Z世代の消費行動を解説します。日本では世界の違いを考慮したマーケティング戦略が必要です。

Z世代〜市場におけるその影響力とは？〜

Z世代とは、デジタルと共に育った世代の通称です。
ネット上では、様々な説が記載されていますが、デジタルネイティブ世代として、1990年代後半から2010年初頭に生まれた世代と考えればいいでしょう（12歳くらいから20歳代後半まで）

この世代は、全世界で約20億人いると推定され、世界人口の１/４（約25％）を占めると言われています。

また、その購買力は世界全体で約15兆円に達すると言われており、今後の世界経済成長を担う重要な消費者層として注目されています。

しかし、日本におけるZ世代の割合は全人口の約15％未満と低いのが特徴です。
先進国で唯一『30年間のデフレ』しか経験していませんので、消費行動にも独自の特徴が見られます。

日本では、他の先進国と同様のマーケティング手法ではなく、個別の価値観やニーズに応じた戦略が求められることになります。

日本のZ世代は他国の同世代と異なり、「経済的不安」や「将来への懸念」を持っています。無駄遣いを避け、安定を求める消費行動が特徴と言えます。

こうした姿勢から、将来のためにお金を貯める意識が高く、贅沢や過剰な支出は避ける傾向があります。

企業が日本市場のZ世代にアプローチするには「節約」「安心」「価値のある選択」というメッセージが有効になってきます。

日本の多くの若者は、ブランド品や高級な商品よりも、コストパフォーマンスの良い商品やサービスを選択する傾向があります。

彼らは「お金は貯蓄に回し、必要な物にだけ支出を抑えたい」と考えがちで、ファッションや趣味に対しても「お得さ」や「将来のためになるか」を基準に選ぶ傾向があります。

以前、ある若者と話した時に『10円でも安いカラオケボックスがあれば歩いて10分掛かっても、そっちに行く』と聞いたことがります。

企業は、こうした消費スタイルに合わせたマーケティングを考えなければいけません。

若者の「価値を重視したコストパフォーマンス」や「将来に安心感を与える商品・サービス」を提供することが、彼らの共感を得られる最も良い方法と言えるでしょう。

SNSやWeb上の情報を尊重するZ世代は、多様な価値観を持っています。「多様性」と「自分の価値観への共感」を重視していると言えます。

特に気候変動や社会的な公正に対する関心が高く、「エシカルな思考」と「サステナブルな製品」選びを優先しています。

エシカルとは、『応援消費』や『思いやり消費』と言われ、自分の価値観（安い・お得など）だけで消費するることではなく、より広い思考になり、「地域や社会、環境などに優しいモノ」を購入する消費行動のことです。つまり、自分以外の人や社会、自然環境などを思いやる思考のことです。

しかし、実際の消費行動ではコストや利便性を重視する傾向もあるため、企業は「理想と現実の間で揺れ動くZ世代」に寄り添う必要があります。

Z世代の女性の傾向として、環境に配慮したファッションに興味がありつつも、予算を考慮してファストファッションを選ぶことが多いと聞いたことがあります。
この思考を持つＺ世代は多いでしょう。

「環境意識を持ちたいが、日常の現実も無視できない」といったギャップが、この女性達の消費行動に反映されています。

企業が「手頃な価格でエシカル」というメッセージを発信することは、Z世代の共感を引き出しやすい。と言えます。

上記のようにZ世代に対するアプローチは単純ではありません。企業は臨機応変に対応しなければいけません。
基本的なアプローチ方法は下記の3点が考えられます。

当たり前ですが、デジタルを中心とするのは基本です。Z世代は情報収集を『迅速』に行い、オンラインでの活動が非常に活発です。企業はデジタルチャネルを最大限に活用し、彼らが頻繁に使用するSNSやYouTubeでの広告、インフルエンサーとのコラボレーションなどを絶えず考えなければいけません。

Z世代の購買パターンは多様です。企業はデータを駆使してリアルタイムに彼らの消費行動を把握し、パーソナライズしたメッセージを提供することが必要になります。SNSや購買履歴などのデータを活用して、個別のニーズに応じた商品を提案することは必須となるでしょう。

Z世代は「即日配達」や「ワンクリック購入」といった『簡便で迅速なショッピング体験』を当たり前と思っています。企業は、シンプルでストレスのない購入プロセスを提供することで、彼らの購買意欲をさらに高めることが可能です。ここでストレスを与えてしまうとユーザー離れは避けられないということになります。

日本のZ世代は、将来に対する不安を背景に、堅実な選択を好む傾向があります。

企業が日本市場で彼らにリーチするには、未来に備えるための「安心感」や「コストパフォーマンスの良さ」を強調したメッセージが必要です。

たとえば、「将来のために無駄を省く」というテーマで、節約や投資に関する情報を提供したり、サステナブルかつ手頃な価格の商品を紹介することで、共感が得られるか可能性が高くなります。

複雑なZ世代の消費行動を的確に捉え、彼らのニーズに応じたアプローチを研究し続けることが、日本での企業の成長には欠かせないでしょう。