テレビ局の“末路”は近いのか?若者離れ・視聴者離れが止まらない本当の理由とは!

マスメディア研究・分析

かつて国民にとって“なくてはならない存在”だったテレビは、今や「オールドメディア」として揶揄される時代。

ネット世代の若者たちはテレビを見なくなり、中高年層さえもリモコンを置き始めています

視聴率は下がり、広告収入も減少。
その一方で、NetflixやAmazon Primeといった外資系プラットフォームが台頭し、スポーツや映画などの人気コンテンツも次々と奪われています。

なぜ、ここまでテレビは“存在感”を失ってしまったのか?

その背景には、「視聴者よりも事務所・スポンサーを優先する」という“忖度構造”と、“自社都合”の番組づくりが深く根を張っています。

本日は、ジャニーズ問題を起点として、この構造的問題を掘り下げながら、テレビ業界が直面する危機の本質を考えてみます!

「出演させてもらっている」のは誰か?

ジャニーズ問題で最も象徴的だったのは、テレビ局側がジャニーズ事務所に対して極端なまでに“配慮”していたという事実です。

報道各局が長年、問題を積極的に扱わなかったこと、事件の被害者ではなく事務所へのコメントを優先したこと、そして、タレントの降板が相次いだときの説明責任の欠如。これらはいずれも、視聴者ではなく「事務所」や「タレント本人」への“忖度”が優先されてきた構造を如実に示しています。

視聴者から見れば、これは“裏切り”に他なりません。

番組やCMは視聴者が見て成り立っています。 にもかかわらず、番組制作者がまるで“出演機会をテレビ局に与えてもらっている”かのような意識を持ち、事務所側に頭が上がらない状況が続いていたのです。

視聴者のリアルな不満とは!

さらに多くの視聴者が抱いているのが、「いつテレビをつけても同じタレントばかり」「番組の内容もワンパターンで代わり映えしない」という不満です。

これは一部の声ではなく、幅広い層が口にする“リアルな声”でしょう。

テレビの番組表を見て、タレント名が付いた番組名を見て、うんざりしている中高年は非常に多いのです。

ところがテレビ局は、「人気タレントさえ出しておけば大丈夫」という安易な発想で番組を作り続けており、その“視聴者軽視”がさらなる視聴率低下を招いています。

視聴者は決して無知ではありません。むしろ、「自分たちが置いてけぼりにされている」ことに敏感に気づいており、そうした番組作りに嫌気が差しているのです。

 

では、なぜこのような歪んだ構造が生まれてしまったのでしょうか?

背景には、制作側の力不足とスポンサーへの過度な依存があります。

旬のタレントさえ起用すれば番組が成り立ち、スポンサーも「●●●さん主演です」と言えば納得して広告を出す。

さらに上層部も事務所との関係維持を優先し、飲み会で盛り上がれば円滑に進む。そんな循環が繰り返される中で、テレビ局は独自色を失い、タレントの奪い合いと事務所中心の番組作りが常態化していったのです。

そして、このような事務所優先の番組作りを続けた結果、視聴者離れが進む中で広告収入は減少を続け、さらにNETFLIXやAmazonプライムといった外資に優良スポーツ番組や人気映画の放映権を次々と奪われています。

資金力でも太刀打ちできず、テレビ局自らが自分の首を絞める状況を招いているのです。

それでもなお現状の体制を改めようとせず、このままではテレビ局のV字回復は望めません。

 

テレビ東京はなぜ信頼を得たのか?

一方、注目すべきはテレビ東京の存在です。

地上波キー局の中で最も予算が少なく、芸能事務所との関係性も限定的なテレ東は、タレントの豪華さに頼ることなく、「内容」で勝負してきました。

『昼めし旅』『ローカル路線バスの旅』『YOUは何しに日本へ?』『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって』など、視聴者の日常に寄り添い、無理のない構成と人間味あるテーマで支持を集めています。

タレントありきではなく、企画ありき。

その結果として、固定ファンを持つ番組が増え、「最近はテレ東が一番落ち着いて見られる」という声も多くなりました。

実際、テレビ東京ホールディングスは2026年3月期第1四半期で売上10.5%増、営業利益186.3%増という好決算を発表。放送業界の中で唯一とも言える“成長企業”として注目を集めています。

「視聴者の方を向く」という当たり前の難しさ

テレビ業界にとって、視聴者は「数字」という形で評価される存在です。しかし、実際の番組制作現場では、芸能事務所、広告主、テレビ局及び関連企業、代理店など、多くの“力関係”が番組の内容に影響を与えます。

例えば、業界内で“威張っている順番”を表すと以下のような力関係図に見えてきます。

順位 主導する存在 備考
1位 芸能事務所(タレント供給の絶対権力) 視聴率や話題性を左右するキャスティング権を独占
2位 広告主(出稿を止めれば番組が消える) CM出稿の決定権を握り、番組制作への圧力も持つ
3位 テレビ局・関連企業(実際の放送を握るが依存多し) 放送権とインフラは持つが、他プレイヤーに大きく依存
4位 代理店(間に入り全体を調整する立場) 各方面の意向を調整する潤滑油だが、発言力は限定的

もちろん実際はケースごとに異なりますが、このような構図が「なぜ視聴者よりも業界内の都合が優先されるのか」を示しています。

特に広告代理店は、芸能事務所や広告主、テレビ局の意向をすべてくみ取り、間に立って調整する立場として機能しているのです。

本来であれば、視聴者の信頼を得ることが最優先であるはずが、いつしか「波風を立てない」ことが最優先となり、結果として中高年層の不満さえも高まる事態になっているのです。

「見たいテレビがない」 「誰が出てても、どの番組も同じに見える」

こうした声を本気で受け止めない限り、テレビ業界の復活は難しいでしょう。