視聴率調査は変化の時代へ
かつては「視聴率=テレビ広告の効果指標」とされてきましたが、2025年現在では、視聴率に加えて視聴質(エンゲージメント)やマルチスクリーン視聴など、多角的な評価が求められるようになっています。
※視聴質(エンゲージメント)とは、ただ視聴しているかどうかではなく、「どれだけ真剣に見ていたか」「記憶に残ったか」「好意を持ったか」といった質的な関与度を指します。
※マルチスクリーン視聴とは、テレビ視聴中にスマホやタブレットなど他のデバイスを同時に使っている状態を意味し、広告への集中度や反応に影響を与える要素とされています。
本日は、視聴率の測定手法だけでなく、録画やスマホでの視聴、デジタル連携による広告効果測定まで、最新の実態を整理してお届けします。
視聴率の基本的な測定方法(2025年時点)
視聴率は依然として、テレビ広告の価値を評価する主要指標のひとつですが、測定方法は進化し続けています。
1. ピープルメーター(関東・関西・中京地区中心)・・・従来型
- ビデオリサーチ社が約4900世帯に調査機器を設置。
- 家族構成や属性に応じて、視聴開始・終了時にボタン操作。
- リアルタイム視聴を1分単位で記録。
2. オンラインメーター(リアルタイム自動集計)・・・進化型
- テレビのチャンネル操作をセンサーで感知。
- 個別操作不要で自動送信され、翌日に集計反映。
3. 視聴日記アンケート(補完的手法)・・・従来型
- 紙またはWebによる1週間単位の視聴記録を提出。
- 特定層への精緻な視聴傾向把握に用いられます。

個人視聴率と世帯視聴率の違い
視聴率と一口に言っても、実は「世帯視聴率」と「個人視聴率」という2つの異なる考え方があります。広告主が求める効果測定の精度が年々高まる中で、視聴者1人ひとりの視聴行動を把握するニーズが増えています。
| 指標 | 定義 | 活用場面 |
|---|---|---|
| 世帯視聴率 | テレビがONになっていた世帯の割合 | 総合的なリーチ評価や出稿判断 |
| 個人視聴率 | 調査対象者が実際に視聴していた割合 | 属性別の反応分析、プランニング精度向上 |
近年では、家族全員でテレビを視聴するケースが減少し、個人視聴率が重視される傾向にあります。
録画・見逃し配信視聴の測定:タイムシフト視聴とは?
2025年現在、視聴率には以下の3区分があります:
- リアルタイム視聴率:放送と同時にテレビで視聴
- タイムシフト視聴率:録画された番組を7日以内に視聴
- 総合視聴率:上記2つを合算し、重複を除いたもの
※2024年、TVerを含む見逃し配信視聴も実験的にカウント対象とする取り組みが始まっています。
このように、録画視聴やオンデマンド視聴を含めることで、実際の広告接触機会に近い指標が重視されています。
スマートテレビ・PC・スマホによる視聴測定の変化
従来の調査世帯調査ではカバーしきれない視聴行動が増加しています。テレビ以外のデバイスでの視聴が増えたことで、以下の3点のような新たな視聴データの取得・提供が実施されています:
- PC視聴(TVerなど):Webログから実測可能。TVerや民放公式サイトのPCブラウザ視聴はログデータとして蓄積され、広告主やメディアに提供されるレポートに反映されるケースがあります。
- スマートテレビ:アプリ経由のログ分析で測定強化。TVerなどのアプリを通じて視聴された場合、そのログデータが収集され、ビデオリサーチや広告配信事業者により分析されます。
- スマホ視聴:一部TVerアプリ連携でログ取得(ただし限界あり)。TVerアプリ経由での視聴ログは一部が広告効果測定に活用されていますが、アプリの設定や端末の仕様により取得精度には限界があります。
一方で、ワンセグ・フルセグなど携帯端末の非接続視聴は今も測定対象外。
テレビ広告の効果測定は「視聴率+反応指標」へ
テレビ広告の価値を判断する上で、次のような複合指標が導入されています。これらは実際に広告主やメディアによって測定・提供されており、広告効果分析の一部として活用されています:
- 視認率(Viewability):CMが画面に表示された割合。スマートテレビなどのログを活用し、一部の媒体で提供。
- 記憶率/好感度:事後アンケート調査やSNSでの言及分析などを通じて算出。
- Web検索・流入:CM放映直後の検索数の増減や、自社LP・ブランドサイトへの流入データから可視化。
- 商品購買・問合せ件数:コールトラッキングや店舗POSデータとの連携で測定され、リアルな購買行動と連動。
これらを踏まえ、テレビ広告はもはや「視聴されたか」だけでなく、その後の反応まで含めた“広告効果全体”の設計が必須になっています。
おわりに:変わるテレビ視聴、変わる評価指標
視聴行動の多様化が進む中、広告主は「本当に効果が出ているのか?」という観点で、テレビ局や広告代理店に対して従来以上に高度な効果測定を求めるようになっています。
これを受けて、テレビ離れが進行する中でも、メディア側は広告主との信頼関係を維持すべく、視聴率以外の指標やデジタル連携の強化などに力を入れています。
その結果、視聴率という指標だけではなく、多面的な“視聴の質”や反応を測る時代へと移行しているのです。
従来型の視聴率理解にとどまらず、リアルとデジタルの融合による新しい広告評価手法がこれからの時代に欠かせなくなっているのです。
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