はじめに
前回は、天下り構造の中で現場の人間が壊れずに生き延びるための考え方を整理しました。
しかし、そこで必ず浮かぶ次の疑問があります。
この会社は「耐えながら働く価値がある環境」なのか? それとも「構造的に、いずれ行き詰まる会社」なのか?
この見極めを誤ると、
- 何年も消耗し続ける
- 市場価値が下がる
- 気づいた時には選択肢がなくなる
という事態になりかねません。
本稿では、広告代理店、とくにハウスエージェンシーに多く見られる構造を前提に、「辞めるべき会社のサイン」を整理します。
大前提:辞める=正解、残る=不正解ではない
最初に強調しておきたいのは、
- 辞めることが正解
- 残ることが失敗
という単純な話ではない、という点です。重要なのは、 自分の意思で選べる状態にあるかどうか。です。
以下のチェック項目は、 感情ではなく構造として危険かどうかを判断するための材料です。
チェック①:トップが「広告」を理解していない
最も分かりやすいサインです。
- 広告を「作業」だと思っている
- クリエイティブや提案を軽視する
- 現場の成果よりも、親会社向け報告を優先する
この状態が長く続く会社では、 広告の価値そのものが社内で下がっていきます。
トップが広告を理解しようとしない会社は、 広告会社である意味を失いつつあると言えます。
チェック②:意思決定が2年周期でリセットされる
- 方針がコロコロ変わる
- 中期計画が形だけ
- 新任役員の“色”で全てが決まる
これは、 天下り人事が常態化している組織に典型的な症状です。積み上げが評価されない環境では、 人は育たず、仕組みも育ちません。
チェック③:評価されるのは「会議力」だけ
- 会議資料作成が評価の中心
- 調整役ばかりが出世する
- 顧客と向き合う人材が報われない
こうした会社では、 売上や成果よりも社内政治スキルが優先されます。この評価軸が固定化している場合、 現場力は確実に劣化していきます。
チェック④:優秀な人から辞めていく
静かですが、非常に重要なサインです。
- 若手のエースが辞める
- 中堅が外資・事業会社へ流出する
- 残るのは「会社に適応した人」だけ
これは偶然ではなく、 構造が人を選別している結果です。
チェック⑤:「この会社で何が身につくか」説明できない
今の会社で、
- 3年後
- 5年後
自分は何ができるようになっているでしょうか。これを言語化できない場合、 その会社はあなたの成長に無関心である可能性が高いと言えます。
チェック⑥:疑問を口にすると「空気が悪くなる」
- 現場を理解していない“正論”が幅を利かせている
- 質問すると嫌な顔をされる
- 「分かってない奴」扱いされる
この状態は、 組織がすでに思考停止しているサインです。健全な会社ほど、 疑問や違和感を歓迎します。正論は一見正しいと思われがちですが、現場は正論通りに進みません。正論は進行をストップさせます。正論を振りかざす上司が幅を利かせている会社は非常に危険です。
3つ以上当てはまったら、要注意
上記のチェック項目に、
- 1つだけ該当 → 様子見
- 2つ該当 → 警戒
- 3つ以上該当 → 構造的に危険
と考えてよいでしょう。
この時点で重要なのは、 感情的に辞めることではなく、静かに準備を始めることです。
おわりに:辞める判断は「逃げ」ではない
構造的に成長が止まった会社に居続けることは、 忍耐ではなく消耗です。
一方で、 自分の意思で離れる判断は、 キャリアを守るための合理的な選択でもあります。
次回は、 これまでの内容を統合し、若手・中堅のための「見極め・脱出・生存戦略」を整理します。
残る、距離を取る、出る。
どれを選ぶにしても、 自分で選べる状態にいることが、 何より重要なのです。
次章へ
残るべきか、距離を取るべきか、出るべきか。
正解は一つではありません。大切なのは、自分で選べる状態にいることです。
最終章では、これまでの内容を整理し、若手・中堅が取りうる現実的な選択肢をまとめます。
▶ 天下り構造の中で、若手・中堅はどう見極め、どう生き残るか
👉天下り構造の中で、若手・中堅はどう見極め、どう生き残るかー広告代理店・ハウスエージェンシーの現実戦略

