新聞社はもはや不動産会社?全国紙5社「ビル資産・含み益」格差ランキング【2026年最新版】

広告業界・メディア分析

「新聞の発行部数が半減した」「広告収入が激減している」・・・ 10年以上も右肩下がりを続け、売上が減り続ける。普通の企業であれば、とっくに市場からの退場を迫られ、倒産が現実のものとなっていてもおかしくない状況です。

しかし、新聞社は潰れません。本業の苦境を不動産収入や資産の流動化によって補填し、決算上の数字を整えることで、致命的な破綻を巧みに回避し続けているからです。

なぜ彼らは10年越しの危機を耐え忍び、事業を継続できるのか。そのカラクリは、彼らが都心の超一等地に保有する「ビル資産」と、そこから生み出される「決算の調整力」にあります。

今回は、2026年現在の公開データと時価推移を調べ、そして、全国紙5社を支える不動産の実力を分析し、ランキング形式で解説してみます。

1. 【王者】読売新聞社― 大手町・銀座を押さえる「不動産耐久力」

不動産という観点で見たとき、読売新聞社は他社を寄せ付けない存在と言えるでしょう。

主な不動産拠点

  • 読売新聞ビル(東京・大手町)
  • 銀座エリアの関連資産(旧プランタン銀座跡地周辺)
  • よみうりランドを含む関連不動産

評価ポイント

東京の政治・金融・報道の中心である大手町に本社を構え、さらに銀座という日本屈指の商業地にも資産を持つ構成は、立地そのものがバランスシートの防波堤になっていると言えます。

分析

賃貸等不動産の詳細な時価は非開示ながら、近隣取引事例・関連会社の開示水準から見ても、含み益が極めて大きい可能性が高い構造であることは否定できません。新聞部数増減以上に、「資産を売らずに済む余力」が、読売新聞最大の“強み”と言えるでしょう。

2. 【最強のライバル】朝日新聞社

読売に次ぐ不動産実力を持つのが朝日新聞社です。

主な不動産拠点

  • 中之島フェスティバルタワー(大阪)
  • 朝日新聞東京本社(築地)

評価ポイント

大阪・中之島の再開発エリアに位置するフェスティバルタワーは、西日本でも屈指の収益物件であり、朝日の不動産事業は、実際に営業利益を生む存在として機能しています。

分析

朝日は早い段階から「新聞単体ではなく、不動産を含めた経営」へ舵を切っていると思われます。
新聞事業が赤字でも、不動産収益がそれを相殺する構造ができています。

築地市場跡地の再開発は朝日の資産ではありませんが、周辺環境の高度化が、築地本社の立地価値を底上げする可能性はあり、立地面での追い風も続いています。

3. 【戦略家】日本経済新聞社

日本経済新聞社は、他社とは少し異なる立ち位置にあります。それは、大手町+情報資産という二層構造です。

主な不動産拠点

  • 日経ビル(東京・大手町)

評価ポイント

大手町の一等地に本社を構える点は他社と同様ですが、日経の強みは不動産に依存しすぎていないと推測できるところです。

分析

日経平均株価をはじめとする指数ライセンス、データの提供、海外メディアへの投資など、日本経済新聞は、「非・新聞収益」の比率が極めて高いと言えます。

不動産はあくまで安定した1つの土台であり、資産を切り売りしなくても回る構造が、日経の最大の財務的強さと言えます。

4. 【複合企業型】産経新聞社

産経新聞は単体で語るより、フジ・メディア・ホールディングス(FMH)傘下として見た方が正確です。グループ全体が言論を支えている構造です。

主な不動産拠点(グループ)

  • 東京サンケイビル(大手町)
  • ブリーゼタワー(大阪)ほか

評価ポイント

FMH傘下には専門デベロッパーであるサンケイビルが存在し、不動産をグループ戦略として収益化 しています。

分析

産経新聞単体の業績以上に、グループ全体の不動産収益が「言論ブランド」を支えている構造です。新聞社単独ではなく、資本グループで守られている新聞社という位置づけと考えるといいでしょう。

5. 【最も厳しい局面】毎日新聞社

かつて不動産資産で他社を凌駕していた毎日新聞社は、現在、最も厳しい局面に立たされています。他紙と違って、資産を守れず、流動化に追われているフェーズだと言えます。

主な不動産拠点

パレスサイドビル(東京・竹橋)

大阪資産の処理

2021年、毎日新聞社は大阪本社ビルなどを信託銀行に移管し、約200億円規模の資金を確保しました。これは成長投資ではなく、資金繰りを優先した防御的な判断だったのです。

東京・最後の選択肢

現在残る最大資産がパレスサイドビルです。再開発については、事業規模が1,500〜2,000億円級になる可能性が報じられていますが、これは含み益の実現というより、過去の赤字構造を整理するための資金確保に近い性格を持ちます。

分析

毎日は「不動産を再投資のエンジンにする段階」ではなく、「不動産を流動化して時間を稼ぐ段階」 に入っています。

結論:2026年、新聞社の寿命を決めるもの

本記事で見てきた通り、現在の新聞社の持続性を左右しているのは、もはや部数でも編集力でもありません。 決定的なのは、「どこに土地を持っているか?」、そして「それを売らずに済んでいるか?」そして、「多角化が進んでいるか?」が、大切なポイントとなります。

全国紙5社の生存モデルは、いまや以下の3つに明確に分断されています。

  • 【安定モデル】読売新聞・朝日新聞:圧倒的な都心一等地の資産と含み益が本業の赤字を完全にカバーし、むしろ再投資の余力すら生む「大家」としての生存戦略。
  • 【多角化モデル】日本経済新聞・産経新聞:日経は指数ライセンス等の「情報資産」、産経はフジサンケイグループの「巨大資本・不動産デベロッパー機能」という、新聞単体に依存しないグループ全体の総合力で戦う戦略。
  • 【消耗モデル】毎日新聞:本業の減収が決算を突き破る前に、大阪・東京と続いた虎の子の資産を流動化し、その場を凌ぐ「延命」のフェーズ。

今後、広告主や広告代理店が新聞社の企業価値を評価する基準は、従来の「公称部数」から「資産の健全性」へと移行したほうが良いかもしれません。「新聞社の言論は、不動産によっていつまで守られるのか?」という状況です。詳しい状況は今後の決算情報を見ることで理解できます。注意深く見ていきましょう。

 

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