事業計画書を作る必要はありません。

最低限、次の数字だけ残しておけば十分です。

見る数字 確認すること
売上 いくら請求できたか
直接かかった費用 仕入れ、外注、燃料など
実作業時間 現場で何時間使ったか
営業・管理時間 営業、打ち合わせ、電話、請求など
トラブル・やり直し 想定外に増えた負担はなかったか
次も受注できるか 一度きりか、継続・紹介につながるか

この数字があれば、感覚ではなく判断できます。

売上が大きい仕事が、良い仕事とは限らない

新しい事業を考える時、どうしても「月いくら売れるか」に目が行きます。

でも、小さな会社ではそれ以上に、少ない手間で繰り返せるかが重要です。

月10万円売れても、店主が毎月50時間取られる仕事なら厳しいかもしれません。

逆に月3万円でも、ほとんど追加作業がなく毎月続く仕事なら価値があります。

また、一つの顧客から次の顧客を紹介してもらえる仕事なら、営業コストも下がります。

「売上が大きいか」より、「利益が残るか」「繰り返せるか」「次につながるか」。この3つで見る方が、小さな販売店には現実的です。

ダメな仕事を早くやめることも、ノウハウになる

新しい仕事を始めると、「せっかく始めたのだから」と続けたくなります。

しかし、数字が合わないならやめていいと思います。

1件やってみて、予想以上に手間がかかった。

値上げすると売れない。

既存の新聞業務にも支障が出る。

それなら、その仕事は今の店には合っていなかったということです。

失敗ではありません。

「これはやらない方がいい」と分かったことも、次の商売を選ぶためのノウハウです。

一番危険なのは、利益が出ない仕事を「新規事業だから」と何年も抱えることです。

まとめ|立派な収益モデルより、1件の数字を見る

以前このシリーズでは、行政、生活支援、広告などを組み合わせた収益モデルを考えていました。

しかし、今は少し違う考え方をしています。

最初から完成した収益モデルを作る必要はありません。

まず一つ仕事を取る。

実際にやる。

いくら残ったかを見る。

改善できるならもう一度やる。

合わなければやめる。

その繰り返しの方が、机上で3年後の売上を計算するより現実的です。

新聞販売店の新しい商売で最初に必要なのは、大きな収益計画ではありません。「この1件は、本当に儲かったのか」を正確に知ることです。

次に読む|第3回へ

採算が合う仕事が見つかっても、次の問題があります。

「その仕事を、誰が考え、誰が営業し、誰が動かすのか」

販売店に足りないのは、配達する人だけではありません。

次の第3回では、企画、営業、交渉までできる人材を一店で抱えるのではなく、必要な機能を外から借りるという方法を考えます。