【2025年版】大型ビジョンを効果的に活用する最新戦略とは?

広告業界トレンド・未来予測

現代の広告業界は日々進化しており、DOOH(Digital Out Of Home Media)はその中でも注目すべき分野の一つです。

本記事では、特に大型ビジョンを対象に、2025年における効果的な活用方法を独自の視点から提案します。従来の慣習や感覚に頼るだけでなく、現場感覚と最新のマーケティング手法を融合させた実効性重視のアプローチをご紹介します。

DOOH広告とは?

DOOH広告は、主に街中や公共交通機関、商業施設などに設置されたデジタルサイネージを活用した広告手法です。東京、大阪、福岡、札幌などの主要都市を中心に展開が進んでいます。

従来型OOH広告と異なり、放映内容を柔軟に差し替えられるなどの特長を持ち、他メディアと連携することで話題性やエンゲージメントを高めることができます。

 

DOOHマーケティングを最大限に活かす最新戦略とヒント

大型ビジョンの広告は、15秒の広告が1時間に4回放映されるのが基本パターンとなっています。つまり、1時間あたりの占有率は1/60です。これを考慮しながら、費用対効果や広告展開の有効性を慎重に考える必要があります。

 

活用目的別:2つの基本アプローチ

1. 店舗誘導型(ローカルビジネス向け)

  • 予算:月数万円〜20万円程度
  • 素材:静止画中心
  • 放映期間:中長期(1ヶ月以上)
  • 目的:じわじわと認知を獲得し、近隣来街者を実店舗へ誘導

このアプローチは、地方エリアや小規模なローカルビジネスに最適です。駅前や商業施設周辺など、日常的に通行量が安定している場所に向いています。訴求対象が地域住民に限定されているため、放映回数の蓄積によって「思い出してもらう広告」として機能します。

2. 多メディア連動型(全国・グローバル企業向け)

  • 予算:数百万円〜
  • 素材:TVCM素材などの動画
  • 放映期間:短期(1〜2週間)
  • 目的:テレビ、Web、SNSなどと連携し、全国的な話題喚起

こちらは主に都市型で展開され、業界売上に占める割合も圧倒的に高い、DOOH業界の主流戦略です。短期間で話題性を喚起し、SNSなどと連動した複合プロモーションの中心を担います。

渋谷・新宿・梅田などの都市型メディアで展開されることが多く、リーチ数・話題性・ブランド価値を一気に高める目的で使われます。

このように、1は地域密着型、2は広域展開型と分けて考えると理解しやすく、それぞれの戦略目的と効果を明確に整理することができます。

 

2025年の効果的な使い方:分散型+SNS連携が鍵

2025年時点では、DOOH戦略においては「やった感」よりも「実効性重視」の姿勢が不可欠です。

従来のように渋谷に高額な広告費を投じるアプローチは、SNS連動や事前告知が制限されるため、総合的なプロモーション効果を発揮しにくくなっています。

特に、渋谷のハチ公口では広告放映の事前SNS連動が明確に禁止されており、万が一違反した場合は放映が即時中止され、料金も返金されないという厳格なルールが存在します。

このように、SNSが普及している時代のキャンペーン展開としては非常に不完全な条件下であることから、費用対効果の観点でも、これまでの常識を見直す必要があります。

補足情報: 渋谷のハチ公口では広告放映の事前SNS連動が禁止されており、これに違反すると放映は中止、さらに広告料金も返金されないというリスクがあります。SNS連携が当たり前となった現代では、この点が大きなネックとなり得ます。

たとえば、渋谷以外の都内のメディア・地方都市や郊外の駅前に設置された中〜大規模のビジョンでは、広告費用が安価で、事前告知やSNS連動が可能です。

こうした環境を活かした多角的戦略を構築することはDOOHメディアを効果的に活用する為に非常に重要です。

 

  • SNS連動企画:放映と同時にSNS投稿を促進(例:ハッシュタグキャンペーン)
  • イベント連動:店頭プロモーションや試供品配布と組み合わせて話題化
  • Web誘導:放映画面にQRコードを掲出し、ECや予約サイトへ直接誘導。しかし、実際にはQRコードが読み込めないケースが多く報告されています。特に15秒という短い放映時間では、視聴者がスマートフォンを取り出して読み込むのは非現実的です。そのため、QRコードに代わる手段として、ポケモンGOのようなAR(拡張現実)技術を活用した仕掛けを展開するなど、よりユーザーの行動を促すインタラクティブな工夫が重要でしょう。

※ポケモンGOのような技術は実際に開発されており、限定したDOOHの視認範囲を有効に活用することが可能です。

このような分散型展開とSNS・デジタル連携を組み合わせることで、DOOH広告の本来持つ“インパクト”と“話題性”を最大化できます。

 

分散展開のすすめ:渋谷一極集中の再考

渋谷などの繁華街で高額な放映費用を投入するケースが多く見られますが、「人が多い=購買力が高い」とは限りません。実際に、渋谷の商店街などでは「人が多い割にモノが売れない」という課題が指摘されており、街全体として新しい都市開発や再構築が進められている段階です。

それであれば、圧倒的に広告費用が安価な他エリアに予算を分散することで、より多くの接触者を獲得し、リーチの最大化を図る方が合理的です。

 

例:渋谷1ヶ所に100万円かけるより、20ヶ所に5万円ずつ出稿した方が「広域なブランド認知」や「複数ターゲット層への訴求」が期待できるでしょう!

また、上記にも記載しましたが、渋谷では広告掲載において、事前告知やSNS連動施策が禁止されていることも多く、SNSとの相乗効果を前提としたプロモーションが構築できないというリスクも存在します。これは他のエリアでは当たり前に可能な施策であるため、渋谷ではそもそも選択肢から外れるべきとも言えます。

つまり、SNSが主流の時代において、SNSを無視する展開はプロモーションとして不完全です。「やった感」よりも「実効性」重視の分散戦略+SNS連動+Web誘導など、多角的かつ柔軟な展開がこれからは大切になってくるでしょう。

 

DOOH戦略における戦術比較

項目 単一エリア放映 分散エリア放映 データドリブン配信 SNS連携
接触人数
ターゲット精度
費用対効果
ブランド認知の持続効果

※重要:この表から分かるように、「分散×データ×SNS」の組み合わせは理論的には非常に効果的です。ただし現時点では、これら3つすべてに対応できる屋外広告メディアはごく一部に限られています。特に多くの街頭ビジョンでは、データ(位置情報や時間帯に応じた最適化など)に対応できていないのが現実です。つまり、どれほど理想的な組み合わせであっても、現場ではその実行に限界があります。今は、どのメディアが何に対応しているかをしっかり見極め、必要に応じて別の手段で補完する柔軟性が求められます。屋外広告に関わる人たちは、「データと連携した屋外広告」はこれから必須になると理解しておくことが大切です。

※データドリブン配信とは:位置情報や天候、曜日・時間帯などのリアルタイムデータを活用して、広告内容を動的に変更・最適化する広告手法。配信タイミングや表示内容をターゲットに最適化できるため、特に効果測定と再現性に優れる。

まとめ

DOOH広告、特に大型ビジョンは、単に目立つ場所で放映するだけでなく、広告主の目的や課題に応じて柔軟に設計できるメディアです。

重要なのは、以下のような要素を踏まえて、最も実効性の高い施策を立てることです:

  • どのような目的で出稿するのか?(認知拡大、店舗誘導、話題化など)
  • ターゲット層は誰か?(若年層、ビジネス層、訪日観光客など)
  • SNSなど他メディアとの連携が可能か?(特に事前告知やリアルタイム連動の可否)

今後は、拡張現実(AR)やAIによるパーソナライズ配信といった新技術の登場を前提としつつ、最終的には広告主自身が現場に足を運び、実際の「空気感」や「街の温度感」に触れて戦略を立てることが重要です。

「街に出てこそ見られる広告」というDOOHの本質的価値は、リアルな感覚とデジタルの知見を組み合わせてこそ最大化できるのです。

 

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