はじめに
広告営業や代理店の現場では、商談をスムーズに進める「会話の流れ」が成果を大きく左右します。雑談で心を開き、本題で信頼を築き、最後は自然なクロージングへ導く——この一連の流れを身につけることが重要です。
本記事では、商談を成功させる会話の基本ステップを解説します。
ステップ① 雑談で場を和ませる
- 初対面なら「共通の話題」や「最近のニュース」から始めます
- 併せて自社紹介も必要。ただし余計な説明は省き、相手にとって必要な部分だけを簡潔に伝えることが大切です
- 広告業界の軽いトピック(新しいOOH、SNSキャンペーンなど)を使う
- 雑談は3〜5分程度がベストですが、盛り上がる場合もあります。それでも10分以内にはおさめたいところです。「長引かせない」ことがポイント
👉 詳しくは前回記事:広告営業で絶対NGな雑談11選
ステップ② 相手の関心を引き出すヒアリング
- 「御社では最近どんな施策に注力されていますか?」などオープン質問を使う。ただし、これだけだと勉強不足に思われることもあります。例えば「御社の○○キャンペーン拝見しました」など具体的に触れる方が効果的です。ただし褒めすぎには注意。嘘っぽく見られます。また、担当が別の人だったり社内評価が分かれる場合もあるため、軽く触れる程度が無難です。
- クライアントが話しやすい雰囲気を作る。とはいえ「どうやって?」というのが多くの人の悩みです。実際には、柔らかい表情を心がける、相槌を打つ、相手の言葉を繰り返す、少し前傾姿勢で聞く、といった基本的な姿勢が効果的です。
- 相槌や要約を交え、「きちんと聞いている」と伝える。一般的な目安としては、自分が話す割合が3〜4割、相手が6〜7割程度になるのが理想です。
ステップ③ 提案へのスムーズな橋渡し
- 雑談やヒアリングで出たキーワードを活かす。これらは今先方で旬のキーワードである可能性が高く、提案の切り口として非常に効果的です。
- 「先ほど〇〇とおっしゃっていましたが、それに関連して…」と自然に提案へ移行
- 無理やりこちらから資料を広げるのではなく、会話の延長線上に提案を置く。つまり、相手が興味を示して自然にページを開きたくなる流れを作ることが大切です。先方に自主的に資料を見てもらう形にすると、押し付けではなく“引き出される提案”となります。
ステップ④ 提案内容をシンプルに伝える
- クライアントの課題にフォーカスした説明
- 専門用語は避け、分かりやすい言葉を選ぶ
- 事例や実績を交えてイメージを持ってもらう
- プレゼン時に大切なのは、提案書の全てを読み上げないこと。資料は先方の手元にあるため、各ページの要点だけを簡潔に説明することを心掛けます。
ステップ⑤ 相手の反応を確認する
- 「ここまででご不明点はありますか?」と小さく区切る。適切なタイミングで一度説明を止めて確認することが大切です。しかし、この判断が難しいと感じる人も多いのが現実です。大きな話題が一区切りしたところや、提案内容が変わるところ、相手の表情に変化が見えた時などを目安にすると良いでしょう。
- 相手の表情やリアクションを観察する。説明途中にも関わらず相手が資料の最終ページまで目を通していることもあります。これは退屈しているサイン、または結論や金額にしか興味がないシグナルである可能性があります。その場合は、ページが変わるタイミングで「あとのページは一部繰り返しの説明になりますので、最後のページに進みたいと思います」と柔軟に対応するのも有効です。相手の関心に合わせて省略や短縮を行うことで、効率的でスマートな商談になります。
ステップ⑥ クロージングへ導く
- 「この方向性で進めてもよろしいでしょうか?」と合意を取る。本日結論が出そうであれば、その場でアクションに入るのが大切です。
- しかし多くの場合は先方が社内で検討する必要があり、即決はできません。その場合は次回の打ち合わせ日程を調整する、質問に対する返答のためのスケジュールを組むなど、この後に続く道筋を具体的につけることが重要です。「何かあったらご連絡ください」では多くの場合、連絡は来ません。

まとめ
商談成功の鍵は「会話の流れ」をデザインすることです。
- 雑談で心を開かせる(ただし長引かせず3〜10分以内が理想)
- ヒアリングで相手の課題を掘り下げる(自分3〜4割、相手6〜7割の会話比率が目安)
- 雑談やヒアリングで出た“旬のキーワード”を拾い、自然に提案へつなぐ
- 提案は要点だけをシンプルに伝え、反応を確認しながら柔軟に進める
- クロージングでは即決よりも“次のアクションを決める”ことを重視する
この流れを意識するだけで、商談の成果は大きく変わります。
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