動画コンテンツがあふれる現代。
テレビCMは、なおも大きな影響力を持つメディアでありながら、その選び方次第で「無駄な出費」となるリスクも含みます。
特に地上波とBS(衛星放送)は特性が大きく異なるため、どちらを選ぶべきか迷う広告主も少なくありません。この疑問に対して、ターゲット・予算・目的をもとに最適な戦略はどうすればいいのか?検討してみましょう!
地上波の特徴:広域リーチと高コストのバランス
かつては老若男女すべてに届くメディアだった地上波テレビも、現在では視聴者の年齢層が40代以降に偏る傾向が強まっています。
しかし、依然として全国規模で大量リーチを確保できる唯一無二の媒体であることに変わりはありません。
地上波CMが適している業種
では、地上波では一体どのような業種や商品が適しているのでしょうか?
- 消費財(食品・飲料・日用品)
- 自動車メーカー(特に大衆車・軽自動車)
- 金融・保険サービス
- ゲーム・エンタメ関連(若年層向けの家庭用ゲームソフト、アプリなど)
- 通信サービス(携帯キャリア、インターネットプロバイダーなど)
- 飲料・外食チェーン(新商品・期間限定訴求)
地上波は「大量投下+短期集中」によるインパクトを狙う商品・ブランド向けです。プライムタイムの出稿には高額な費用が必要ですが、その分圧倒的なリーチと認知効果が見込めます。
BS放送の特徴:趣味性・高所得層への訴求力
BS放送は、趣味性の高い専門番組や、富裕層向けのコンテンツが豊富です。
中高年層を中心とした視聴者が多く、広告費も地上波に比べて比較的低く設定されています。
ただし、BS市場全体は2023年末以降、統廃合や縮小傾向にあり、今後の出稿計画では視聴実態やチャンネル再編にも注意が必要です。
BS CMが適している業種
- 趣味性の高い商品(釣り具、オーディオ、カメラなど)
- 高級商品(腕時計、高級車、旅行)
- 教育・士業サービス(医療・法律・資格スクールなど)
このように、BS放送は「特定の関心を持つ層」や「高所得者層」に向けて、落ち着いた雰囲気で長時間の視聴を促すことが可能です。テレビというより“専門メディア”としての性格が強く、ブランドの世界観や価値観を丁寧に伝えたい場合に非常に相性が良い選択肢となります。
地上波 or BS? 判断の基準は3つ
1. ターゲットオーディエンス
あなたの商品のメイン顧客が「若年〜ファミリー層」なら地上波、「中高年・高所得層」ならBSが基本的な目安です。
2. ブランドのステージ
- 新規ブランドの立ち上げ:大量リーチが必要 → 地上波
- 既存顧客への深耕・限定訴求:関心層を狙える → BS
3. 費用対効果と持続性
広告費が限られているなら、BSのタイアップや番組連動施策で長期露出を狙う方が効率的な場合もあります。
また、インフォマーシャル枠や1社提供のように「じっくりと時間をかけて魅力を伝えたい」商品やサービスにおいては、地上波での長尺放映は現実的ではないことが多く、BS放送がより実現可能な選択肢となります。
特にBSでは、長尺CMの放映や、長期間にわたる提供番組の枠を活用することで、じっくりとブランド価値を訴求することが可能です。こうしたアプローチは、高付加価値商品や専門性の高いサービスにおいて有効です。
ハイブリッド型CM戦略のすすめ
現在の広告主は、「地上波 or BS」のどちらかではなく、TVer・YouTube・CTV(コネクテッドTV)・SNS広告などを組み合わせた“ハイブリッド型”のメディアミックスが主流になってきているようです。
組み合わせの一例
- 地上波で認知 → TVerで追いかけ視聴 → SNSでアクションを促進
- BSで限定訴求 → LPやECに誘導 → SNSでのUGCを促進
つまり、複数のメディアを連動させることで、認知から興味喚起、購入・共有といった一連の消費行動を滑らかにつなげることができます。単独の出稿では届かない層にもリーチできるのが、ハイブリッド型戦略の大きな強みです。
成功するための3つの最適化ポイント
テレビCMを成功させるためには、メディアの選定だけでなく、その活用方法にも工夫が求められます。ここでは、成果を最大化するために押さえておきたい3つの視点をご紹介します。
1. クリエイティブなメッセージング
- ストーリー性で記憶に残る
- 明確なコールトゥアクション(CTA)を設ける
広告は、ただ視認されるだけでなく「記憶され」「行動につながる」ことが重要です。感情を動かすストーリーや、視聴者に明確な行動を促すCTAが不可欠です。
2. 放映タイミングの戦略
- 季節性、イベント時期を活用
- 視聴率が高い曜日・時間帯を狙う
商品の性質や需要のピークに合わせて放映時期を調整することが、効果の最大化につながります。特定の曜日・時間帯に視聴が集中するターゲット層に合わせたスケジューリングも重要です。
3. 効果測定と改善サイクル
- 放映後のデータ分析(GRP、ブランドリフト、検索流入など)
- SNSやYouTubeでのリアクション・コメントも重要な評価軸
CMは放映して終わりではなく、必ず効果を測定し、改善の手を打つ必要があります。数値データだけでなく、SNSなどの口コミや感情的反応も分析対象とし、次の施策に活かすことが重要です。
まとめ:目的・ターゲット・予算の最適化こそCM戦略の本質
テレビ広告においては、「どの媒体に出すか?」以上に、「誰に、何を、どのように届けるか?」が大切です。
地上波とBS、それぞれの強みを理解したうえで、他メディアとの連携も視野に入れた柔軟な戦略を描くことが、CM成功の為には必要です。
▶関連記事:テレビ視聴率の新常識:世帯視聴率と個人視聴率の違いとは?
▶関連記事:テレビは終わったのか?2025年の放送メディアを再考します!
▶関連記事:TVerとは?初心者でもわかる。そのビジネスモデルとは?