広告代理店というビジネスが今、転換期を迎えているのは、あなたもご存知の通りです。
従来型のメディアを「仕入れて売る」だけのモデルでは、これからの時代に持続的な成長は見込めません。そう感じている広告業界関係者は多いはずです。
デジタル化が進み、媒体と広告主の間をつなぐ“バイイング代行”だけでは差別化が難しくなってきました。AI、インハウス運用、KPI至上主義など、さまざまな変化が押し寄せる中、広告代理店は“分かっているけど、どうしていいか?分からない”というのが現状です。
そのような状況の中で、Starlink(スターリンク)という通信インフラは、一見すると広告と関係のない領域に思えます。しかし、この動きこそは、広告業界にとっても新たなビジネスモデルのヒントとなる可能性を秘めているかもしれません。
なぜStarlinkが広告業界でも注目すべき存在なのか
Starlinkは、米スペースXが展開する低軌道衛星インターネットサービスです。地上の通信回線が届かない山間部や離島、あるいは災害時でも高速インターネットを提供できるこの技術は、まさに“生活インフラ”そのものといえる存在です。
2025年現在、日本国内のユーザーはおよそ15万人と推計されています。数字だけ見ると“広告的なターゲットボリューム”としては小さいと感じる方もいるかもしれません。しかし、ここで重要なのは「人数ではなく重要性」です。
Starlinkが接続するのは、社会的・地理的に“届きにくい人々”です。通信が整えば、行政サービス、教育、医療、そして情報=広告もまた、そこに届くようになります。

これは広告業界にとって、「今まで広告が打てなかった場所」を「新たな広告接点」に変える可能性を意味します。
補足:98%の接続率の“裏側”にある現実
総務省の発表では、日本の光ファイバー世帯カバー率は約99%とされています。これは「理論上、接続可能な世帯」の割合を示したもので、全国どこでもインフラが整っているように見えます。
しかし実態は異なり、山間部や離島などの“最後の2%”には物理的・経済的な壁があるのが現状です。また、自然災害時には都市部であっても通信網が一時的に寸断され、“つながらない時間”と“つながらない空間”が確実に存在するのです。
このような未接続エリアや災害発生時に、唯一のインフラとして機能する可能性があるのがStarlinkです。つまり、表面的な普及率の高さに惑わされず、「2%の空白」に目を向けることが、広告業界にとっても重要なのです。
日本は世界でも有数の災害多発国です。地震、台風、津波・・・そのたびに通信網が一部機能しなくなる現実があります。そんな時でも、Starlinkのような宇宙通信インフラは「止まらない情報線」として活躍が期待できます。
広告業界にとっても、災害時の広報・連絡・告知を支える通信手段としてStarlinkを捉えることは、ビジネスチャンスとして可能性がおおいにあるはずです。
日本企業とStarlinkの接点は着実に増えている
通信キャリアのKDDIは、すでにStarlinkとの連携を進めています。
災害時の予備回線や離島へのサービス提供、さらには法人向けのソリューションとして、Starlinkを活用した事例が増えています。地上波なのどのCMで見たことがある人も多いでしょう。
また地方自治体でも、防災訓練や避難所通信の確保においてStarlinkを導入するケースが見られます。加えて、建設現場・農業・船舶など「移動する拠点」や「通信が届きにくい現場」での利用も拡大。こうした動きは、企業の広報・情報発信ニーズと重なり合う領域でもあるのです。
広告代理店が果たすべき新たな役割
広告業界・代理店にとって、Starlinkがもたらす最大の価値は、単なる「広告出稿の面を増やす」ことではありません。情報インフラの進化に伴って、広告接点が“拡張”されることこそが大切なのです。
たとえば:
- 災害時、避難所に情報が届かない課題 → Starlink×行政広報で改善 → 広告業界はその設計と発信を担える
- 建設現場や農業拠点での通信確保 → 教育コンテンツやBtoB製品紹介の新たな導線に
- 離島の教育機関 → デジタル教材+スポンサー企業の共同企画という文脈での提案も可能
つまり、広告代理店の機能は「生活者への接点設計者」へと広がるということです。単にメディアを手配するのではなく、情報の流れを社会にどう届けるかという「構造設計」に関わることが可能になるのです。
少人数=小市場ではない。“人数以上の価値”がある領域
前述の通り、「100万人」という規模だけを見ると、マス広告のターゲットとしては小さいと思われがちです。しかし、Starlinkがつなぐエリアは、高付加価値な情報流通が求められる空白地帯です。
ここに情報が届くことで、「人が動き」「行政が機能し」「経済が循環する」・・・つまり人数以上の社会的インパクトが生まれ得るのです。
このような領域では、CPCやCPMでは測れない「価値」が存在します。そして、その価値を正しく翻訳し、社会やクライアントに伝えられるのは、まさに広告代理店の仕事なのです。
これからの広告業界が取るべき一歩
2026年には多くの自治体がStarlinkを含む災害対応インフラの予算編成を本格化させると見られています。企業もまた、遠隔地向けの事業展開や通信確保を新たな経営課題として認識し始めています。
広告業界は、この流れを眺めているだけではいけません。そのために必要なのは、広告という枠を超えた提案力と、社会の変化を読むことです。特に地方密着の広告代理店の方などは良く考えてみるといいでしょう!

