音楽産業の構造変化と「広告ビジネス」としての新しい可能性
音楽業界は、本当に復活したのか?
そして、その変化は広告業界にどんなインパクトをもたらすのか?
広告業界で働く私たちが注目すべきなのは、「音楽がどう変わったか」ではなく「音楽を取り巻く消費行動がどう変わったか」です。
この5年、音楽は“モノ”から“体験”へ、“国内”から“グローバル”へと進化し、広告との接点も大きく変わっています。
■ 結論:レコード会社のV字回復は「販売の復活」ではなく「ビジネスモデルの再発明」
世界のレコード業界はすでに成長フェーズに入り、
日本は構造転換の遅れが課題。これが大きな流れです。
しかし広告視点で見れば重要なのは、音楽の接触行動が大きく変わり、広告との融合余地が極めて広がっているという点です。
■ 世界:ストリーミングが牽引し“9年連続成長”という異例の展開
IFPI(国際レコード産業連盟)2024年レポートより
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2023年の世界音楽売上:283億ドル(前年比+9%)
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9年連続の成長
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有料サブスクが全体の約50%前後を占める見込み
つまり世界のレコード会社はもはや“復活”どころではなく、サブスク産業として安定成長のステージに入ったと言えます。
■ 日本:増収でも「構造転換の遅れ」がボトルネック
RIAJのデータでは
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2023年 音楽ソフト+配信市場:前年比104%
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依然CD比率が高く、韓国・欧米に比べてストリーミング比率が低い
要因は以下の3点です。
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ファンコミュニティ経済(握手会・特典)がCD需要を支える
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K-POPほどの“グローバル展開前提”の設計が弱い
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国内マーケット偏重のマネタイズ設計
広告業界的に言うと、「日本の音楽はまだ“国内プロモーション中心のメディア接触”」に縛られています。
■ 過去:レコード会社は“広告の王者”だった
90年代〜2000年代初期までは、CDリリースは広告の一大イベントでした。CDが大きく売れるとビルが建つと言われた時代です。
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街中の大型ビジョン
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駅貼りポスター
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テレビCM
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雑誌タイアップ
どれも音楽プロモーションが席巻していた時代。いわばレコード会社は広告主のエース顧客だったのです。
しかし、CD崩壊とともに広告投下の在り方も変化しました。
■ デジタル時代:音楽ビジネスは“360度モデル”へシフト
ストリーミング単価はCDに比べ圧倒的に低く、収益構造は完全に組み直されました。
その結果生まれたのが360度ビジネスモデルです。
✔ ストリーミング(サブスク)
✔ ライブ(高単価)
✔ グッズ(利益率高い)
✔ ファンクラブ(LTVが高い)
✔ SNS/動画(広告収益)
✔ 企業タイアップ(ブランドコラボ)
広告営業として見逃せないのは、アーティスト=メディア化したという点。
CD時代は“売り切り”だったものが、SNS時代では継続的な接触=広告価値に変わったのです。
■ “音楽体験の価値化”は広告業界にとって巨大チャンス
音楽の価値は「曲」から「体験」へ。
● VRライブ
世界中のファンが自宅からライブ参加 → 新しい広告枠になる
● ARアルバム
ジャケットにスマホをかざすと3D演出 → OOHとの連動も可能
● AIレコメンデーション
音楽×アルゴリズム推薦 → 動画広告/音声広告の最適化に波及
広告主にとっては
“音楽体験にブランドを溶け込ませる”時代と言い換えられます。
■ K-POPは「広告戦略の成功例」でもある
K-POPの強さは、音楽マーケティング=ブランド戦略として設計されている点です。
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SNSを使った世界規模のティザー
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ストリーミング戦略
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YouTube MVの国際拡散
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グッズの世界販売
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各国のOOH×SNS連動
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多言語展開
特にOOHは、新宿・渋谷・ニューヨーク・ロンドンで同時出しなどの“多拠点・同時・SNSシェア前提”が基本。
広告プロモーションの設計そのものがグローバル規格です。
■ 広告業界が押さえるべき「レコード会社復活の本質」
① 音楽は“体験消費”になり、広告と接続しやすい
→ DOOH、AR、音声広告との連動が増える
② アーティストは“メディア化”している
→ 企業はアーティストを“媒体”として見る時代に
③ グローバル展開できるアーティストは広告価値が跳ね上がる
→ 日本企業も海外市場を前提にしたタイアップが増加
④ 日本はCD特需に依存しすぎている
→ 広告業界としては「海外向けプロモーション支援」が伸びしろ
■ 結論:レコード会社のV字回復は本物か?
答えは「世界はYES、日本は“これから次第”」。
日本のレコード会社が真の復活を遂げるには、『グローバル×デジタル×体験価値』への転換が不可欠です。
広告業界としては、この変化はむしろ巨大なチャンス。
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OOH
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SNS広告
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ブランドタイアップ
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コンテンツマーケティング
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インフルエンサー連動
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海外向け広告
音楽と広告の距離は、過去20年で最も近づいています。
広告業界にいる私たちは、音楽産業の変化=広告提案のネタの宝庫と捉えるべきでしょう。

