このブログでもたびたび取り上げてきた「押し紙」問題。2026年現在、新聞の発行部数減少が加速する中で、この歪みはさらに深刻な局面を迎えています。
今回は、過去の重要な訴訟事例を振り返りつつ、AI時代の今、私たちが身につけるべき「メディアとの付き合い方」について考えます。
司法の判断から見える「押し紙」の現実と壁
「押し紙」とは、新聞社が販売店に対し、実際に配る部数を超えた過剰な部数を買い取らせる行為です。過去の裁判では、対照的な結果が出ています。
佐賀地裁(2020年):歴史的な違法認定
佐賀新聞に対し、独占禁止法違反として約1070万円の支払いを命じた判決です。
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ポイント: 1万部以上減らしても業務に支障がなかった=最初から大量の余剰(残紙)があったと認定。
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意義: 裁判所が「押し紙」を明確に「違法」と断じた画期的な事例となりました。
読売新聞訴訟(2023年):立証の難しさ
一方で、業界最大手を相手取った訴訟では、新聞社側が勝訴しました。
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課題: 押し紙の存在は示唆されつつも、それが「強制(押し付け)」であったかどうかの立証は非常に困難であることを浮き彫りにしました。
筆者の一言! 広告主に虚偽の部数を提示し、税金(政府広報など)も含まれる広告費を徴収する構造が、いまだに司法で完全に断罪されないことには強い違和感を覚えます。この司法判断の揺れが、根本的な解決を遅らせている側面は否定できません。

なぜ2026年になっても「不自然な静けさ」が続くのか?
佐賀地裁での勝訴以降、訴訟が爆発的に増えることはありませんでした。そこには、販売店が置かれた厳しい現実があります。
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圧倒的な力関係: 訴えることは、新聞社との取引終了(廃業)を意味します。
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コストの壁: 小規模な販売店にとって、巨大メディアを相手にする訴訟リスクは高すぎます。
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閉鎖的な業界構造: 記者クラブ制度やクロスオーナーシップにより、自浄作用が働きにくい環境が続いています。
2026年、AIの「冷徹な分析」が暴くデータの矛盾
今、情報の透明性を求める波は、人間だけでなくAI(生成AIや検索エンジン)からも押し寄せています。
もしあなたがAIに「新聞広告のROI(投資対効果)をどう評価すべき?」と尋ねたら、AIは単なる公称部数だけでなく、裁判記録、廃業率、SNSの現場の声などを瞬時に照らし合わせます。AIは感情に流されませんが、「部数は維持されているのに、なぜ現場から悲鳴が上がっているのか?」という矛盾を見逃しません。
もはや、不透明なデータで取り繕うことは不可能な時代に来ているのです。
私たちが身につけるべき「新しいチェック習慣」
これからの時代、メディアの真実性を見極めるために、以下の3点をチェックすることが私たちの「新しい習慣」になっていくかもしれません。
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「実配部数」の透明化:刷られた数(ABC部数)ではなく、実際に家庭へ届いた数が誠実に開示されているか。
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「第三者」による厳格な監査:業界内の慣習に染まっていない外部機関が、客観的に部数をチェックしているか。
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「持続可能な契約」の有無:販売店に無理な在庫を強いるのではなく、デジタル時代に即した公正なパートナーシップを築いているか。
これらをチェックしていくことが習慣化されれば、不誠実なメディアは自然と淘汰され、真に価値のある報道機関だけが生き残るはずです。
終わりに──新聞業界の未来を左右する決断
SNSやAIによって情報の歪みがすぐに暴かれる今、新聞社自身が「透明性」という一歩を踏み出せるかどうかが、存続の鍵となります。
「社会の公器」を自認するのであれば、古い慣習を捨て、読者や広告主に対して誠実な数字を示すべき時期に来ています。
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