【歴史で読み解く】広告代理店売上ランキング2000年~2013年!業界激動の14年間

広告費・市場データ

この記事では、2000年から2013年までの広告代理店売上ランキングの推移を振り返ります。
この14年間は、インターネット広告の台頭で業界の勢力図が大きく揺らいだ時代でした。

当時を知る方には「懐かしい…」と共感を、若い方には「こんな時代もあったのか」と驚きを与えるはずです。

広告業界に関わる方・目指す方にこそ、読んでほしい記録です。

◇ 広告代理店ランキングは“長期間比較”で本質が見える

広告代理店ランキングは、単年のデータだけでは見えない“本質”があります。
長期的に見ることで、業界の構造変化や広告メディアのニーズの推移
がよく分かるのです。

◇ 当時の全体像──市場規模は安定でも、内訳は激変

2000年と2013年、広告市場全体の売上規模はほぼ横ばいでした。

  • 2000年:6兆1,102億円

  • 2013年:5兆9,762億円(約2%減)

つまり、市場規模そのものは大きくは縮小していないのです。

◇ しかし「内訳」は激変──電通だけが微増、他は軒並み減

実際のランキングは以下の通りです。

順位 2000年 売上高(2000年) 売上比率 2013年 売上高(2013年) 売上比率 備考(増減・特記事項)
1 電通 1兆4,747億円 24.1% 電通 1兆4,821億円 24.8% 微増(安定トップ)
2 博報堂 7,402億円 12.1% 博報堂DY HD 6,172億円 10.3% 17%減(売上減少)
3 アサツー・ディ・ケイ 3,408億円 5.57% アサツー・ディ・ケイ 2,969億円 4.96% 13%減(売上減少)
4 東急エージェンシー 1,968億円 3.22% 大広 1,175億円 1.96% 東急→順位急落(大広は35%減)
5 大広 1,581億円 2.58% JR東日本企画 1,000億円 1.67% JR東、売上10%増(堅調成長)
6 読売広告社 1,172億円 1.91% 東急エージェンシー 962億円 1.60% 東急、51%減(大幅減少)
7 I&S/BBDO 1,002億円 1.63% 読売広告社 768億円 1.28% 読売、35%減
8 JR東日本企画 917億円 1.50% 電通東日本 511億円 0.85% 新顔ランクイン
9 マッキャンエリクソン 792億円 1.29% デルフィス 446億円 0.74% デルフィス21%増(安定成長)
10 朝日広告社 604億円 0.98% クオラス 401億円 0.67% 朝日、36%減/クオラス新登場
11 日本経済社 546億円 0.89% 朝日広告社 387億円 0.64% 朝日、引き続き減少
12 創芸 525億円 0.86% 日本経済広告社 360億円 0.60% 日本経済系、減少続く
13 電通ヤングアンドルビカム 501億円 0.81% フロンテッジ 344億円 0.57% フロンテッジ(旧インタービジョン)
14 オリコム 487億円 0.79% 電通九州 338億円 0.56% 新顔ランクイン
15 日本経済広告社 458億円 0.75% 日本経済社 295億円 0.49% 日本経済社46%減(厳しい状況)
16 インタービジョン 400億円 0.66% JR西日本コミュニケーションズ 287億円 0.48% 新顔(JR西日本系)
17 JWトンプソンジャパン 377億円 0.62% オリコム 286億円 0.47% オリコム41%減
18 デルフィス 368億円 0.60% 電通西日本 278億円 0.46% 新顔ランクイン
19 中央宣興 358億円 0.58% オリコミサービス 266億円 0.44% 中央宣興は倒産(2010年)
20 協同広告 357億円 0.58% 新通 232億円 0.38% 新顔ランクイン

 

【表の読みどころ】

  • 電通はほぼ変わらずトップ、安定の売上規模

  • 上位3社で約4割のシェアは変わらず(電通・博報堂・ADK)

  • 東急エージェンシー、大広、新聞系広告社は大幅減

  • ハウスエージェンシー(JR東、デルフィスなど)は堅調

  • 下位ほどインターネット広告台頭の影響が色濃く、順位変動が激しい

  • 中央宣興は2010年に倒産(業界構造の厳しさの象徴)

※中央宣興の倒産は、広告業界において非常に大きなニュースでした。事務所は銀座です。ある日突然、社員が会議室に呼び出され仕事中にも関わらず倒産を言い渡されたのです。大きな要因は①ビッククライアントであった消費者金融『武富士』の倒産。及び、②「創業家独断の経営」「院政体質」「理性欠如」「希望的観測的な予測や思惑や期待」③銀座での高額家賃。などが指摘されました。また、広告とは全く違う事業に投資をしていた。とも当時の社員は発言しています。1社の売上が会社全体に占める割合が大きくなるのは、同時にリスクもある。ということだと理科しなければいけません。

 

◇ 背景にある“インターネット広告”の急成長

この14年間の売上減少分は、インターネット広告関連会社へ移行していました。
電通を除く大手各社が売上を減らし、ネット広告専業会社の台頭が本格化した時期です。

◇ 当時の未来予測──今読むと“的中”の連続

この記事を書いた当時、私はこう予測しました:

  • 電通の圧倒的地位は継続(五輪・官公庁案件などで不動)

  • ネット広告専業会社は今後さらに拡大

  • 新聞系広告会社は統合・縮小が進む

  • ハウスエージェンシーは安定を維持

実際、この予測はかなりの部分で現実化しました。しかし、電通の五輪での不正に関しては予測はできませんでした。一社独占のビジネスモデルは癒着が発生する。という教訓になったと思います。

◇ 今こそ、過去を知る価値がある

この記事は10年以上前のものですが、
広告業界を長く俯瞰することで、“今の業界構造の“原点”がはっきり見えてきます。

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過去を知ることは、未来を読み解く大きなヒントになります。

編集後記

この14年間を振り返ると、広告業界は変化し続けています。

これらの推移を理解することは、今後の予測にも意味があるはずです。

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