音声メディア、広告の“未開拓地”とその可能性

マーケティング戦略・理論

「Voicyって広告出せるの?」「ポッドキャストって流行ってるの?」「どこで聴かれてるの?」

そんな疑問を抱く広告代理店・メディア関係者の方に向けて、この記事では音声メディアの全体像と広告媒体としての活用ポイント「今さら聞けない」を前提に、丁寧かつわかりやすく解説します。

音声メディアに関する情報はまだ一般化しておらず、特に広告分野では情報が多くありません。この記事がそのギャップを埋める一助となれば幸いです。

映像・SNS広告が飽和する中で、音声メディアは今まさに“ブルーオーシャン”のステージになる可能性を秘めています。

特に耳を通じてパーソナルに届く「ながら接触」は、接触時間が長く、スキップされにくいという他メディアにはない価値を持っています。

スポンサー付きのVoicy、Spotify音声広告、自己啓発ジャンルのAudible活用……

広告代理店が今こそ押さえておきたい「音声メディアの本質」を、この1本で把握しましょう。

第1章|そもそも音声メディアって何?

音声メディアとは、ラジオだけでなく、以下のような多様な「聴くコンテンツ」を含む媒体群を指します。

  • インターネットラジオ(例:radiko、NHKらじる★らじる)
  • ポッドキャスト(例:Spotify, Apple Podcasts)
  • オーディオブック(例:Audible, audiobook.jp)
  • 音声SNS/配信プラットフォーム(例:Voicy, stand.fm, Clubhouse)

共通するのは「ながら聴き」できる特性と、「耳の可処分時間」を活用できる点です。

特に通勤・運転・家事など“移動時間”や“空き時間”の活用は、これまで広告が入り込めなかった領域への接触を可能にし、広告媒体としてのポテンシャルを大きく押し上げています。

 

インターネット広告の配信面の質が問われる時代において、音声メディアは新たな信頼接点として注目しなければいけません!

第2章|なぜ今、音声メディアを注目すべきなのか?

✔ スクリーンの奪い合いから脱却

視覚メディアはスマホ画面を奪い合っていますが、音声は”耳”という空白領域を活用できる。

✔ ながら時間の活用

通勤・運転・家事・運動など、他メディアが入り込めない“ながら”タイミングでの接触が可能。

✔ ストレスフリーな接触体験

目を酷使しない/スキップされにくい/落ち着いた環境での接触=好感度が高い。

第3章|広告媒体としての音声メディアとは!

🔸広告主にとっての注目点とは!

  • 信頼関係の中に広告を挿入できる(ホストが読み上げる文脈広告)
  • 広告ブロック不可能(視覚広告と違いスキップされにくい)
  • 炎上リスクが低い(ブランドセーフな環境)

 

🔸代表的な音声広告フォーマット

  • Spotify音声広告(無料プランユーザー向け)
    Spotifyでは、音楽を無料で楽しんでいるユーザーに対して、番組や楽曲の合間に短い音声広告が流れます。テレビCMのように突然入ってくる形式ですが、イヤホンなどで聴いている人が多いため、リーチの質が高くなる傾向があります。

 

  • Voicyタイアップ広告(配信者による自然な紹介)
    Voicyでは、信頼されている配信者が自身の言葉でサービスや商品を紹介します。ラジオ番組のパーソナリティのように、ナチュラルに語られることで広告臭が少なく、リスナーの好意的な反応を得やすいのが特徴です。
  • Audibleの番組提供(プレロール/インフィード型)
    Audibleでは、オーディオブックの冒頭や途中にスポンサーの音声広告が挿入されることがあります。静かな語り口調の中に広告が自然に溶け込むことで、高い没入感を損なわずに広告効果が得られる仕組みです。

第4章|音声広告の実績と市場データ

  • 日本の音声広告市場は2020年16億円 → 2025年420億円(26倍成長)【デジタルインファクト調べ】
  • Voicy:平均聴取完了率80%超
  • Spotify:Z世代のリスナーが前年比76%増
  • Audible:若年層のビジネス書需要が急増

第5章|広告代理店が押さえるべき活用ポイント

  • 「耳の広告枠」をメディアプランに組み込む視点
    音声メディアを単独の施策ではなく、統合的なメディアプランの中に“耳の接触面”として位置づける視点が必要です。
  • 短期訴求ではなく、文脈型・習慣型コミュニケーション設計
    音声は単発的なキャンペーンには適しているとは言えません。継続的に聴かれることで信頼と関係性を築く「番組型広告」「語りかけ型のブランドコミュニケーション」の視点が重要です。

第6章|音声メディアの将来性

  • スマートスピーカー普及と家庭内音声広告
    スマートスピーカーの普及により、リビングやキッチンといった家庭内で音声コンテンツを“BGM感覚”で流す習慣が広がりつつあります。こうした生活動線上での接触ポイントは、広告メッセージを自然に届ける新たな機会を生み出します。
  • AI音声合成でブランドボイスの量産が可能に
    AIを使えば、企業のナレーションや商品紹介を「人の声のように」量産できます。同じ声でシリーズ展開することで、ブランドの統一感や親しみを高める効果も期待されます。
  • Podcast×動画(YouTube統合)によるクロスメディア展開
    近年、ポッドキャストとYouTubeが融合し、映像付きの音声コンテンツが増加中です。動画広告との組み合わせにより、ブランド接触の幅が大きく広がっています。
  • 音声SNS再評価(X Spacesやクローズド音声ルーム)
    2021年に話題となったClubhouseは一時期沈静化しましたが、音声を使ったリアルタイムSNSの可能性は否定できません。X(旧Twitter)のSpacesや、限られたユーザーだけが参加できるクローズド型音声SNSは、ブランドの“共感形成”に活用できる場として注目です。

おわりに:耳から始まるブランド体験へ

広告の戦場は、画面から「耳」へと広がっています。音声メディアは、“ながら”で聴かれ、“習慣”として定着し、“信頼”の文脈で語られる稀有な存在です。

広告主にとっては、単なる新メディアではなく、「リスナーの耳元にブランドの想いを届けるチャンス」です。

広告代理店は、この領域を理解し、提案できるかどうかが、差別化のカギとなるかもしれません。