新聞社の売上の推移を2004年から2014年の10年間で検証
新聞社の売上構造
新聞社の売上げは、販売収入・広告収入・その他売り上げの3項目により構成されています。
2014年度の新聞社全体の売上げは、2004年比で、76.7%と約25%売上げが減少しています。金額では5,531億円の減少となっています。
項目別では、販売収入が85.6%(15%減)、広告収入が55.4%(46%減)、その他売り上げが90%(10%減)となっており、構成要素の中では広告収入の急激な減少が目立ちます。
販売収入と広告収入は比例して減少するのが普通ですが、販売収入よりも広告収入が大きく減少しているのは販売部数が押し紙により実際よりも多く計上されているからです。
『押し紙』で販売部数の操作をしても、実際の販売部数が少なくなっていますので、
広告効果までは操作することができず、新聞広告の効果減少に対して広告主が敏感に感じ取って広告費用を減らしているのかもしれません。
新聞社の今後
新聞の販売部数が回復する見込みはありません。広告効果は減少しますので、比例して広告収入も減少を続けます。
『押し紙』問題という大きな問題の解決も先延ばし状態ですので、今後新聞社の売上がV字回復する要素は一切ありません。
日々販売部数が減り続ける中、大きく乖離してしまった実売部数との誤差を正すのは容易ではありません。
唯一、軽減税率の適用を業界として働きかけていましたが、消費増税が延期になりましたので特にインパクトもありません。
しかし、軽減税率が適用になっても「軽減税率が適用になったから新聞読もう!」と思う人が出現する可能性はありませんので、
いずれにしても新聞社に将来はありません。
逆に、新聞社が政治家に働きかける姿はマイナスイメージになるだけでしょう。ネット社会の若者は敏感です。
生き残る新聞社は?
しかし、全ての新聞社が無くなることはありません。ビジネスモデルを変えた姿で生き残ります。
中でも、読売新聞・朝日新聞・日本経済新聞の3社と有力な地方紙は、生き残る可能性は高いでしょう。
特に、読売新聞社と朝日新聞社は部数の多さもありますが財政基盤が良いので当面はは大丈夫です。
日本経済新聞は存在理由が明確です。デジタル版を中心としたビジネスモデルはビジネスマンの強い支持があります。
一方では、7割の「押し紙」を実施している全国紙の毎日新聞社が存続する理由はありません。
インターネットの普及により必要な時に必要なだけ情報を取得できる時代に、翌日に紙という媒体で届き、しかも必要な情報以外が多くの比率を占める新聞というビジネスモデルが若年層には受け入れられることはありません。
デジタル化への取り組みをどうするのか?新聞社の命運を握る大きな課題です。