💡 30秒でわかる!この記事のポイント
- 毎日新聞の決断: 1年で20%減という「異常値」は、読者離れではなく「戦略的撤退」のサインか?
- 不都合な真実: 物流コストの高騰が「押し紙」の損益分岐点を破壊か?かつての資産は経営を蝕む負債へ変貌。
- 2026年の新常識: 新聞はもはや「全国どこでも届くもの」から、届く場所が限られる「限定メディア」へ。
※本記事の部数データは、2026年2月時点で公表・確認可能なABC月別レポート情報および業界関係者向け速報ベースの数値をもとに構成しています。正式な確報値とは差異が生じる可能性があります。
1. 2026年2月:最新発行部数データ(ABC協会速報)
最新の数字を見ると、2026年に入り、これまでのような「じわじわとした減少」とは明らかにフェーズが変わったことがわかります。
| 新聞社 | 2026年2月部数 | 前年比(減少率) | 減少部数 |
|---|---|---|---|
| 読売新聞 | 約525.0万部 | ▲8.5% | -44.5万部 |
| 朝日新聞 | 約315.0万部 | ▲4.9% | -15.3万部 |
| 毎日新聞 | 約112.0万部 | ▲19.7% | -22.2万部 |
| 日経新聞 | 約120.0万部 | ▲6.0%(推計) | – |
| 産経新聞 | 約75.0万部 | ▲6.0%(推計) | – |
注目すべきは「減少の質」です。 毎日新聞の20%近い減少。これは「読者が飽きた」といったレベルではありません。新聞社が自ら「この地域にはもう配らない」と決めた、エリア撤退のサインです。
2. 「全国紙」の看板を返上する日:なぜ毎日は「20%」も切ったのか?
毎日新聞の激減の背景を考えると、1つの答えが見えてきます。
それは、新聞業界が長年抱えてきた「押し紙」のロジックが、物流コストの暴騰によって根底から崩壊したという現実です。
物流コストが「押し紙」を殺す
かつて「押し紙」は、新聞社にとって広告単価を維持するための「必要悪という名の資産」でした。多少の配送費を払ってでも「公称部数」を維持すれば、それ以上の広告収入が得られたからです。しかし、2026年現在、この損益分岐点は完全に崩れています。
- 「負債」となった印刷・廃棄コスト: 押し紙は家庭へは配られないため配達コストはかかりませんが、印刷するための紙代やインク代、そして廃棄するための費用は発生します。資源価格の暴騰により、配られもしない紙を刷り、捨て続けるだけのコストが、広告収入によるメリットを完全に上回る「逆転現象」が起きています。
- 物理的な限界: 広告主が「実リーチ(実際に読者に届いた数)」を重視し、部数の水増しが通用しなくなる中、多額の印刷・廃棄費用をかけてまで押し紙を維持する合理性が完全に消失しました。この「製造コストの重圧」こそが、実態とかけ離れた押し紙率を実売へと強引に引き合わせる「膿出し」の引き金となったのです。
配送インフラの「維持限界」への直面
今回の「押し紙整理」+「自然解約」の結果、毎日新聞社はさらなる困難に直面します。
- 配送密度の低下:押し紙を整理しても、配達員が走るルート上の「本物の読者」の数に影響はありません。むしろ自然解約によってエリア内の読者密度は下がり続けています。
- 戦略的撤退への秒読み:1部を届けるための物理的なコストを、押し紙という「数」で薄めることができなくなった今、毎日新聞は「このエリアは採算が合わないため、戸別配達そのものを終了する」という、物理的な地域撤退への最終判断を迫られるようになるのです。
3. 最強の部数・読売すら直面する「物流の壁」
業界の絶対王者である読売新聞が、前年比▲8.5%(44.5万部減)を記録したことは、大きな数字です。
【読売消失のスケール感】:1年で失われた44.5万部という数字は、「中堅どころの地方紙(例:京都新聞や西日本新聞など)が、1年で1紙まるごと地上から消えた」のと同等のインパクトです。
最強の販売店網を誇る読売ですら、配送網の「密度」を維持できなくなれば、1部あたりの配達単価は跳ね上がります。この減少は、日本の新聞文化を支えてきた「戸別配達インフラ」そのものが、物理的な寿命を迎えていることを象徴しています。
4. 2026年の「実売部数」:公称部数との乖離は限界へ
最新データに基づいた「実売推計」を算出しました。印刷コストの限界により、今後「公称」は「実売」へと強制的に集約されていくでしょう。
【実売部数の算出公式】
R = P× (1 – O)(R: 実売部数, P: 公表部数, O: 押し紙率)
【計算シミュレーション:毎日新聞の場合】 本サイトの過去記事では50%に設定していましたが、押し紙の膿出しが進んでいる現状を考慮し、今回はあえて低めの 40% に設定して算出します。
👉112万 × (1 – 0.4) =約67.2万部
| 新聞社 | 2026年2月公称 | 推定押し紙率 | 実質リーチ(推定実売) |
|---|---|---|---|
| 読売新聞 | 525.0万部 | 30% | 約367.5万部 |
| 朝日新聞 | 315.0万部 | 30% | 約220.5万部 |
| 日経新聞 | 約120.0万部 | 30% | 約84.0万部 |
| 毎日新聞 | 112.0万部 | 40% | 約67.2万部 |
| 産経新聞 | 約75.0万部 | 30% | 約52.5万部 |
※日経新聞・産経新聞の数値は、直近トレンドからの編集部推計。 ※毎日新聞は比率をあえて低めに設定しても、実売は70万部を割り込んでいます。
まとめ:2026年、新聞は「場所を選ぶメディア」になった
2月の速報値が示したのは、単なる読者離れではなく、「虚飾(押し紙)の維持が不可能になりつつある新聞社の実像」です。
毎日新聞の▲20%という数値は、印刷・廃棄コストの重圧に耐えかねた「押し紙」の崩壊を意味しているかもしれません。全国どこでも安価に紙が届くという、日本独自の「新聞文化」は、過渡期を過ぎ終わりに向かっているのかもしれません。
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