新聞社及び新聞広告について

2020年7月の新聞発行部数

新聞発行部数(2020年度7月度)

 

広告業界は新型コロナが直撃し厳しい状況が続いています。
2020年の上期ではテレビ広告が前年費で90%程度。ネット広告でも前年割れが予想されています。

当初は在宅により、テレビ広告や新聞広告には“追い風”という予測もありましたが、
在宅=テレビ・新聞という流れにはなっていないようです。

 

では、コロナ渦真っ只中の新聞の「発行部数」「新聞広告」に関して検証してみましょう。

 

在宅が新聞に追い風にならない理由

 

在宅が新聞に追い風にならない理由は多々あります。
その理由を、新聞の「発行部数」と「広告収入」の両面が考えてみましょう。

新聞の発行部数から

 

  • コロナによる不況により新聞の購読を中止する家庭が増加している。
  • コロナによる不景気により飲食業での新聞購読も低下している
    (まわし読みも出来ず経費削減の観点からも購読の理由がない)
  • 旅館等でもコロナにより新聞を置かなくなった。
  • そもそも、在宅時はテレビやネットに接続できる環境の為、ニュースは新聞に頼る必要なし(ネットやテレビで充分)
  • 感染者数など「今知りたい情報」に対して新聞に優位性がない
  • コロナ渦による不景気の中新聞の購読を止める理由はあるが、購読をはじめる理由はない。

 

新聞広告収入から

 

  • イベント等の自粛による新聞広告の減少(イベントの告知は結構多い)
  • スポーツイベントの減少によりスポーツ面及びスポーツ新聞のニーズが減少
  • 新聞広告の多く占めていた旅行業の出稿減少(年配者向けの旅行会社は新聞のメインクライアント)
  • 遊戯施設などの新聞広告減少
  • 外出自粛により化粧品の広告が減少(マスクにより化粧品の売上減により)
  • コロナ渦により新聞の購読者が増えないことは皆分かっている

等が考えられます。

コロナにより消毒液やマスクなどの出稿増もありますが、減少をカバーするだけの増加は見込めません。
新聞業界は、発行部数・新聞広告の両面からコロナが直撃していると判断していいでしょう。

 

では、いつも通り発行部数もチェックしてみましょう。

 

2020年7月の5大紙(新聞発行部数)

 

5大紙の7月度を前年比及び2020年5月からの2か月間の推移で検証してみます。

  • 読売新聞:2020年5月(7,623,780)
    ⇒2020年7月(7,498,690)
    5月比/2ヶ月間比(-125,090
    前年比(-475,480
  • 朝日新聞:2020年5月(5,083,583)
    ⇒2020年7月(5,013,399)
    5月比/2ヶ月間比(-70,184
    前年比(-436,688
  • 日本経済新聞:2020年5月(2,069,880)
    ⇒2020年7月(2,069,670)
    5月比/2ヶ月間比(-210
    前年比(-229,851
  • 毎日新聞:2020年5月(2,198,324)
    ⇒2020年7月(2,117,818)
    5月比/2ヶ月間比(-80,506
    前年比(-227,630
  • 産経新聞:2020年5月(1,315,039)
    2020年7月(1,284,320)
    5月比/2ヶ月間比(-30,719
    前年比(-80,558
  • 5紙合計:2020年5月(18,290,606)
    2020年7月(17,983,897)
    5月比/2ヶ月間比(-306,709
    前年比(-1,450,207


2020年7月の総発行部数は17,983,897部
前年比でー1,450,207です。

また、コロナ渦での5月からの2か月間での減少部数は、-306、709部です。

2ヶ月間で30万部以上の部数減は大きな数値です。
ちょっとした地方紙が1社から2社消滅している計算です。

コロナ渦での2か月間の減少部数を年間に換算すると、
【306,709×6か月間=1,840,254】となります。

新聞の母数が減る続けている状況で前年以上の部数減が予想されるのは非常事態かもしれません。

コロナ禍による在宅で新聞のニーズが高まるという予想は間違いで、
新聞業界は厳しい状況が続いていると言えるでしょう。

今後も、

  • 旅館や飲食店での新聞の“まわし読み”は当面見込めません。
  • 宿泊施設を直撃している状況で各部屋への配布も減り続けています。
  • 不景気により新聞の解約も増え続けます。
  • リアルタイムが当たり前の時代に時間遅れの情報提供に対するニーズは減少しています。

 

今の推移が継続すると、
年末には5紙で1,700万部。2021年末には1,500万部程度になるでしょう。

 

『押し紙』を加味した実売部数

 

最後に『押し紙』を加味した実売部数も計算みましょう。
押し紙率は30%で計算します(毎日新聞は50%)

  1. 読売新聞:7,498,690→5,249,083
  2. 朝日新聞:5,013,399→3,509,379
  3. 日本経済新聞:2,069,670→1,448,769
  4. 毎日新聞:2,117,818→1,058,909
  5. 産経新聞:1,284,320→899,024

毎日新聞と産経新聞は100万部割れ。
500万部をキープしているのは読売新聞。
ここ数年逆風が強くなっている朝日新聞は300万部台。
という状況でしょう。

紙だけでは新聞社の維持が厳しいのは間違いありません。
デジタル化を急速に進める以外に生きる道はありません。

 

 

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