アイドル誌休刊が相次ぐ理由とは?“紙の雑誌”はどこへ向かうのか

マスメディア研究・分析

相次ぐ休刊が示す時代の変化

2025年、老舗アイドル誌が次々と休刊を発表しました。

『WiNK UP』『POTATO』『Duet』――ファンにとってはおなじみのタイトルが姿を消し、現在、紙のアイドル誌として残っているのは『Myojo』のみという状況です。
※『Duet』は2025年12月で休刊予定

なぜ、アイドル誌はこれほど急速に姿を消しているのでしょうか。この現象は、単なる一ジャンルの衰退ではありません。「紙の雑誌」というメディアそのものが、役割の再定義を迫られている転換点だといえます。

新聞に続き、雑誌もまた「紙である意味」を問い直されているのです。

アイドル誌が休刊する理由①:高コスト構造という現実

まず大きいのが、制作コストの問題です。

  • スタイリスト、カメラマン、ライターなど人件費が高い

  • 少数ページでも撮影・制作コストは下がらない

  • 紙代・印刷代の高騰で採算が合わない

結果として、「出せば出すほど赤字」という構造が生まれています。

かつては発行部数と広告収入が安定し、複数誌を同時に展開しても成立した“雑誌の黄金期”がありました。しかし、その前提条件はすでに崩れ去りました。

アイドル誌が休刊する理由②:デジタル流出と購買行動の変化

もう一つの大きな要因が、デジタル環境の変化です。

  • 発売直後にSNSへスキャン画像が拡散

  • 紙を買わなくても「無料で見られる」環境

  • 若年層にとって「紙を買う」行為そのものが非日常化

現在の“推し活”の中心は、雑誌 → ライブ・グッズ・ファンクラブへと明確にシフトしています。

推し活という比較的大きな金額が動く世界においても、紙の雑誌は優先順位を下げられている――それが現実です。

推し活と紙の雑誌の関係はどう変わったのか

かつては、「推しの写真を紙で保存する=応援の証」という価値観がありました。

しかし現在では、

  • データ保存が当たり前

  • SNSでの共有・発信が主流

  • 紙に残すのは一部コレクターのみ

つまり、「紙が必須」から「紙はオプション」へ。役割が明確に変わったのです。

新聞と雑誌に共通する課題と決定的な違い

ここで、新聞との比較も見ておきましょう。

共通点

  • 固定費が高い

  • 購読者数の減少

  • デジタルメディアの台頭

相違点

  • 新聞:日常的接触(速報・ニュース)

  • 雑誌:非日常的接触(特集・保存・世界観)

この違いから分かるのは、雑誌は新聞以上に「保存価値」「世界観」で勝負しなければ生き残れないという点です。

紙の雑誌が生き残る条件とは?

今後、雑誌が生き残るために必要なのは以下の要素でしょう。

  • 紙ならではの価値

    • 高品質なビジュアル

    • 触れる・所有する喜び

  • 付加価値

    • カード、小冊子、限定特典

  • ブランド拡張

    • ファンクラブやイベントとの連動

    • デジタル配信と組み合わせた体験設計

紙単体で売る時代は終わり、体験の一部として組み込む発想が不可欠になっています。

まとめ:アイドル誌休刊は「紙の再定義」のサイン

相次ぐアイドル誌休刊は、「紙の雑誌はもう終わりだ」という宣告ではありません。

それはむしろ、紙をどう生かすのかを再定義せよ、という強いメッセージかもしれません。

  • 紙×デジタルの接触設計

  • 保存性・体験価値の再構築

これからの紙メディアは、単なる情報媒体ではなく、ファンとブランドをつなぐ“装置”として機能できるかどうかが問われます。

休刊ラッシュは、その転換点を示しています。

ここをどう乗り越えるかが、雑誌業界の未来を左右することになるでしょう。