はじめに|同じ業界なのに、なぜ差がつくのか
広告業界では倒産や休廃業が相次ぐ一方で、規模の大小に関わらず、安定して成長を続けている広告代理店も確かに存在します。
彼らは、特別な才能や幸運に恵まれているわけではありません。むしろ共通しているのは、業界の構造変化を前提に、自分たちの立ち位置を早めに選び直しているという点です。
本記事では、前回の「倒産する広告代理店の共通点」と対比しながら、2026年時点で生き残っている広告代理店に共通する考え方と行動を整理します。
条件① 「何の会社か」が一言で説明できる
生き残っている広告代理店の多くは、自社を説明する際に迷いがありません。
- 何でもできます、ではなく
- 「これが得意です」と断言できる
業界特化、課題特化、媒体特化など、どこか一点に明確に軸を置いています。
これは仕事の幅を狭めるという意味ではありません。「選ばれる理由」を明確にしているということです。
条件② 「作業」ではなく「構造」で価値を出している
倒産する広告代理店が「作業量」で勝負していたのに対し、生き残る会社は価値の置きどころが違います。
- 売上のどこに課題があるのか
- なぜ集客が伸びないのか
- どこで利益が漏れているのか
こうした構造的な視点でクライアントと会話し、施策はその一部として位置づけます。
結果として、制作や運用は代替可能な作業ではなく、戦略の一部として扱われるようになります。
条件③ AIを「省人化」ではなく「付加価値」に使っている
生き残る広告代理店は、AIを人員削減の道具としてだけは使いません。
- 分析のスピードを上げる
- 仮説検証の回転数を増やす
- 提案の質を底上げする
といった形で、人が考える時間を増やすための道具としてAIを使っています。
その結果、少人数でも高い付加価値を出せる体制を作っています。
条件④ 価格決定権を持っている
生き残る広告代理店は、価格を「言い値」で決めているわけではありません。重要なのは、そもそも価格決定権を持てない仕事と、持てる仕事を切り分けている点です。
従来型の広告代理店ビジネスの代表例として、
- 人が構築したメディア枠
- プラットフォームが定めた広告商品
を販売する「代理業」があります。この領域では、仕入れ値や条件があらかじめ決まっており、代理店側が価格を操作できる余地はほとんどありません。
その結果、
- 価格差がつきにくい
- 比較されやすい
- 値下げでしか受注できない
という価格競争に巻き込まれやすい構造になります。つまり、薄利で回すこと自体がビジネスモデルになってしまうのです。
生き残っている広告代理店は、こうした「価格を決められない仕事」に依存しすぎず、
- なぜこの金額なのか
- どこまでが責任範囲なのか
- 何をやらないのか
を自ら定義できる領域を意識的に増やしています。
これは強気というより、仕事の定義と価値の源泉を自分たちの側に取り戻している結果だと言えるでしょう。
条件⑤ 人を増やさず、価値を積み上げている
倒産する広告代理店は、忙しくなると人を増やし、固定費を膨らませがちです。
一方で生き残る会社は、
- 人数をむやみに増やさない
- 外注やツールを柔軟に使う
- 自社の強みが最も活きる工程に集中する
という選択をしています。
結果として、売上の増減に対する耐性が高くなります。
まとめ|生き残るかどうかは「才能」ではなく「選択」
生き残る広告代理店に共通しているのは、特別な才能ではありません。
- 構造を理解し
- 役割を選び
- やらないことを決め
- 価値の出し方を変えた
という、意識的な選択の積み重ねです。
広告代理店という業種は、今後も形を変えながら進化していくことが重要になります。しかし、その中でどの立ち位置にいるのかは、誰かに決められるものではありません。
本記事は、【2026年版】広告代理店の未来はどうなる?という連載シリーズの第3話です。
次章では、広告代理店という仕事そのものがこれからどこへ向かうのかを整理します。
👉広告代理店はどこへ向かうのか
― 進化・役割・未来の選択【2026年版】

