- ✓テレビCMの費用は「制作費」+「放映費」の2階建て構造—まず全体像を把握する
- ✓制作費の相場と内訳—AI制作が変えた2026年の新しい費用感
- ✓タイムCM・スポットCM・SASの3つの出稿方法と使い分け
- ✓放映費の計算式—GRP・パーコスト・時間帯ランクの読み方
- ✓100万・300万・1,000万円の予算別シナリオ
- ✓広告代理店と話す前に整理しておくべき3つのこと
「テレビCMは大企業だけのもの」
そんな時代は終わりました。
戦略次第で数十万円から出稿でき、AI制作の普及によって制作費の常識も大きく変わっています。
一方で、費用の仕組みや専門用語(GRP、パーコスト、タイムCMなど)がわからないまま動いてしまうと、予算を無駄にするリスクもあります。
テレビCMの費用は「制作費(映像を作る)」+「放映費(電波に乗せる)」の2本柱。
制作費はAI活用で30〜50万円台から対応可能になりつつあり、放映費は地方局・独立局・SAS枠を活用すれば100万円台からでも始められます。
重要なのは目的を明確にし、予算の使い方を戦略的に設計することです。
➀テレビCMの費用は「制作費」+「放映費」の2階建て。まず全体像を把握する
テレビCMの費用を考えるとき、多くの人が「1本いくら?」と聞きます。しかしこの問いには2つの意味が混在しています。まず構造を切り分けることが重要です。
| 費用の種類 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 制作費 | 映像・音声・ナレーションを「つくる」コスト | 30万〜数千万円 |
| 放映費 | テレビ局にCMを「流す」コスト(電波代) | 数万〜数億円 |
「制作費300万円をかけたのに、放映費の予算がなくて1週間しか流せなかった」というケースは珍しくありません。制作と放映のバランスを最初に設計することが、テレビCM出稿の第一歩です。
②制作費の内訳と相場【2026年版・AI制作対応】
制作費は「何を使って作るか」によって大きく変わります。
2026年現在、従来の人間による制作に加え、AI制作が実用段階に入ったことで、費用感が根本から変わりつつあります。
映像生成AIの進化により、テキストや静止画から本格的な動画を生成できる時代になりました。
2026年現在の主要ツールはRunway Gen-4.5(プロ向け・4K対応)、Google Veo 3.1(音声同時生成対応)、Kling 2.6(コスパ最強・最大3分)などです。
なお、OpenAI Soraは2026年3月24日にサービスを終了しています。
実際に静岡の映像制作会社がAIツールのみで企業CM1本を1週間で完成させた事例もあります。
ただし、タレント出演・感情的なブランディング・4K以上の高精細映像が必要な場合は、現時点でも従来制作の優位性があります。
AI映像生成ツール+ナレーションAI(VOICEVOXなど)+編集ソフトを組み合わせて制作。モーショングラフィックス主体の商品紹介CMや、ブランドイメージ動画に適しています。制作期間も1〜2週間と短い。
ロケ撮影・スタジオ撮影とAI生成映像を組み合わせる方法。
人間の演技・感情表現が必要なシーンは実写で撮影し、背景・エフェクト・差し込み映像をAIで補完する。現在最も現実的なコスト削減手法です。
有名タレント起用・海外ロケ・高度なVFXを含む本格制作。タレント出演料は誰を起用するかで数百万〜数千万円単位の差が出る最大の変動要素です。
キー局のゴールデン帯で大量出稿する場合に選ばれます。
| 制作費の主な内訳 | 従来制作 | AI活用 |
|---|---|---|
| 映像撮影・生成 | 50万〜数百万円 | 数万〜30万円 |
| ナレーション・音声 | 5万〜30万円 | ほぼ0円(AI音声) |
| BGM・効果音 | 3万〜20万円 | AI音楽生成で大幅削減 |
| 編集・仕上げ | 10万〜50万円 | 10万〜30万円 |
| タレント出演料 | 数百万〜数千万円 | (該当なし) |
また、放映にあたっては各テレビ局のCM審査基準(JARO・民放連)をクリアする必要があり、AI制作だからといって審査が省略されるわけではありません。
③放映費の仕組み:タイムCM・スポットCM・SASの3つの出稿方法
制作した映像をテレビで流すための「電波代」が放映費です。出稿方法によって費用感・目的・柔軟性が大きく異なります。
| 方式 | 特徴 | 主な目的 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| タイムCM (番組提供) |
特定番組のスポンサーになる。番組冒頭・末尾に「提供:○○」と表示 | ブランディング・企業の信頼構築 | 数千万〜数億円/クール |
| スポットCM (時間帯指定) |
番組と番組の間に流れる。時間帯・期間を柔軟に設定できる | 商品認知・キャンペーン告知・即効性 | 数十万〜数億円 |
| SAS (スマート・アド・セールス) |
1枠単位でCM枠を購入できる新しい仕組み。ネット広告感覚で少額から始められる | テスト出稿・初めてのテレビCM | 数万円〜(1枠単位) |
SASはネット広告のような感覚でCM枠を1本単位から購入できます。
「テレビCMをやっている会社」という実績を作りながら、効果測定もできる現代的な選択肢です。
まずSASで小さく始め、効果が確認できたら本格的なスポットCMへ移行するというステップが、現在最もリスクの低い戦略です。
④放映費の計算式—GRP・パーコスト・時間帯ランクの読み方
スポットCMの放映費を理解するには、3つの概念を把握する必要があります。
CMがどれだけの視聴者に届いたかの延べ合計値です。
「視聴率1%分を買うのにいくらかかるか」という単価です。局・時間帯・地域によって大きく異なります。キー局(関東)では数十万円〜100万円超、地方局では数千円〜数万円が目安です。
パーコストはテレビ局側が設定する単価です。局・時間帯・地域によって異なり、広告主やクライアントが変えられるものではありません。
地方局を例に実際の数字で計算してみます。
これだけではわかりにくいので、地方局を例に実際の数字で計算してみます。
視聴率5%の時間帯に3本、視聴率10%の時間帯に2本流す
5% × 3本 + 10% × 2本 = 35GRP
| ランク | 時間帯 | 特徴 | 単価 |
|---|---|---|---|
| Aタイム | 19〜23時(ゴールデン・プライム) | 視聴者数が最多。最も広い層にリーチ | 最高 |
| Bタイム | 朝・夕方 | 主婦層・シニア層に強い | 中 |
| Cタイム | 深夜 | 若年層・ニッチなターゲット。コスパが良い | 低め |
高
中
低
⑤予算別・目的別シナリオ
予算規模ごとに現実的な活用シナリオを3つ提示します。制作費と放映費のバランスも明示しています。
戦略:TOKYO MXなどで1ヶ月間に30〜50本放映。Webサイト訪問数・問い合わせ数の変化を測定し、テレビCMの効果を検証。「CMをやっている会社」という信頼感の獲得も副次効果として見込めます。
戦略:キー局のBタイム(朝・夕方)または深夜帯でブランディングを図りつつ、重点エリアの地方局で集中投下。全国的な認知と特定エリアでの強化を組み合わせる。
⑥広告代理店と話す前に整理しておくべき3つのこと
失敗しないCM出稿のために、代理店に相談する前に以下の3点を明確にしておきましょう。
「全体で300万円」と言うだけより、「制作に100万、放映に200万」と内訳を示すと提案の精度が格段に上がります。AI制作を希望するなら、その旨も最初に伝えましょう。
「認知度を上げたい」だけでは発注できません。「3ヶ月でWebサイト訪問数を2倍にしたい」「特定エリアでの問い合わせを月○件増やしたい」と数字で伝えると、選ぶべき局・時間帯・GRP量が具体的に変わります。
「30代の働く女性」「週末のパパ」「60代のシニア男性」など、ペルソナを絞ると時間帯選択が変わります。ターゲットが明確なほどパーコストを抑えた効率的な買い方が可能になります。
まとめ:テレビCMは「設計」次第で選べる投資になる
テレビCMは、決して手の届かない大企業だけの広告手法ではありません。
AI制作の普及・SAS枠の整備・地方局の低単価化によって、今や100万円台から実施できる環境が整っています。
まずは自社の目的を明確にし、小さなエリアやSAS枠からテストを始めることが成功への近道です。
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