オリエンテーションシートとは何か?
広告キャンペーンを始動する際、広告主(クライアント)が広告代理店に対して、企画の目的や商品情報、予算などの詳細を伝えるために作成される文書が「オリエンテーションシート(通称:オリエンシート)」です。
このシートは、初回説明会である「オリエンテーション(オリエン)」で配布され、プレゼンテーション(プレゼン)準備の土台となります。関係者が共通認識を持つための基礎資料として、非常に重要な役割を果たします。
オリエンテーションとは?
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オリエンとは、広告主が広告代理店に向けてキャンペーンの基本情報を伝える説明会のことです。

近年の傾向: オリエンは、ZoomやTeamsなどのオンライン形式で実施されることも増えています。
ここで提示された情報を基に、広告代理店は提案資料を作成し、プレゼンテーションを行います。

複数の代理店が競い合う「競合プレゼン(コンペ)」の場で成功するためには、このオリエンの内容把握がカギを握ると言っていいでしょう!
オリエンテーションシートの役割
オリエンシートは、関係各部門に一貫した情報を伝える“情報の中心軸”です。

活用される部門:
- 営業部門
- クリエイティブ部門
- メディアプランニング部門
- 社外の制作会社
内容に曖昧さやミスがあると、全体の方向性が狂い、プレゼンの精度が大きく損なわれます。各部門がオリエンシートをもとに連携し、施策全体の整合性を保つことが大切です。
補足: オリエンシートは、クライアント自身が「伝え漏れのないように」「趣旨が正しく伝わるように」最も神経を使って作成する資料です。そのため、広告代理店にとっても最も信頼性が高く、プレゼンの方向性を決定づける最重要情報が詰まっていると捉えるべきです。 一方で、どれほど精緻に作られた資料であっても、企業内部の空気感や人間関係、背景事情といった“行間の情報”まで完全に網羅することはできません。そのため営業担当者には、オリエン時の会話や雰囲気から、その文脈を感じ取る力も同時に求められます。
オリエンシートの主要構成
以下は、オリエンシートの典型的な構成要素を表にまとめたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 商品/サービス情報 | コンセプト、価格、競合との差別化など |
| ② 想定ターゲット | 年齢、性別、地域、ライフスタイルなど |
| ③ 広告の目的 | 認知拡大/行動喚起(購買・資料請求) |
| ④ 成果目標 | インプレッション数、CV数など |
| ⑤ 予算・実施期間 | 想定費用、展開スケジュール |
| ⑥ 特記事項 | 禁止表現、希望媒体、クリエイティブ制約等 |
実務での活用ポイント
オリエンテーションで得られる情報を最大限活用し、精度の高い提案に結びつけるためには、実務上でのちょっとした工夫や準備が欠かせません。以下の4つのポイントは、どの代理店でもすぐに実践できる基本動作であり、もはや「やるべき常識」とも言える内容です。
- 情報を正確にメモし、録音や動画保存が可能なら活用する
- 参加メンバーで「不明点リスト」を作り、オリエン後すぐに質問を投げる
- 自社の過去プレゼンと照らし合わせ、強みを発揮できる部分を見極める
- 社内共有の際は、部門別に必要な情報をハイライトして伝える
これらは基本ですが、さらに一歩踏み込んで「応用編」として、たとえば以下のような工夫ができれば、より完成度の高い提案につながります:
- 自社で勝てるパターン・傾向をシートと照らし合わせて事前分析する
- 過去に似たオリエン案件の資料や提案内容を社内アーカイブから参照する
- 競合プレ想定で、他社が狙いそうな打ち手を事前に予測して差別化策を設計する
- オリエン時の空気感や温度感をメモし、提案トーンに反映させる
基本をしっかりと実践したうえで、こうした応用的な視点を持つことができれば、提案の説得力も成功率も大きく向上します。
まとめ:広告代理店にとっての“勝負の起点”
オリエンテーションシートは、広告代理店にとって企画の出発点であり、“プレゼンを通す為の土台”となる大切な部分です。情報整理力とヒアリング力、そして適切な社内連携が求められます。
また、プレゼンが終わった後もこのシートは重要です。採用後の制作進行・メディア実施時のブリーフ資料として再活用されるケースも多いため、正確かつ共有可能なフォーマットで保管・展開する習慣が大切です。
Tip: オリエンを単なる説明会と捉えず、「提案の成否を分ける出発点」として臨む姿勢が、プロフェッショナルとしての差になります。

