スマホを使っていて、意図せず広告をタップしてしまったことはありませんか?
スマホでゲームやアプリを楽しんでいる最中に、突然現れる広告。誤ってタップしてしまい、別のサイトやアプリに飛ばされると、「また広告か…」と不快に思ったことがある方も多いのではないでしょうか?
このような広告を「タップ誘導広告」といいます。
意図的に誤クリックを誘発し、ユーザーにストレスを与える手法として問題視されています。
しかし、一方でユーザーが自発的に広告を視聴することでメリットを得られる広告手法も存在します。このような広告を「リワード広告」と言います。
本日は、タップ誘導広告とリワード広告の違いを比較し、どのような広告がユーザーにとって好まれ、広告主にとって有益なのかを考えてみます。
タップ誘導広告とは?ユーザーの誤クリックを狙う広告手法
タップ誘導広告の仕組み
タップ誘導広告(トラップ広告)とは、ユーザーが意図しないクリックをしてしまうように設計された広告です。例えば、次のような仕組みが使われます。
- スクロール中に突然現れるバナー広告
- スクロールしているだけなのに、バナーが勝手に反応してしまう
- 「×ボタン」が極端に小さい、または偽装されている
- ゲームアプリでタップゾーンと重なる位置に配置
なぜこのような広告が使われるのか?
短期的な広告収益を増やすために、一部の広告事業者やアプリ開発者が採用していると言われています。
こうした広告はユーザー体験を損ないますので、ブランドの信用低下につながるリスクがあります。
しかし、多くのクライアント(広告主)は、自社の広告がタップ誘導広告として使用されていることに気づいていないケースが多いと思われます。
これは、広告の配信構造が複雑で、どこにどう表示されるかを広告主が完全に把握できないことが主な原因です。

すると、広告主にとっては、せっかくの広告が結果としてマイナスイメージを訴求していることになってしまいますね。
このような事を避ける為に、どうしたらいいのか?考えてみましょう!主は気づかないのか?
広告主が知らないうちにタップ誘導広告として掲載される理由には、次のような要因があります。
1. 広告ネットワークの仕組みがブラックボックス化している
- 広告代理店やDSP(デマンドサイドプラットフォーム)が自動的に配信を行うため、詳細な掲載先をチェックしにくい。
- RTB(リアルタイムビッディング※)によるプログラマティック広告では、瞬時に最適な広告枠が決まるため、どのメディアに広告が出るのか広告主がコントロールしづらい。
※RTB(リアルタイムビッティング)とは、リアルタイムに広告主と媒体社の取引を完了させる仕組みの事です。リアルタイムに契約することで、広告主と媒体社と双方にメリットが発生するように設計されています。
2. 低品質な広告ネットワークへの配信を防ぐ設定が不十分
- 企業が大手広告プラットフォーム(Google Ads、Meta Adsなど)を利用している場合、広告が第三者のアドネットワークに自動配信されることがあります。
- 一部のアドネットワークは、誤クリックを誘導する悪質なサイトやアプリにも広告を配信しています。
3. 広告代理店やマーケティング担当者のチェック不足
- 広告代理店が「広告の掲載先リスト」を定期的に確認していないと、どんなサイトやアプリに広告が掲載されているのか分からない。
- クライアント(広告主)が代理店に任せきりになっている場合、ブランドイメージに悪影響を及ぼしている可能性があることを把握できない。
と、上記のような原因が考えられます。
では、この「タップ誘導広告」の何が原因なのか?もう少し深堀りしてみましょう!
タップ誘導広告に自社の広告が使われると何が問題なのか?
1. ブランドイメージの低下
- 信頼性の高い大手企業の広告でも、悪質な手法に利用されると消費者からの印象が悪化してしまいます。
- たとえば、大手メーカーのノートパソコンの広告がタップ誘導広告として表示されていた場合、「この企業は詐欺的な手法を使っているのでは?」と疑われる可能性があります。
- ユーザーが不快に感じる広告は、ブランド価値の毀損(きそん)につながります。

つまり、生活者は、大手メーカーが広告の配信を他社に任せていることまで深く考えていません。
ということは、そのメーカーが意図的にそのような強引に誘導するような広告を利用している。と思ってしまう可能性があるのです。
2. 広告費の無駄遣い
- タップ誘導広告は、意図しないクリックを増やすため、本来のターゲットにリーチできず広告費が無駄になります。
- 例えば、本当にノートパソコンに興味がある人ではなく、誤クリックした人が広告ページに飛んできた場合、コンバージョン(購入・問い合わせ)につながりません。
- 結果として、無駄なクリック課金が増え、広告の費用対効果(ROI)が低下してしまいます。

つまり、クリック毎に広告費が発生する場合、購入する意図の無いクリックにまで広告費が発生してしまう為、費用対効果が悪くなるのです。
3. 消費者の信頼喪失
- ユーザーは「意図せずに飛ばされたサイト=怪しいサイト」と認識することが多いため、クライアントの公式サイトが詐欺サイトのように見えてしまうリスクが考えられます。
- 「この企業の広告って、なんか迷惑な感じだな…」という印象がつくと、潜在顧客が離れてしまいます。
- ネガティブな口コミが広がると、ブランドの評判を回復するのが難しくなります。

このように、「タップ誘導広告」は、広告主にとってもデメリットが大きいと言わざるを得ません。
クライアント(広告主)がタップ誘導広告を避けるための対策
広告主として、タップ誘導広告に利用されないためには、以下の対策が必要です。
1. 広告掲載先を定期的にチェックする
- 広告の掲載レポートを確認し、低品質なサイトやアプリで配信されていないかをチェックする必要があります。
- Google AdsやDSP広告の「プレースメントレポート」を確認し、怪しい掲載先がないか監視します。
- 広告代理店に「掲載リストの定期的な報告」を依頼し、タップ誘導広告の有無について報告を義務づけます。
2. 広告ネットワークのフィルタリングを強化する
- 低品質なアドネットワークをブロックする設定を行います。
- 「ブランドセーフティ」オプションを有効化し、不適切なサイトへの配信を防ぎます。
- 「プレミアムサイトのみに広告配信」する設定に変更します。(例:大手ニュースサイト、信頼性の高いウェブメディア)
3. ブランドイメージを守るためにリワード広告を活用する
- タップ誘導広告のリスクを回避し、ユーザーがポジティブに受け入れるリワード広告(報酬型広告)を活用します。
- ゲームや動画アプリなどで「広告を視聴すれば特典が得られる」仕組みを使えば、ブランドイメージを損なうことなく広告効果を最大化することができます。
結論|広告主はタップ誘導広告のリスクを理解し、戦略的に広告を選ぶべき
企業が広告を出稿する際、タップ誘導広告のような手法に利用されると、ブランドイメージが傷つき、広告費が無駄になり、消費者の信頼を失う可能性があります。
「知らないうちにタップ誘導広告に使われていた」では済まされない時代です。広告の掲載先を厳しく管理し、ブランドを守る対策が必要です。
タップ誘導広告ではなく、ユーザー体験を向上させるリワード広告などの健全な手法を活用するように注意しましょう。
企業が適切な広告手法を選び、ユーザーにとって価値のある広告を届けることが、長期的なブランド成長につながるのです。
もし、自社の広告がどのサイトやアプリに掲載されているか不安なら、今すぐ広告レポートをチェックしましょう!広告代理店やマーケティング担当者に、掲載先の詳細を確認するよう依頼することをおすすめします。
では、次に、「タップ誘導広告」とは正反対とも言える「リワード広告」について解説します。
比較の表も作成しましたので、しっかりとチェックしてください。
リワード広告とは?ユーザーが自発的に視聴する広告手法
リワード広告の仕組み
リワード広告は、ユーザーが広告を視聴することで報酬を得られる仕組みです。
主にゲームアプリや無料サービスで採用されています。
- 動画広告を視聴すると、ゲーム内アイテムや通貨がもらえる
- 広告を見れば、記事や動画の続きを無料で視聴できる
- アプリ内課金を無料で解除できる特典がつく
という特徴があります。
なぜリワード広告が人気なのか?
リワード広告は、ユーザーにとって「見たい」と思わせるインセンティブがあるため、受け入れられやすく、エンゲージメントが高まります。
また、広告主にとっても、視聴完了率が高く、効果的なマーケティングが可能になります。
タップ誘導広告 vs リワード広告|徹底比較表
項目 | リワード広告 | タップ誘導広告 |
---|---|---|
ユーザー体験 | ユーザーが自発的に広告を見るため、満足度が高い | 意図しないクリックを誘発し、不快感を与える |
主な目的 | 広告を見てもらい、ブランドや商品への関心を高める | 誤クリックを狙い、短期的に広告収益を稼ぐ |
利用シーン | ゲームアプリ・動画配信サービス・ニュースアプリなど | 低品質なアプリ・悪質な広告ネットワーク |
クリック率 | 視聴完了率が高く、広告効果が高い | 誤タップによる無駄なクリックが発生 |
ブランドへの影響 | 広告に対してポジティブな印象を持たれやすい | ユーザーから嫌われ、ブランドイメージが悪化 |
規制リスク | 規制対象になりにくく、健全な広告手法 | 不正広告として取り締まりの対象になりやすい |
どちらの広告がより効果的なのか?
結論として、リワード広告の方が圧倒的に効果的であり、長期的なメリットが大きいです。

「タップ誘導広告」はユーザーに不快感を与え、ブランドイメージを低下させる可能性が高く、「リワード広告」はユーザーが広告をポジティブに受け入れ、エンゲージメントを高める効果があります。広告主としても、リワード広告の方が視聴完了率が高く、結果的にコンバージョンが向上するのです。
今後の広告の方向性と市場の動向
近年、GoogleやFacebookなどの広告プラットフォームでは、ユーザー体験を重視する方向へシフトしています。
- Googleの広告ポリシー → 誤クリックを誘発する広告はペナルティ対象
- アプリストアの規制強化 → ユーザー体験を損なう広告を含むアプリは削除されるリスク
つまり、今後の広告業界では「ユーザーが受け入れやすい広告手法」が求められる時代に突入しています。リワード広告のような「ユーザー体験を向上させる広告」が主流になり、タップ誘導広告は衰退していくでしょう。
まとめ
「広告=うざいもの」ではいけません。ユーザー体験を損なわない広告が大切です。
広告を出稿する企業やメディアは、「ユーザーがストレスを感じるか」「メリットを得られるか」という視点で広告手法を選ぶことが、今後の広告戦略でも重要です。
今実施している広告が、どのような広告なのか?自社でしっかりと管理するようにしましょう!す。