第五弾:インハウス化時代の「広告効果測定」は何が変わるのか?

広告業界の課題と提言

これからは、アナログやデジタルの垣根は無くなります。全てのアナログメディアがデジタル化されAIが活用されるようになります。

そして、すべての広告に「測定」と「説明責任」が求められる時代になります。

広告効果に対する「説明責任」を問われる時代へ

これまでの第四弾までで、広告業界がAIとインハウス化の波を受けて、構造的な変化に直面していることをお伝えしてきました。

次に待ち構えるのが、「広告効果の測定」と「その成果の説明責任」という段階(テーマ)です。

かつては広告の成果といえば、「なんとなく売上が伸びた」「好意度が上がった気がする」など、曖昧な指標でも許容されてきました。

しかし、今の広告主は違います。広告代理店やメディアパートナーに対して、

その施策は、何をどう変えたのか?

投資に見合った成果は、どう説明できるのか?

と、厳しく問い始めているのです。

この流れは、デジタル広告だけでなく、テレビCMや新聞広告、OOH広告(屋外)などアナログメディア全体に波及しつつあります。

第1章:デジタル広告で進む「成果の可視化」と“測定疲れ”

デジタル広告では、効果測定の進化が特に顕著です。

  • クリック率
  • コンバージョン数
  • 顧客獲得単価(CPA)
  • ROAS(広告費用対効果)

これらがリアルタイムで確認できるため、運用改善がしやすく、広告投資の最適化が可能になりました。しかし、その一方で起きているのが“測定疲れ”(※)です。

補足:なぜ「測定疲れ」が深刻化しているのか?

一見すると「施策の効果を数字で証明すること」は、当たり前の仕事に思えるかもしれません。実際、広告が投資である以上、その成果を可視化して説明することは当然の責任とも言えます。しかし、現場ではこれが単なる“効果測定”ではなく、“効果を証明し続けなければならない重圧”に変化している可能性があります。

  • 施策ごとに細かなKPIが設定され、レポート作成が目的化してしまう

  • 数字を説明するために“やらなくてもいい改善”に時間を取られる

  • 成果が出るまでに時間のかかる施策が敬遠され、短期戦略ばかりになる

こうして本来はブランド構築や顧客理解といった“長期的な成果”を目指すマーケティングが、短期指標に引きずられるという逆転現象が起きているのです。

すべての施策に数字の根拠が求められ、担当者は常にKPIに追われるようになりました。

これにより「短期指標に最適化しすぎる」問題も浮上。

たとえばブランド認知やファン化といった“長期価値”が軽視され、目先の数字だけを追いかけるような運用になりやすくなっています。

第2章:アナログ広告にも求められる“成果説明力”

かつては測定が難しいとされていたマスメディアやOOH広告も、今や成果の説明責任から逃れられません。

  • テレビCM:スマートテレビの普及で視聴ログが取得可能に
  • 新聞・雑誌:QRコードや専用URLで読者行動のトラッキングが可能に
  • OOH(屋外広告):スマホの位置情報データを活用したインプレッション推定

これらのテクノロジーの進化により、アナログ広告でも「ある程度の成果推定」が可能になっています。

さらに広告主は、「説明できない広告には、投資しない」という姿勢を強めてくる可能性があります。媒体側も“測定できる根拠”をセットで提案する時代になってくるでしょう。

たとえば駅のデジタルサイネージであれば、

通行者数 × 位置情報ログ × クリエイティブ別CTR(類似配信データ)

というような設計で、ある程度の成果をロジカルに提示する必要があります。

 

 

たとえば、「この駅で15秒CMを流したら、どのくらいの人が興味を持ったか?」を正確に測るのは難しいですが、過去に似たような駅・似たような広告でどんな反応があったかのデータを参考にすることで、「このくらいの反応は見込めそうです」と推定することができる時代になってきています。

第3章:広告代理店に求められる「統合効果測定力」

広告主は、バナー1枚のクリック率ではなく、「マーケティング活動全体の効果」を見ています。

つまり、以下のような問いに答えられる代理店が選ばれるようになります:

  • デジタル広告とマス広告が相乗効果を生んだか?
  • 店頭プロモーションとOOHが連動したか?
  • 認知施策が売上や購買にどう波及したか?

このような「全体最適」の視点で、効果を可視化・分析・レポーティングする力が、代理店の新しい価値になります。さらに、「この施策はデータ上では失敗に見えるが、長期的に見れば効果がある」といった“戦略的説明力”も求められるでしょう。

結論:これからの広告は「効果が見える設計」から始めよ

今後の広告活動では、「打って終わり」の時代は完全に終焉を迎えます。

すべての施策は「効果をどう測るか?」という疑問から始まり、「成果をどう説明するか?」という責任で終わる時代になります。

その中で、代理店や広告担当者に必要な能力は「設計力」だけでなく「説明力」です。

インハウス化が進む今、企業はその2つの力を社内に取り込みたいと考えているはずです。

だからこそ、広告の成果を可視化した上で、ストーリーとして語れる人材こそが、これからの広告業界に必要な人材になるのです。

 

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