コラム

【値引き】と【値上げ】儲かるのはどっち?

値引きと値上げを比較

企業の売上げを左右するのは『価格設定』と『値引き』そして『値上げ』です。

商品やサービスの販売を開始する場合、最初に検討するのは価格設定です。
市場調査や競合他社の販売価格の状況などを調査して『価格の設定』を検討します。

しかし、定価を設定しても、永遠に定価販売が継続することはありません。

  • 競合他社の『値引き』
  • 販売店での『値引き戦略』
  • 新規顧客獲得の為のフロント価格設定(顧客を呼び込むための値引き)

 

など、定価を守り続けることは不可能です。

 

今回は、日常的に実施される『値引き』と『値上げ』の関係について考えてみます。

企業が売上を上げる為に、実施される戦略の多くは『値引き』です。
『値上げ』が実施されるケースはほとんどありません。10%未満でしょう。

では、本当に『値引き』は売上を上げる為に効果的なのか??

検証してみましょう!

 

 

『値引き』と『値上げ』を検証

『値引き』は、決算前・閑散期を中心に実施されるのが普通です。
有名なのは車ですね。決算期やリニューアル前が購入するタイミングとして有名です。

また広告業界も同様です。
残枠の販売や年末・期末などに積極的に『値引き』販売が行われるのが普通です。

しかし、最近は広告不況やデフレなどの影響から、『値引き』は繁忙期でも普通に実施されるようになりました。
『値引きは麻薬と一緒』と言われる所以です。

『値引き』が日常化することで、通常価格での販売ができなくなってしまう営業マンも多くいます。
「値引き」以外で自社のサービスの魅力を伝える営業力が無くなってしまうのです。

では、本当に『値引き』は効果的なのか?『値上げ』は本当に良策ではないのか?
数字の面から検証してみましょう!

 

『値引き』と『値上げ』を数字から検証

『値引き』と『値上げ』の違いを分かりやすく検証する為に、下記を条件にしてみます。

  • 売上期間:1カ月間
  • 顧客数(販売数)100人
  • 売上単価1万円
  • 仕入単価8千円
  • 利益2千円
  • つまり、1カ月間の売上は100万円、仕入額80万円、利益20万円となります。

この条件を元に『値引き』と『値上げ』をした場合の売上を計算してみます。


『値引き』と『値上げ』の条件を下記に設定

 

  • 9千円に値引き、値引き効果により、販売個数は120個に増加
  • 1万2千円に値上げ、値上げにより、販売個数は80個に減少

 

この条件で得られる売上及び利益は下記の通りです。

  • 現状:100個販売(売上100万・仕入80万・利益20万)
  • 値引き:120個販売(売上108万・仕入96万・利益12万)
  • 値上げ:80個販売(売上96万・仕入64万・利益32万)

値引きにより、販売数が1.2倍に増加しても、利益は当初の6割しか達成できません。
一方値上げでは販売数が2割減少しても利益は1.6倍に増加します。

『値引き』を実施しても、現状と同額の利益を捻出するのは、値引き後で販売数を2倍にしなければなりません

一方値上げでは、販売数が半減しても利益は同等となります。

  • 現状:100個販売(売上100万・仕入80万・利益20万)
  • 値引き:200個販売(売上180万・仕入160万・利益20万)
  • 値上げ:50個販売(売上60万・40万・利益20万)

 

『値引き』をすると企業の利益は大きく減少することが分かります。

 

値引きのデメリットと値上げのメリット

値引き後に、値引き前と同じ利益を得るには、販売数を増やさなければなりません。
いわゆる「薄利多売」戦略を選択したことになります。

結果として、現場の負担が増えて、残業代の増加となり、人件費の増加が発生します。
一見、仕事量も増えて活気があるように思えますが、売上という数字から考えると勘違いです。

しかも、『値引き』は、ただの安売りですので、ノウハウが会社に財産として残ることもありません。

 

 

非常に高いリスクを秘めているのが『値引き』です。

 

一方で、『値上げ』は異なります。

販売数は減るかも知れませんが、ある程度の販売減までは利益は確保できます。
それだけではありません。現場の負担は減少、人件費を抑えることも可能です。


現場の負担が減るということは、新規顧客の獲得戦略や既存顧客のサービスの向上に労力を集中させることが可能になります。

最終的には、高価格での優良顧客が増え、サービス向上によるリピーターの増加が見込めます。

 

 

サービスの向上、優良顧客の増加、人件費の抑制が期待できるのが『値上げ』です。

 

まとめ

『値上げ』は多くの企業が避ける戦略です。しかし、企業の利益に大きく貢献するのは『値上げ』です。

顧客サービスの向上など長期的に企業価値を上げることも可能になります。
一方で、『値引き』は短期的な価格のみが魅力の顧客サービスになる可能性があります。商品の価値も下がります。
『値引き』が終了した後は売上が一気に下がる可能性もあります。

価格のみがセールストークになる『値引き』では社内的な営業のノウハウも蓄積されません。
営業マンのスキルも大きく下がります。結果として『値引き販売』の回数は増加を続けます。

年に1回だったバーゲンセールが年に4回になった。年間を通じて実施するようになった企業が多く存在します。

また、最近では【価格を含めて商品価値がある高額商品】でも『値引き』が実施されるようになりました。
このような戦略は既存の固定客の満足度も大きく下げてしまいます。

 

顧客のサービスの向上につながる『値上げ戦略』は企業の成長戦略において威力が絶大です。

『値引き』が日常化されている方は、一度『値上げ』の戦略についても検討することをオススメいたします。

 

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