円安と日本経済について考えてみた!

コラム

2023年~2024年の間に急速に進んだ『円安』

日々のニュースでも円の動きがニュースにならない日はありません。

本日は、『円安』が日本や生活者にどのような影響があるのか?
考えてみました。

 

円安が日本経済に与える影響:貿易から見るプラスとマイナス

『円安』が、私たちの生活にどのような影響を与えるのか?
を考える時に『輸入と輸出』を抜きには考えられません。

 

 

まずは、円安が与える『輸入と輸出』の関係について整理してみましょう。

 

 

 

円安が輸出産業に与えるプラスの影響

まず言えることは、円安は日本の輸出産業にとって大きなプラスだということです。

たとえば、トヨタがアメリカに車を売るとき、1台が3万ドルだとします。

1ドル=100円の時、トヨタは300万円を得ますが、
円安が進み1ドル=120円になると、同じ3万ドルでも360万円を得ることができるようになります。

これが150円になると、なんと!450万になります。

円安のおかげで、トヨタはより多くの利益を得られるということになるのです。

この結果として、車や電化製品などの日本製品が海外市場でより競争力を持つようになり(※)、
輸出が増えることが予想されます。

(※)1ドルが100円の時と1ドルが150円の時では、同じ1ドルでも買える商品の量が違ってきます。円安になると、円の価値が下がるため、日本から海外に売る商品がもっと増えることになります。

 

日本の大企業の多くは輸出企業です。

円安は、海外に製品を売っている企業にとって大きな追い風となる為、日本では多くの企業の業績が向上することになります

結果として、株高などのニュースが増えることにもなるのです。

一見、株高により景気が良さそうに感じられるのに、多くの方が実感できないのは、円高により恩恵を受けている企業が従業員などに、その恩恵を反映させていないことが大きな要因と言えるでしょう!

 

輸入コストの増加とその影響

一方で、円安は輸入コストの増加を引き起こしてしまいます

たとえば、日本がアメリカから1バレル100ドルの原油を輸入するとします。

1ドル=100円の時は1バレルあたり1万円ですが、円安が進み1ドル=150円になると、
同じ1バレルでも1万5,000円かかることになります。

これは、ガソリンの価格が上がることを意味します。

最近ガソリン代が高騰しているのは、これが原因です。

ガソリン代が上がると、私たちの生活費が増えるだけでなく、
運送業者や製造業者もコスト増に悩まされます。

 

結果として、スーパーで売られている商品価格も上がる可能性があり、私たちの日常生活に直接影響を与えます。

物価の上昇を引き起こしてしまうのです。

 

インフレの増大

輸入品の価格が上がると、全体的に物価が上昇しやすくなります。

たとえば、輸入された小麦の価格が上がると、その小麦を使ったパンやパスタの価格も上がるでしょう。
このように、さまざまな商品やサービスの値段が上がることで、インフレ(物価上昇)が高まります。

インフレが進むと、給料が上がらない限り、私たちの生活はより苦しくなります。

 

すると、家計の負担が増えるため、消費を控える人が増え、
日本経済全体の成長にブレーキがかかる可能性もあります。

『円安』により、大幅に業績を伸ばしている大企業は、大幅な賃上げをしなければいけません。


物価に賃上げが追い付かないと、『スタブレーション』を引き起こし、取り返しのつかないことになってしまいます。

 

賃上げは企業の業績に影響を及ぼしますが、長い目で見れば生活者の生活が向上し、企業に利益となって戻ってきます。
この認識が広がることが非常に重要ということになるのです。

 

 

貿易バランスへの影響

円安が進むと、輸出が増え、輸入が減るため、貿易黒字(輸出が輸入を上回る状態)が拡大することになります。

しかし、長期的には、輸入コストの増加が影響し、逆に貿易赤字(輸入が輸出を上回る状態)に転じるリスクもあります。

 

例えば、エネルギー価格の高騰が続くと、輸出で得た利益が輸入コストに飲み込まれてしまうかもしれません。

 

つまり、エネルギー価格がどんどん上がり続けると、日本が輸出で得た利益が、輸入するエネルギーの高いコストに吸い取られてしまうかもしれないということです。

 

たとえば、日本の企業が車を輸出して大きな利益を上げたとしても、そのお金の大部分が高騰した原油やガスの輸入に使われてしまい、結局あまり利益が残らない、という状況が考えられます。

 

国際競争力との関連

円安によって一時的に日本製品の国際競争力が高まるといっても、それだけでは国内産業の競争力が本質的に向上するわけではないということも考えられます。

 

本当の競争力は、技術革新や生産性の向上、品質の改善など、根本的な要因にかかっています。

たとえば、円安で一時的に売れ行きが良くなったとしても、その製品が競争力を保つためには、消費者が本当に価値を感じる品質や機能がなければ、円高に戻った時に厳しい状況に追い込まれる可能性があります。

『円安』などの為替に左右されない商品開発が重要であることには変わりはないということです。

 

円安のまとめ

円安は一部の産業にとっては有利に働きますが、その影響は複雑です。

大企業が多い輸出産業が活気づくことで『株高』などの好影響が発生する一方で、
輸入コストの増加やインフレが日本経済全体に影響を及ぼします。

このインフレは生活者の生活に直結する大問題です。

私達は、こうした状況を理解し、自己防衛を考えなければいけないということになります。

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