インターネット広告の歴史

広告豆知識

インターネット広告成長の足跡

2019年にはテレビ広告を抜いて1位になった『インターネット広告』

では、なぜインターネット広告がここまで成長できたのか?
どのような経緯を経ることでここまで成長することができたのか?

その歴史を辿ってみましょう。

 

インターネット普及のはじまり

インターネットの普及で欠かせないのが、
1995年に発売されたMicrosoft社の【Windows95】の登場です。

日本中を騒がす大きなニュースとなり、全国各地でカウントダウンイベントが開催。
長蛇の列が発生したのを記憶されている方も多いと思います。

まさにインターネットが誕生したと言えるのがこの年です。

 

 

 

この年を境にパソコンを所有する方が一気に急増することになりました。

 

そして、パソコンの利用に拍車を掛けた出来事がもう1つあります。

それは1996年の『Yahoo!JAPAN』のサービス開始です。

【 ニュース】・【地域情報】・【政治】・【エンターテイメント】・【健康】・【ビジネスと経済】
などがカテゴリー分けされ、その便利さから利用者が急増することになります。

この当時は、多くの企業がホームページを持っている状況ではありませんでした。
また、今の様に安価にホームページを製作することもできず、一部の企業が先行してホームページを持っていた時代です。

Googleによる検索上位表示(SEO)の評価基準も明確ではなく、『Yahoo!JAPANのカテゴリーに登録されるか?』
がアクセス集めのポイントでもありました。

Yahoo!JAPANのカテゴリーに登録される⇒YAHOO!からリンクを貼られる→優良なサイトに違いない⇒検索順位も上がる。

という流れがスタンダードだったのです。

 

インターネット広告の誕生

 

【Windows95】と『Yahoo!JAPAN』の人気により利用者が急増すると、
『広告価値』が上がりますので広告掲載のニーズが高まってきます。

 

※利用者の多い場所は広告ニーズが上がる

 

そこで、Web広告のニーズに応えるべく登場したのがインターネット広告専門の会社、いわゆるレップの登場です。
『Yahoo!JAPAN』の登場と同じく1996年にメディアレップが誕生します。

 

  • 電通が【株式会社サイバーエージェント】
  • 博報堂とADKが【デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社】

を設立します。

 

当時はインターネット広告の知識が皆無の時代でしたので、
広告業界において貴重な役割を果たすことになります。

インターネット広告の統計が始まるのもこの年(1996年)です。

 

インターネット広告市場の流れ

 

しかし、インターネット元年とも言える1996年度の広告市場は非常に小さく年間で16億円です。
まだインターネット広告がどのような商品なのか?知らない方の方が大多数でした。
『バナー広告』と『テキスト広告』程度しかありませんでしたが、それをも知らない方の方が多かったのです。

そして、翌年の1997年以降急速に売上が成長していきます。

 

 

1997年から2019年に掛けての経緯を下記に簡単にまとめてみました。

  • 1996年:16億円
  • 1997年:60億円
  • 1998年:114億円
  • 1999年:241億円(インターネット広告のガイドライン構築の為、インターネット広告推進協議会が発足)
  • 2000年:590億円(2000年に入るとアドサーバーの普及がはじまる)
  • 2001年:735億円
  • 2002年:845億円(検索連動型広告スタート。従来型のプッシュ型広告から生活者主導のプル型広告が始まる。オークション型・一般の方もクレジットで購入可能・キーワード購入・クリック保証などによる無駄のない広告として大きな評価を得る)
  • 2003年:1,183億円(1,000億円を突破、ここから一気に加速)
  • 2004年:1,814億円(ラジオ広告の1,795億円を抜いて4位に)
  • 2005年:3,777億円(ここからインターネット広告は制作費も含んだ金額となり広告費が急増します)
  • 2006年:4,826億円(雑誌広告の4,777億円を抜いて3位に。このころから行動ターゲティング広告が大きな人気を得ます。また同時に個人が情報発信をするSNSやブログの普及も始まり、個人のアフィリエイターも急増。配信先の広告メディアも急増します)
  • 2007年:6,003億円
  • 2008年:6,983億円(リーマンショックに関わらず前年比プラス)
  • 2009年:7,069億円(広告業界全体で6兆円割れもインターネット広告は前年比プラス。新聞広告6,739億円を抜いて2位に)
  • 2010年:7,747億円(アドエクスチェンジが普及、同時にDSP&SSPも登場)
  • 2011年:8,062億円
  • 2012年:8,680億円(2012年頃から運用型広告という概念が登場。今のインターネット広告を支える広告配信が始まります
  • 2013年:9,381億円
  • 2014年:10,519億円(19年目、20年待たずに1兆円を突破
  • 2015年:11,594億円
  • 2016年:13,100億円
  • 2017年:15,094億円
  • 2018年:17,589億円(テレビ広告の17,848億円に肉薄。また運用型広告の割合が全体の8割に到達)
  • 2019年:21,048億円(テレビ広告の17,345億円を抜いて、1位になる
  • 2020年:22,290億円(テレビ広告は、15,386億円。ほぼ1.4倍の差が開く。
    コロナ渦に見舞われマイナスとなったテレビ広告とコロナ渦に関わらず成長を続けるインターネット広告という構図です)

16億年でスタートした市場が24年間でテレビ広告を抜いて1位に躍り出ることになるのです。
2019年には、2兆円に到達。日本の広告市場の1/3を占めることになります。
このままだと、3兆円になり日本の広告費の50%を占めるようになるのも時間の問題かもしれません。

 

 

インターネット広告の今後の課題

 

インターネット広告は成長を続けていますが、マイナス材料もあります。
大きな動きとしては、2019年の後半頃から報道が目立つようになってきたのが【クッキー(cookie)の制限】です。

クッキーとは、インターネット広告に欠かせない重要な要素です。

 

  • クッキーとは、あなたが訪問したWebサイトとあなたのスマホやPCが結び付く仕組みです。
    ショッピングサイトに訪問して、迷った挙句購入しなかったり、ショッピングカートに入れかが途中で購入を止めてた経験はあなたにもあるはずです。
    そんなときでも、次回の訪問時に前回の途中から始まった経験がありますね。
    この技術は全てクッキーの技術によるモノです。
    クッキーは企業側・利用者側双方にとって便利な仕組みでもあるのです。

 

クッキーは非常に便利な仕組みですが、個人情報の点から問題が指摘されてきました。
クッキーの規制が強化されるきっかけは、リクルートによる問題です。
リクナビで就職活動中の学生のサイト閲覧履歴などを基に内定辞退の指標を採用企業に提供していた問題です。
この時間が大きなきっかけとなったのは否定できません。

 

cookie規制された後のインターネット広告は?

インターネット広告の発展にcookieの技術は大きな役割を果たしています。
インターネット広告の最大のメリットであるターゲティングによる広告配信に欠かせない技術だからです。

2020年以降も大きなマイナス材料であることに間違いありませんが、
技術革新により大きなダメージとはならないでしょう。

なぜならインターネットの技術力の進歩には凄まじいものがあるからです。
クッキーに代わる技術が次々に開発されるでしょう。

また、ポップアップでcookie利用に同意させる事例が普通になり利用者からの抵抗も大きくないはずです。

また5Gによる通信速度の向上による利便性などインターネットを取り巻く環境にはプラス材料が多くあります。

成長する市場には、マイナス材料の出現は不可避です。
しかしインターネットなしでは生活できない時代において、大きなマイナスが発生することは当面考えられません。

2020年以降もインターネット広告は広告市場の中心となることは間違いないのです。

そして、インターネット広告の市場をけん引するのは【運用型広告】です。
【運用型広告】を取り巻く環境を中心にしっかりとチェックしておきましょう!

 

運用型広告の説明を少し!

 

運用型広告とは、検索連動型のリスティング広告(PPC広告)とディスプレイ広告(バナー広告やテキスト広告)に分類されます。
広告の配信に関し、サービス事業者が提供する管理画面で広告配信側が管理(運用)できる仕組みの事です。

広告主は、アドサーバー(広告を配信するサーバー)から、アドネットワークを活用し(複数の広告メディアを束ねている)配信することで、
個別に広告メディアを選定しなくても、広告枠を効率的に購入することが可能になっています。
その結果、広告主側は自社で広告配信の最適化を柔軟に操作できるようになったのです。

広告配信に欠かせない手法が【運用型広告】です。

 

インターネット広告の中心となる『運用型広告』を理解する為には、
アドサーバー、アドネットワーク、アドエクスチェンジ、DSP、SSPという言葉も外せません。

ちょっと、説明してみましょう。

イメージとしては、【アドサーバー⇒アドネットワーク⇒アドエクスチェンジ⇒DSP&SSP】の順番で時代は流れていると思ってください。
非常に大事ですので必ず覚えておきましょう!

 

 

『アドサーバー』とは広告を配信するサーバーです。

『アドネットワーク』とはアドサーバーを束ねているネットワークです。

そして、『アドエクスチェンジ』とはアドネットワークだけではどうしても売れ残ってしまう広告枠の在庫を効率的に販売する広告市場のことです。
この3つの組み合わせにより運用型広告は成り立っているのです。

しかし、その結果、『アドネットワーク』と『アドエクスチェンジ』が乱立するようになります。
様々な企業が参入しますので乱立は避けられません。
すると、今度はその全てを一括管理する仕組みが必要になってきます。

この全てを一括管理して広告を配信するプラットフォームが【DSP(Demand Side Platfom)】です。

この広告枠を効率的に購入するDSPという仕組みが登場すると、
メディア側(広告枠提供側)でも広告枠を効率的に販売し収益を最大化しようとする仕組みが必要になってきます。

そのプラットフォームが【SSP(Supply Side Platfom)】です。

この5つの仕組みが立体的につながることで、リアルタイムに広告枠を購入することが可能になり、
広告主側とメディア側双方にメリットが生まれる状況が完成しています。

 

広告用語説明

 

  • アドサーバー:広告を配信するサーバー
  • アドネットワーク:Webサイトの広告枠をネットワークして広告枠の受注を管理するネットワーク。
    アドサーバーによりネットワークしている複数の広告枠に対して一括配信を実施します。
    アヂネットワークに広告枠の配信を代行してもらうことで、メディア側は広告枠の管理(広告枠の在庫管理やレポート作成など)
    をする必要が無くなったのです。
  • アドエクスチェンジ:広告枠の取引市場(いわゆる株式の取引市場みたいなもの)
    広告枠を購入する需要と広告枠を提供する供給をマッチングして取引を実現する仕組み。
  • DSP:広告主側が効率的に広告枠を購入する為の仕組み。
    広告主側が希望する掲載面や広告料金、ターゲットなどを条件にマッチした広告面を自動的に買い付けて広告を配信します。
  • SSP:広告主側が活用するDSPに対し、メディア側が広告面を効率的に販売し収益を最大化させるための仕組み。
    メディアぐぁが希望する掲載面・広告料金・業種などを条件に、DSPDSP・アドネットワーク・アドサーバーからの配信を一括管理します。
    SSPにより入札単価の比較が自動で実施され、最も価格の高い広告枠を自動で配信することが可能になったのです。

 

インターネット広告の初期は、どのサイトに掲出するかが重要でした。
ターゲティングが出来なかったのです。

自動車関連のサイトに、単純に自動車のバナーを貼るというイメージです。

そして、運用型広告が普及することで、今では誰に広告を出すか?が運用のポイントになっています。

WebサイトとWebサイトの広告枠が別配信になったことで、メディアではなく、ターゲットとする人が見るサイトに広告を出せるようになったのです。
また、GPS機能などによりその地域に絞って広告を出すことも可能です。

いわゆる『ジオターゲティング広告』です。

時間毎での配信や、購入した人を除く配信などインターネット広告の成長はまだまだ続きます。

今後も驚く様な仕組みが発表され続けるでしょう。

成長の激しいインターネット広告の情報には絶えず敏感になる習慣を付けることが重要です。

 

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