【2025年版】レコード会社の復活は本物か?

広告業界トピック2025

音楽産業の構造変化と「広告ビジネス」としての新しい可能性

音楽業界は、本当に復活したのか?
そして、その変化は広告業界にどんなインパクトをもたらすのか?

広告業界で働く私たちが注目すべきなのは、「音楽がどう変わったか」ではなく「音楽を取り巻く消費行動がどう変わったか」です。

この5年、音楽は“モノ”から“体験”へ、“国内”から“グローバル”へと進化し、広告との接点も大きく変わっています。

■ 結論:レコード会社のV字回復は「販売の復活」ではなく「ビジネスモデルの再発明」

世界のレコード業界はすでに成長フェーズに入り、
日本は構造転換の遅れが課題。これが大きな流れです。

しかし広告視点で見れば重要なのは、音楽の接触行動が大きく変わり、広告との融合余地が極めて広がっているという点です。

■ 世界:ストリーミングが牽引し“9年連続成長”という異例の展開

IFPI(国際レコード産業連盟)2024年レポートより

  • 2023年の世界音楽売上:283億ドル(前年比+9%)

  • 9年連続の成長

  • 有料サブスクが全体の約50%前後を占める見込み

つまり世界のレコード会社はもはや“復活”どころではなく、サブスク産業として安定成長のステージに入ったと言えます。

■ 日本:増収でも「構造転換の遅れ」がボトルネック

RIAJのデータでは

  • 2023年 音楽ソフト+配信市場:前年比104%

  • 依然CD比率が高く、韓国・欧米に比べてストリーミング比率が低い

要因は以下の3点です。

  1. ファンコミュニティ経済(握手会・特典)がCD需要を支える

  2. K-POPほどの“グローバル展開前提”の設計が弱い

  3. 国内マーケット偏重のマネタイズ設計

広告業界的に言うと、「日本の音楽はまだ“国内プロモーション中心のメディア接触”」に縛られています。

■ 過去:レコード会社は“広告の王者”だった

90年代〜2000年代初期までは、CDリリースは広告の一大イベントでした。CDが大きく売れるとビルが建つと言われた時代です。

  • 街中の大型ビジョン

  • 駅貼りポスター

  • テレビCM

  • 雑誌タイアップ

どれも音楽プロモーションが席巻していた時代。いわばレコード会社は広告主のエース顧客だったのです。

しかし、CD崩壊とともに広告投下の在り方も変化しました。

■ デジタル時代:音楽ビジネスは“360度モデル”へシフト

ストリーミング単価はCDに比べ圧倒的に低く、収益構造は完全に組み直されました。

その結果生まれたのが360度ビジネスモデルです。

✔ ストリーミング(サブスク)

✔ ライブ(高単価)

✔ グッズ(利益率高い)

✔ ファンクラブ(LTVが高い)

✔ SNS/動画(広告収益)

✔ 企業タイアップ(ブランドコラボ)

広告営業として見逃せないのは、アーティスト=メディア化したという点。

CD時代は“売り切り”だったものが、SNS時代では継続的な接触=広告価値に変わったのです。

■ “音楽体験の価値化”は広告業界にとって巨大チャンス

音楽の価値は「曲」から「体験」へ。

● VRライブ

世界中のファンが自宅からライブ参加 → 新しい広告枠になる

● ARアルバム

ジャケットにスマホをかざすと3D演出 → OOHとの連動も可能

● AIレコメンデーション

音楽×アルゴリズム推薦 → 動画広告/音声広告の最適化に波及

広告主にとっては
“音楽体験にブランドを溶け込ませる”時代と言い換えられます。

■ K-POPは「広告戦略の成功例」でもある

K-POPの強さは、音楽マーケティング=ブランド戦略として設計されている点です。

  • SNSを使った世界規模のティザー

  • ストリーミング戦略

  • YouTube MVの国際拡散

  • グッズの世界販売

  • 各国のOOH×SNS連動

  • 多言語展開

特にOOHは、新宿・渋谷・ニューヨーク・ロンドンで同時出しなどの“多拠点・同時・SNSシェア前提”が基本。

広告プロモーションの設計そのものがグローバル規格です。

■ 広告業界が押さえるべき「レコード会社復活の本質」

① 音楽は“体験消費”になり、広告と接続しやすい

→ DOOH、AR、音声広告との連動が増える

② アーティストは“メディア化”している

→ 企業はアーティストを“媒体”として見る時代に

③ グローバル展開できるアーティストは広告価値が跳ね上がる

→ 日本企業も海外市場を前提にしたタイアップが増加

④ 日本はCD特需に依存しすぎている

→ 広告業界としては「海外向けプロモーション支援」が伸びしろ

■ 結論:レコード会社のV字回復は本物か?

答えは「世界はYES、日本は“これから次第”」。

日本のレコード会社が真の復活を遂げるには、『グローバル×デジタル×体験価値』への転換が不可欠です。

広告業界としては、この変化はむしろ巨大なチャンス。

  • OOH

  • SNS広告

  • ブランドタイアップ

  • コンテンツマーケティング

  • インフルエンサー連動

  • 海外向け広告

音楽と広告の距離は、過去20年で最も近づいています。

広告業界にいる私たちは、音楽産業の変化=広告提案のネタの宝庫と捉えるべきでしょう。