ターゲティング広告の歴史
2019年にはテレビ広告を抜いて、広告メディアのNo.1に君臨していたインターネット広告。
その進化を支えてきたのは、言うまでもなく「ターゲティング力」です。
インターネット広告の黎明期は、単純にバナー広告やテキスト広告を掲載するだけでした。
これは、編集コンテンツの内容に合わせた広告掲載という、従来のマスメディアと変わらないアナログ手法と言えます。
しかし、その後登場した「アドサーバー」(※)が、インターネット広告を大きく変えました。
アドサーバーは、編集コンテンツとは別に広告コンテンツを配信するサーバーです。
これにより、Webページは編集コンテンツサーバーとアドサーバーが組み合わさって表示されるようになり、利用者ごとに異なる広告が表示できるようになりました。

こうして、編集コンテンツではなく、利用者の属性に合わせて広告が配信される「ターゲティング広告」が誕生したのです。
①ユーザーがウェブサイトにアクセス:
ユーザーがパソコンやスマートフォンでウェブサイトを閲覧します。
②ウェブサイトがアドサーバーに広告をリクエスト:
ウェブサイトは、アドサーバーに広告の表示をリクエストします。
③アドサーバーが最適な広告を選択:
アドサーバーは、ユーザーの属性や行動履歴、ウェブサイトの内容などに基づいて、最適な広告を選択します。
④アドサーバーが広告を配信:
選択された広告が、ユーザーのブラウザに配信されます。
⑤ユーザーに広告が表示:
ユーザーは、ウェブサイト上で広告を閲覧します。
⑥広告効果の測定:
アドサーバーは、広告の表示回数やクリック数などを計測し、広告効果を分析します。
補足
・アドサーバーは、複数のウェブサイトに広告を配信することができます。
・広告主は、アドサーバーを通じて、ターゲットに合わせた広告配信を行うことができます。
アドサーバーの仕組みは、上記のような流れになります。

つまり、インターネット上の広告配信を管理・最適化するシステムであり、ウェブサイトに表示される広告を、ユーザーの属性や行動履歴に合わせて配信したり、広告効果を測定したりする役割を担っているということになります。
ターゲティング広告の種類
次に、ターゲティング広告の種類について説明いたします。
ターゲティング広告は、大きく分けて、①基本属性・②行動履歴・③コンテキスト・④リアルタイム・⑤予測ターゲティングの5つの要素を組み合わせて、ユーザーに最適な広告を配信することができます。
それぞれの要素が持つ情報を活用することで、より精度の高いターゲティングが可能となり、広告効果の向上が期待できます。
例えば、ある化粧品会社が新しいファンデーションを発売するとします。
- 基本属性: 20代~30代の女性をターゲットに設定
- 行動履歴: 美容関連のサイトを頻繁に閲覧しているユーザーをターゲットに設定
- コンテキスト: 美容に関する記事や動画コンテンツに広告を掲載
- リアルタイム: ユーザーが現在地にいる地域の天候情報(乾燥している、紫外線が強いなど)に合わせて広告の内容を調整
- 予測ターゲティング: 過去の購入履歴やWebサイトの閲覧履歴から、そのファンデーションに興味を持ちそうなユーザーを予測
このように、複数の要素を組み合わせることで、より的確にターゲットユーザーにアプローチすることができます。
もちろん、すべての要素を常に使うわけではありません。
広告する商品やサービス、ターゲットとするユーザー層、予算などに応じて、最適な要素を選択し、組み合わせることが重要です。
ターゲティング広告をリードする「リターゲティング広告」とは
ターゲティング広告の中で、成長を牽引してきたのは「リターゲティング広告」です。
Web利用者の閲覧履歴、検索履歴、購買履歴、反応履歴などに基づいて広告を配信する手法で、顕在層に確実にアプローチできることから大きな人気を得てきました。
2025年のリターゲティング広告
リターゲティング広告は、依然として重要なマーケティング手法として多くの企業に利用されていますが、プライバシー保護の強化という大きな変化が起こっています。
以前は、ユーザーのWebサイト訪問履歴などを追跡するための「サードパーティCookie」と呼ばれる技術が広く使われていました。
しかし、近年では個人情報保護の観点から、このサードパーティCookieの使用が制限されるようになってきています。
そのため、従来のようなCookieに頼ったリターゲティング広告の手法は難しくなってきており、新たな手法が模索されています。
具体的には、
- コンテキストターゲティング: ユーザーの属性や興味関心に基づいて広告を配信する方法
- ファーストパーティデータの活用: 企業が自社のWebサイトやアプリで収集したユーザーデータを利用する方法
- プライバシーサンドボックス: Googleが開発を進めている、プライバシー保護とターゲティングを両立させるための新しい技術
などが注目されています。

つまり、リターゲティング広告自体は今でも有効な手法ですが、プライバシー保護に対応した新たな手法を取り入れる必要が出てきていると言えるでしょう。
2025年のターゲティング広告のトレンド
インターネット広告は常に進化を続けており、ターゲティング広告も例外ではありません。
特に近年では、ユーザーのプライバシー保護意識の高まりや、AI技術の発展など、広告を取り巻く環境が大きく変化しています。
こうした変化に対応し、より効果的な広告配信を実現するために、
2025年のターゲティング広告では、以下のようなトレンドが見られます。
- プライバシー保護の強化: クッキー規制の強化に伴い、プライバシー保護に配慮したターゲティング手法が重要になっています。
- AI・機械学習の活用: AIによる自動化、最適化が進み、より効率的なターゲティングが可能になっています。
- 動画広告の増加: 動画コンテンツの普及に伴い、動画広告の利用が増加しています。
- インフルエンサーマーケティング: インフルエンサーの影響力を活用したマーケティングが注目されています。
上記のトレンドを踏まえ、ターゲティング広告を効果的に活用することで、企業はより多くの顧客にリーチし、成果を獲得できる可能性が高まります。
しかし、常に変化する状況に対応していくためには、最新の情報や技術を常に把握しておくことも重要です。
今後の展望
インターネット広告は、今後も進化を続けることが予想されますが、ユーザーのニーズや社会の変化に対応していく必要があります。
プライバシー保護、AI・機械学習の活用、動画広告、インフルエンサーマーケティングなど、 最新のトレンドを把握し、効果的な広告戦略を策定することが重要です。
位置情報を活用した最新の広告手法『ジオターゲティング広告』もしっかり覚えておきましょう!