広告代理店の組織構成と役割|大手と中小の違い・最新トレンドまで解説

広告代理店の仕組み・仕事内容

広告代理店の組織は、多岐にわたる業務を担うため、複数の専門部門で構成されています。
本記事では、大手広告代理店の組織構成と部門の役割、さらに中小代理店との違いや近年のトレンドを詳しく解説します。

広告代理店の基本的な組織構成

広告代理店は、クライアントのマーケティング課題を解決するために、営業・メディア・クリエイティブ・プロモーション・マーケティング分析など多岐にわたる機能を備えています。

特に大手代理店は、フルライン体制と呼ばれる包括的な組織を持ち、クライアント企業のブランド戦略から広告出稿、イベント運営まで一気通貫で支援しています。

大手広告代理店の主な部門と役割

大手広告代理店の組織は、大きく下記の6部門で構成されています。

1.アカウント(営業)部門

  • クライアントとの窓口となり、案件獲得・売上管理を担当

  • 社内のメディア・クリエイティブ・プロモーション部門を束ね、プロジェクト全体を進行管理

2.メディア部門

  • テレビ・新聞・雑誌・デジタルなど、広告枠の仕入れや媒体社との交渉を担当

  • 営業と連携し、最適なメディアプランを設計・提案

3.クリエイティブ部門

  • コピーライターやアートディレクターが在籍し、広告の企画・制作を担当

  • テレビCM・新聞広告・デジタルバナーなど、広告表現の中核

4.マーケティング部門

  • 市場調査やデータ分析を行い、広告戦略の立案を支援

  • ブランド戦略・ターゲット分析・効果測定などの専門領域

5.プロモーション部門

  • イベントやキャンペーン、店頭販促などの企画・実施を担当

  • 近年はオンラインとリアルを連動させたO2O施策が増加

6.コーポレート部門

  • 総務・経理・人事・広報など、企業運営を支える基幹部門

上記6部門は、クライアントの広告活動を具体的に実行するための実働部門です。
しかし、大手代理店にはこれとは別に、全社戦略を司る直轄部門も存在します。

経営企画・直轄部門の重要性

大手広告代理店では、経営戦略の中枢を担う「経営企画室」や、グローバル展開を統括する「海外統括部」などが設置されています。

現場部門がクライアント案件のために動くのに対し、経営企画や海外統括などの直轄部門は、会社全体を俯瞰しながら未来の方向性を決める役割を担います。

経営企画・直轄部門の役割は「会社全体を動かす」こと!

経営企画室

全社の方向性や事業ポートフォリオの策定

リソース配分、グループ戦略の立案

M&A・新規事業開発の推進

海外統括部

グローバル市場の成長戦略の策定

海外法人・提携パートナーとの調整

多国籍クライアント対応の統括

つまり、現場部門=クライアントに近い“実働”、直轄部門=経営に近い“戦略”という役割の違いがあります。

中小規模の代理店では、こうした直轄部門は専任ではなく、役員直下の少人数チームが幅広い業務を柔軟に担当するケースが一般的です。

日本と海外で異なる「アカウント局」の仕組み

広告代理店における「アカウント部門」は、一般企業の営業部に相当します。

  • 海外代理店では「1業種1社制」が基本

    • 例:GMを担当していれば、同業のフォードの案件は受けない

  • 日本の代理店では「1業種複数社制」が一般的

    • 例:同じ代理店内でトヨタ・日産・ホンダなど複数の自動車メーカーと契約

この背景には、日本の広告業界がメディア主導で発展し、広告枠を広く流通させる必要があった歴史があります。
しかし近年、グローバルクライアントの取引増加に伴い、日本でも1業種1社制が徐々に浸透する可能性があります。

進化するデジタル・インタラクティブ部門

インターネット広告の急成長により、多くの広告代理店がインタラクティブメディア部門を新設・拡大しています。

  • Web広告運用、SNSマーケティング、アドテクノロジー領域など、専門知識が不可欠

  • 大手代理店は関連会社や社内カンパニー制で独立運営するケースも増加

中小代理店では、限られたリソースの中でどの領域に集中投資するかが競争力の鍵になります。

中小広告代理店における「選択と集中」の重要性

大手代理店がフルラインの組織体制を構築する一方、中小代理店では選択と集中が欠かせません。

  • デジタル広告特化型

  • プロモーション専業型

  • メディアに強い代理店
    など、自社の強みを明確化し、専門性を磨く戦略が求められます。

限られた人材・資源の中で、どの部門に注力するかが経営の成否を分ける要因です。

まとめ:広告代理店組織はこう変わる

広告代理店の組織は、社会・市場環境・テクノロジーの変化に応じて進化を続けています。

今後は、

  • デジタル広告領域の比重がさらに高まり、組織体制そのものが再構築される

  • 中小代理店は「強みの明確化」と「選択と集中」が生き残り戦略の鍵になる

広告代理店の組織構造は一見複雑に見えますが、それぞれの部門が明確な役割を担い、全体としてクライアントの課題解決に貢献する仕組みになっています。

広告代理店の組織構成は、アカウント・メディア・クリエイティブなど6つの主要部門を中心に成り立っています。
ですが、AIの導入や企業のインハウスマーケティング化により、これらの組織は再編が進むと予想されています。

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続編:▶AI時代、広告代理店の組織はこう変わる|インハウス化と自社完結型の台頭がもたらす未来