2019年度12月の新聞発行部数から見る今後の対策案!
新聞社の発行部数に関して検証を繰り返していますが、2019年度12月度の発行部数がABCより発表になりましたので検証してみましょう。
2018年12月度からの1年間でどのように変化したのか?比較検証しています。
上段が前年の2018年12月、そして太字(下線)が2019年12月。
そして、1年間の減少部数から減少率と続きます。
部数が減少する前提で書くのが当たり前になっているのが新聞業界の悲しい現実です。
そして、今回は新聞社の新たなビジネスモデルに関して、最後に私見を記載しました。
新聞社が生き残る新たな方向を今後も考え続けたいと思います。
- 読売新聞:2018年12月(8,283,333)
2019年12月(7,901,136)
1年間の部数減(-382,197)
減少率(-4.4%) - 朝日新聞:2018年12月(5,681,395)
2019年12月(5,284,173)
1年間の部数減(-397,222)
減少率(-7.0%) - 日本経済新聞:2018年12月(2,358,288)
2019年12月(2,236,437)
1年間の部数減(-121,851)
減少率(-5.2%) - 毎日新聞:2018年12月(2,527,535)
2019年12月(2,304,726)
1年間の部数減(-222,809)
減少率(-8.8%) - 産経新聞:2018年12月(1,401,752)
2019年12月(1,348,058)
1月間の部数減(-53,694)
減少率(-3.8%) - 5紙合計:2018年12月(20,252,303)
2019年12月(19,074,530)
1年間の部数減(-1,177,773)
減少率(-5.8%)
2018年12月から2019年12月までの1年間で減少した部数は、117万部です。
昨年度の減少部数が132万部ですので、減少した部数は減っていますが、分母が前年より減っていますので、大きな前年と状況は変わらないと思っていいでしょう。
新聞発行部数2019年度のトピック
2019年度の注目点は、
- 全国紙(5紙全体)で2000万部を割り1900万部になった。2020年度には1800万部台になるのが確実な状況。
- かつては1000万部を超えていた読売新聞が800万部を割ってしまった。
- 読売新聞を肩を並べていた朝日新聞が500万割るのも時間の問題になってきた。
- 毎日新聞と日本経済新聞の差が6.8万部。2020年には順位が逆転するのが確実。
(2019年度には逆転すると予想していましたが、ABC上ではギリギリ持ちこたえました) - 分母が減っているにも関わらず1年間で100万部を超える部数が減少している。
と要約できます。
いったいどこまで減り続けるのか?減り止まりという底辺があるのか?誰にも分からない状況です。
上記部数はABC発表で「押し紙」を含んでいませんので、実際は毎日新聞と日本経済新聞は100万部台、産経新聞は100万を割っています。
ということで、いつも通り、『押し紙』を加味した2019年12月の発行部数を計算してみましょう。
(朝日・読売・日経・産経は30%、毎日は50%と想定)
- 読売新聞:553万部
- 朝日新聞:369万部
- 日本経済新聞:156万部
- 毎日新聞:115万部
- 産経新聞:94万部
実売部数は、多く見積もって上記の通りでしょう。
減少率が高い状況が続いている毎日新聞(-8.8%)と朝日新聞(-7.0%)の2紙は根本的な対策が必要でしょう。
全国紙で100万部レベルだと、地方紙と比較すると効率的ではありません。
新聞社の今後の対策を考えてみる
新聞社のビジネスモデルは、
- 購買による販売収入
- 広告収入
- 家賃収入
- その他収入(協賛・イベントなどの事業部よるビジネス)
上記4カテゴリーが中心となります。
中でも、販売収入の占める割合が高く4割から5割程度を占めるのが普通です。
そして、広告収入が2割から3割程度でしょう。
メインとなる販売収入が減り続けている為に、広告収入も比例して減少しているのが現状です。
朝日新聞社と毎日新聞社は利益の大半を家賃収入で補っている状況と言われています。
しかし、販売数をV字回復させることは100%不可能です。
ファミレスなどで、試し読みとして配布していますが、そのような対策だけでは「焼け石に水」です。
そもそもファミレスにくる層は新聞を読みません。
ということは、販売収入というビジネスモデルを壊して、早急に新たなビジネスモデルに移行しなければ倒産の危機に陥るのは確実です。
これは、もう結論なのです。あと数年が限界です。
海外では販売による収入より、広告収入をビジネスモデルの中心とするのが普通です。
新聞社をV字回復させる対策案
このままビジネスモデルを続ければ倒産するのは確実ですので、開き直った対策をするしかありません。
どうすればいいのか?下記3点に集中することが必要です。
- デジタル化の推進
- 広告収入のビジネスモデル再構築
- 新たな収入源の確立
販売収入が増加しないことがハッキリしている訳ですから、上記3点に集中するのが賢明でしょう。
それぞれ考えてみましょう。
- デジタル化の推進
新聞社は各社でデジタル化を推進していますが、化ける可能性は非常に低い状況です。
各新聞社単体のサイトへのアクセス増により、紙を補うだけの広告収入増は見込めません。
スマートフォンやPC以外への配信が必要になってきます。
日本経済新聞のサイネージ配信の取り組みが大きなヒントになるでしょう。
ただし、残念ながらタイアップ先のセンスが良くありません。
上手に構築すれば大きなビジネスになる可能性があります。
ここでは伝えきれませんが、大化けする方法は他にありますので、是非頑張って欲しいとこです。 - 広告収入のビジネスモデル再構築
これは新聞の無料化しかないでしょう。販売収入から広告収入へビジネスを変換するのです。
大きな決断が必要ですが、販売収入減り続ける訳なので、積極的な決断が必要です。
この部数増加は、3の新たな収入源につながっていきます。 - 新たな収入源の確立
新聞社は日本各地に大きな財産を持っているのです。それは販売店です。
日本全国に販売店を持っているのは新聞社が誇れる大きな武器と断言できます。
この存在を大事にしなければいけません。
しかし、今は「押し紙」の負担とチラシ収入の減少により販売店は疲弊しています。このままでは無くなってしまいます。
まずは、無料化により販売店を活性化することが重要です。
部数増加によりチラシ収入が増加、販売店に体力を付けなければいけません。
販売店の活性化と同時に取り組むべきことは
- 宅配業務への取り組みです。宅配業界が人手不足な時代において、日本各地に点在する販売店は重要な役割を果たすことが可能です。
朝刊と夕刊(夕刊は無い新聞社の方が多い)のみに対応していては非常に無駄が発生しています。
販売店を元気にして人を雇用していきます。 - 販売店の人材レベルは高くありません。
しかし、販売店に優秀な人材を配置することで、高齢化社会の日本では福祉関係の仕事が発生する可能性があります。
日本全国の過疎地にまで点在する販売店は貴重な存在と言えます。
新聞社は人余りが深刻になりますので、一石二鳥です。 - 福祉関係への取り組みには『IT化』は必須です。販売店の『IT化』はセキュリティ・医療分野で大きな活躍が見込めます。
交番と連携することも可能でしょう。リアルな販売店の『IT化』は国にとっても重要な存在になります。
今こそ新聞社が持つルートを最大限活用すべきでしょう。
国や地方自治体、そして『IT業界』などと連携し、新たなビジネスモデルを構築するのです。新聞社はパートナーである販売店とセットでビジネスモデルと構築するのは非常に重要であり、当然の選択肢なのです。
新聞社の新たなビジネスモデルを考えてみました。
新聞社が立ち直る方法は経営者の決断次第です。
サイネージへの取り組みなど、日本経済新聞社より良い方法がありますが、そのあたりは今後第2段、第3弾として書いてみたいと思います。
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