「感情」を動かすマーケティング“右脳型マーケティング”
広告やマーケティングのプランニングで重要視されるのは『数字やロジック』です。
広告費用に対して、どれくらいのリーチや問い合わせが見込めるのか?
そして、その中で、どれくらいの人に販売が見込めるのか?
様々な効果測定が可能になる『インターネット広告』の普及により、その傾向は顕著になってきました。
今では、屋外広告でもターゲティングを取り入れるようになっています。
このようなマーケティング手法は、厳密には『左脳型マーケティング』に分類されます。
しかし、広告というのは、本当にそれだけでいいでしょうか?地上波などのテレビ広告や屋外広告ではメッセージ性やインパクト性などが、より重視されてもいいはずです。
そこで、注目すべきは『右脳型マーケティング』というアプローチ方法です。
この手法は、数字を重視しないと言うことではありませんが、それ以上に『感情を動かす』ことを重視します。広告の向こう側にいる「人」の心に直接アプローチする考え方です。
あなたも、なぜか心に残るCMのワンシーンや音楽、何となく目にしたSNS広告などがあるはずです。
気づけば映像そのやメッセージが心に残り、ふとした時に思い出してしまうことはありませんか?
そんな「なぜだか心に響く」瞬間を生み出すための手法が『右脳型マーケティング』の目的になります。
つまり、“生活者と商品との距離を縮める”ことを目指していること言えるでしょう。
右脳型マーケティングと従来のマーケティング、その違いとは?
『右脳型マーケティング』の核心にあるのは、消費者の「感覚」を大切にする視点です。
従来のマーケティングでは、商品の「機能」や「メリット」を理論的に説明し、消費者にとっての価値の理解を促進します。
しかし、『右脳型マーケティング』は、消費者に「その商品を手にした瞬間に感じるワクワクや期待」を伝えることを目指します。
例えば、スマートフォンの広告を考えてみよう。
従来の広告なら「このスマホのカメラの性能は抜群です。1200画素です」と、製品のスペックを中心に訴求をします。一方で、右脳型のアプローチは異なります。ユーザーが手にしたときに感じる心の動きを重視します。
- このスマートフォンを手にした瞬間、どんな気持ちになろう?
- このスマートフォンで大切な人とつながるとき、何を感じだろう?
- これで旅行に行ったらどんな思い出ができるだろう?
- これを持っていたら、皆驚くだろうな!
このように、右脳型マーケティングは消費者に「体験」を感じさせて、「自分にぴったりかも」と感じていただけようにアプローチします。
右脳型マーケティングの活用法
では、次に業種別に、その活用例を考えてみましょう。
1.ファッション業界:服を着る「気分」を伝える
ファッション業界では、機能や価格以上に「その服を着たときの気分」を伝えることも重要です。服を着ることで「自分もこんな風に輝けるかも」と思ってもらうのです。 「機能にすぐれた洋服」というだけではなく、「気持ちが前向きなる」などの価値観を消費者に届けるのです。
2. 飲食業界:五感を活用した「おいしさ」を演出
飲食業界では、商品の魅力を、視覚と聴覚でどれだけ伝えられるかが勝負です。
夏の暑い日に、喉を鳴らしながら飲む冷たいドリンクの気持ちよさ。寒い冬に食べる熱々の鍋など。その魅力を味や価格だけでなく、徹底的にイメージとして視覚や聴覚に訴える必要があります。
3. 旅行リラックス業界:や冒険心を目覚めさせる
旅行広告では、価格や距離だけでなく、「こんな場所でゆっくり過ごしたい」という気持ちを呼び起こすことが重要です。静かな森の小道、広がる青い海、夜空に輝く星々。。。 「心が休まる新しい体験が待っている」というメッセージで、生活者に「行きたい」という感情を湧き起こします。
上記のような企業は、無意識のうちに、ビジュアルの部分で右脳型のアプローチを自然と取り入れている可能性があります。
右脳型マーケティングを成功させるための3つのポイント
続いて、右脳型マーケティングを実践する際のポイントです。
大事なのは、次の3つのポイントになるでしょう。
- 感情に響くストーリーを作る
人はストーリーに共感する生き物です。ストーリーマーケティングという考え方です。商品の背景や作られ方、その商品が持つ象徴的な価値を物語として伝えることは大切です。生産者のこだわりやその土地ならではの魅力を映像やテキストで伝えることが効果的です。 - 視覚的なインパクトを活用する
感情に直接アプローチする為に視覚的なインパクトは非常に大切です。商品やサービスの内容に合わせて、消費者が体験できる状況をインパクトのある内容でアプローチします。
- 五感にアプローチする
視覚だけでなく、音や触覚などの感覚も大切です。映像に組み込む音楽も重要です。五感をフルに活用することで、視聴者の感情を引き出すことができます。イベントでの体験型マーケティングも、五感を通じたブランドの認知拡大に有効です。
右脳型マーケティングの未来
最後に、『右脳型マーケティング』の今後について考えてみます。
デジタルが進む中で、『右脳型マーケティング』の重要性はさらに増してくるはずです。
AIやデータを活用して消費者の行動を精緻に予測できるようになることと比例して、「感情」や「共感」といった人間らしい部分をどう取り込むかが、マーケティングの成功の分かれ目となるはずだからです。
今後の右脳型マーケティングでは、以下のようなことが考えられると思います。
- 個別化された感情アプローチ
AIを活用して、消費者にカスタマイズされた感情的な体験を提供できる時代が訪れるでしょう。パーソナライズされた広告や、インタラクティブなキャンペーンなどが増えていくはずです。 - 体験型広告の進化
AR(拡張現実)やVR(仮想現実)技術が普及することで、広告の世界観をよりリアルに体験できるようになります。体感できるような広告がより普及する可能性があります。
- 持続可能性と共感を重視した
環境問題社会課題への関心は高まり続けます。その結果、企業がブランドロイヤルティを高める為に、価値観や理念を感情的に伝えること必要性が高まると思われます。
右脳型マーケティングのまとめ
『右脳型マーケティング』は、単純に「商品を売る」手法ではなく、生活者と商品・サービスの間に『感情』を埋め込む作業です。
感情を重視し、消費者の心を動かす広告戦略として、今後も重要性が増していくでしょう!
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