大型ビジョン設置の流れ

屋外広告の知識

大型ビジョン設置の方法

 

大型ビジョン設置の考え方で質問が数件ありましたので、
仮定の案件を想定して大型ビジョンの設置の方法について説明します。

 

この考え方に基づいて設置の可能性を考えていただければ問題ありません。

 

 

大型ビジョン設置の考え方

実際の案件を例に考えた方が分かりやすいので、新宿に設置するとして考えてみましょう。

  • 設置場所:新宿地区
  • 設置サイズ:50㎡(新宿アルタビジョンの半分程度)
  • LED設置費用:基本的な定価として6000万を想定(LED代、工事費用込み)
  • 壁面使用料:月額100万円(年間1200万円)

 

つまり初期投資費用が6000万。ランニング費用(家賃分)が毎月100万円がスタートとなります。

大型ビジョンのような多額の投資が必要な広告媒体を設置する場合は、
最初に収入を想定してから費用の検討に入ることが重要です。

 

大型ビジョン設置のポイント

 

最初に費用を確定してから収入の想定に入ることは絶対にしてはいけません。
(費用に無理やり収入を合わせる計算をすることになります)

 

ハードの購入方法を確定

最初に決めることは、ハードの購入方法です。
ハード代金の6000万は、

  • リースとするか?
  • 現金購入で減価償却するのか?

確定することが必要です。

支出金額は大きく変わりませんので設置が確定後に決定しても問題はありませんが、
収支の詳細を検討する時点で必要となりますので、初期段階でイメージしておきましょう。

 

現金購入で自社の資産にすると、固定資産となり減価償却など経理上の問題があります。
資産にならないリース契約が一般的です。

ただし、ハード金額は収入の見込み金額に応じて圧縮していくことが重要(可能)ですので、
ハードの発注は慌ててする必要はありません。

 

 

収支の計算

購入方法を検討しながら、最初に実施すべきは収支の計算です。

収支の計算で必要となる支払コストは、

  1. ハードのリース代
  2. 壁面使用料
  3. 電気代
  4. オペレーション代
  5. メンテナンス代(通常2年目以降)

上記5点が中心となります。

では、新宿の案件を条件で大型ビジョンの広告事業を開始していいのか?を考えてみましょう。

上記条件の場合、6年リースを想定すると毎月必要なコストは、
リース代(100万円)と壁面使用料(100万円)で約200万。
その他経費(50万)をプラスするとザクっと250万(月々)となります。
※人件費は別途。

 

広告収入を想定

次に検討することは広告収入の想定です。
ザクッと上記内容にて支出のイメージはありますが、
一度支出金額は忘れて客観的に収入を想定します。

支出の金額を忘れないと、
その金額に合わせて考えてしまうので、この段階では完全に忘れてください。


広告収入を考える時に最優先して考えることは、
安定収入となる【長期契約】の広告主を獲得できるか?
です。

長期契約となる安定収入が確定しない限り事業として開始することは危険です。
安定収入の確保は最も重要な作業です。

しかし、余程の好立地で無い限り大型ビジョンに簡単に年間の長期契約が入る可能性はありません。

「スタートすればいずれ何かあるだろう」という発想は厳禁です。
ビル側の協力によりビジョンの化粧枠(フレーム)などを活用したネーミングライツの可能性はあるのか?など幅広く検討します。

先入観で選択の幅を狭めてはいけません。人脈もフル活用するのがこの段階です。
年間契約で毎月のコストをトントンまで賄えるまで検討します。

この収支の計算はできる限り自社で検証してください。
根本部分を安易に外注するのは事業に対して無責任な行動です。

次に検証するのは、年間契約以外の収入としての短期間の広告収入です。
いわゆる【スポット収入】です。

スポット契約は1週間程度の放映が基本となります。

この短期間のスポット放映が毎月10件くらいあるだろう。
と安易に考える人が多くいますが、スポット放映は一等地を除いては毎月2件程度が上限です。

新宿の場合は近隣の大型ビジョンの短期の放映料金は70万円~120万円ですので、
60万円程度を放映料金と想定するのが無難です。
ここから広告代理店のマージンを考慮すると1件あたりの収入は40万円です。

毎月2件とすると毎月の収入は80万円です。
年間契約がない場合、スポット収入だけだと毎月80万円の収入にしかなりません。

つまり、毎月のコストを250万としてしまうと、毎月170万円の赤字が発生することになります。
広告事業として成り立ちません。

もし毎月100万円の年間契約が獲得できたのであれば、年間契約とスポット収入の合計金額を上限として事業を再考します。
毎月180万のコストで収支がトントンということになります。

この段階まで収支を計算してから、はじめて具体的なコストの検討に入ることができます。
ビルの家賃は毎月20万円。ハードのリース代は毎月30万円。など想定された収入に基づいて支出部分を確定していきます。
ハードの仕様は捻出可能な金額に見合ったハードにしなければいけません(※)

 

オペレーションは外注すると毎月30万から100万以上必要になりますので、自社運営も選択肢となってきます。
ただし、自社運営の場合、人材の確保や放映の為の送出関連の機材の購入などの初期費用及びランニングコストも必要になります。
特に初期の機材の購入費用は負担になります。

運営だけなのか?営業面もみてもらうのか?で費用は大きく異なってきますので、

社内体制も含めて、しっかり検討しましょう。

収支計算

結果として、自社で運営できないのであればしっかりとした運営先を探します。
ある程度、営業面での貢献も見込めるようであれば100万以上の費用も検討範囲に入ります。
100万円前半レベルで営業と運営の両面を賄えれば御の字でしょう。

営業は自社で配信だけの依頼であれば、50万程度が普通でしょう。

安価な運営会社に依頼をするとオペレーション内容が悪く臨機応変な対応が出来ず、
結局高額な費用が必要になる場合が多々ありますので注意が必要です。
多くのオペレーション会社は週1回の変更以外は別途有料という内容で結果として高額になりますので、安価な会社は危険です。

できれば広告営業にも精通した運営会社がBESTでしょう。

※LEDは素子の大きさによって価格が異なります。10mm<8mm<6mmというように小さなサイズになるほど価格は高価になります。
「6mmの時代ですよ」などの誘惑に負けずに広告収入に見合ったハードを選択しましょう。
しかし、安価すぎる外国製のハードは故障のリスクがあり危険です。外国製の安価なハードしか購入できない場合は事業を開始するのは中止しましょう。
国内で設置実績のあるハードを設置します。

 

まとめ

大型ビジョンはコストが高い為に、長期間の運営が必要になります。

ハードのリースが6年であれば、リース終了後の7年目から大幅な黒字が見込めます。
1年目から黒字を望むのであれば、年間契約の大口契約は外せません。
しっかりとしたビジネスパートナーを選定して、初期段階で収入を検証しなければいけません。

繰り返しになりますが『支出金額に収入金額を合わせるのではなく、収入金額に支出金額を合わせる順番で考えましょう』

収入→支出の順番で考える。

この発想で検討すれば大きな間違いの可能性は低くなります。

 

 

前編:大型ビジョン設置の考え方も参考にしてください。

 

 

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